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何度目かの再起動でようやく修復セットアップが完了したけど、あう、ドライブレターがでたらめだわ。まあいい、とにかくデータ退避させてお遊びマシンの方で仕事片づけちゃおう。待ってろ、貴様の相手はそれからだ。
ダグラス・ケネディ 著/中川聖 訳
カバー写真 ©Silvia Otte/amana images
新潮文庫
ISBN4-10-213815-3 \933(税別)
「かなり粋で気が利いて、ブラックユーモアにあふれ」た脚本を書き続けている。10年ほど。だが売れたホンはない。お互いの才能と、それから魅力を認め合い、一緒になったはずの妻との間にも、売れない10年という期間はいささか長いものになってきた。娘のことは愛している。でも妻も私も、これから娘のために稼ぎ出さなければならない金の額を思うと、ついお互いに必要以上に辛い態度を取り合ってしまう。そんな毎日がある日突然一変した。一本の作品が比較的信頼のおけるケーブルテレビ局の目に留まったのだ。ささやかな成功に見えたそれは私、デヴィッド・アーミテージのその後の人生を劇的に変えるきっかけとなったのだった。私の脚本のもとに製作されたテレビドラマは評判を呼び、第2シーズンの放映もはやばやと決定される。次々と舞い込む執筆依頼、評論家たちの絶賛、ついにはエミー賞までもがこの手に。同時にそれは莫大な富とそれに伴う地位、華やかなスキャンダルをも私にもたらすことになった。ついに状況は好転した。これからはずっと、この生活が続くだろうと私は信じていた。
もちろん、そんなわけはなかったのだ…。
人生がもし、二者択一のコマンド選択式アドベンチャーゲームだったとしたら、ただひたすらにスカの方ばかりを引き続け、どんどんドツボに落ち込んでいく主人公、を描かせたら天下一品のダグラス・ケネディ。そのドツボ一直線ぶりの怖さ、おかしさ(傍目に見れば、それはスカだろ、というのは明らかな場合でも、彼の主人公たちはなんだかんだと理由を付けて自分を騙し、スカの方を引いていくのである)は、「仕事くれ。」や、「どんづまり」(しかし邦題が毎回すごいよな)を読まれた方なら先刻ご承知でありましょう。一応恋愛小説の体裁を採ってはいるけれど、「幸福と報復」もやっぱり主人公のドツボっぷりは強烈だし。
今回のお話では、最初ドツボな主人公だが、彼なりに才能もあり、勤勉であることが報われて、一度は望外の幸福を手に入れることに成功するだけにその後の落差の痛さも大きい。今回は次々とドツボに向かって驀進していくんじゃなく、ゲームにたとえるなら、第一部の幾つかのイベントでの受け答えで立ったフラグの総合で、第二部スタートのときにとんでもなく悲惨なイベントから始まる羽目になった主人公、という感じですか。少しずつ不幸になっていくのではなく、いったん不幸になったとたん、打つ手の全てが裏目になって帰ってくる、様な展開。いったん外れくじを引いた人間がもう一度当たりくじを引くのに必要な運は、以前のそれに比べてはるかに強力なものでなければならない、というのがアメリカのビジネス業界と言うことなのかも知れない。
ところが面白いことに、一度富と栄光をその手にし、それから逆境に突き落とされたデヴィッドなのだけど、その貧乏暮らしが案外清澄なものに見えてくる、ように作者は描いている。今回の主人公は、それまでの作品の登場人物たちに比べると、少々物わかりがよい、というか一度は枯れた自分に納得しているのだね。富のもたらす幸福とは別の、精神的な充足、みたいなものを何となく見つけかけたかな、と読者も主人公も思ってみたりするわけである。
でもケネディだからそこで終わりにはしないんだけどね。
お話はさらに急転直下、なんと言っても主人公なのだ。落ちたままで終っていいものか。だからデヴィッドは最終的には形勢逆転に成功する。でも、それと引き替えに喪うことになるものもまた大きい。何も持たないけれど心は穏やかなドツボと、富と名声を手にはしていても、かつて感じていた穏やかさを敢えて押しやり、ただひたすら仕事をし続けることでしか、その場所にいられない自分と。さあどちらが人間にとってマシな世界なのかな? というところか。それはもちろん、簡単に答えの出る問題じゃあないよね。ただ、いずれにしても、どのような状況になるにしても、それを作り出す最後の決め手は自分自身なのだ、とデヴィッドにとっての最大の仇役は終盤に彼に向かって言い放つ。スカとわかってスカを引くのは、スカをスカじゃないと信じたい自分がいるからなんだよ、と。ここら辺に潜むなにかが、ケネディ小説に通底するテーマ、なのかも知れませんな。
さてダグラス・ケネディ、実は海外では「幸福と報復」路線のメロドラマの方が人気が高いのだけれど、なぜか日本では「どんづまり」、「仕事くれ。」が評判が良いものだから、本作品は世界に先駆けて日本先行発売となったそうで。良いことなのか悪いことなのかはわからんし、「悪夢路線全復活」などと帯ではしゃぐ出版社もどうかと思ったりもするけど、まあ面白いから良しとするか。そうそう、日本でのデビュー作、「ビッグ・ピクチャー」もたいへんに面白いのでお奨めです。軽石庵にも在庫一冊あります(こらっ)。
(★★★★)
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乱土さんって年に何度もPC破損にでくわすのは なんででしょうね。不運菌?
きっと私の身体から毒電波が出てるんでしょう。もうそれでいいや(w。
修復セットアップで途中で止まるって症状。WINDOWS FAQのページにありませんでしたっけ?というかお仕事マシンはWINでしたっけ?しらずに書いてますが(w<br> うちのお遊びマシンもそろそろHDDがいろいろがたがきてるみたいで起動時に勝手に再起動したり、マカフィーのファイアウォールとかプライバシーサービスとかがデータがどうのこうのとか英文メッセージがでたりしてます。そのうち乗せ変えとかしないとなぁ。
うむう、インストーラー立ち上げて放ったらかしてみたら、10Gbのパーテイションをフォーマットしている間に、私「千年女優」と「まかせてイルか!」と「Blood」が鑑賞できちゃったんですけど(笑)。<br>というわけでSeagateの黒パンツ・ハードディスクがどこかおかしくなってるんだろうなあ…。