ばむばんか惰隠洞

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2009-03-14 [長年日記]

[Comics] 西島大介のマンガ

アトモスフィア (2) (ハヤカワSFシリーズJコレクション)(西島 大介) アトモスフィア〈1〉 (ハヤカワSFシリーズ・Jコレクション)(西島 大介) 凹村戦争(おうそんせんそう) (Jコレクション)(西島 大介) 買取物件ピックアップシリーズ、その9。Jコレクション枠で発刊された西島大介氏のコミック、「凹村戦争」、「アトモスフィア」(1)、(2)。「二人のウェルズに捧げる」とあり、お話の舞台が「凹村」と来れば、下敷きになるのはアレだよね、ってのが「凹村戦争」。虚構がいつしか現実世界をかき回したのが件のラジオドラマ事件だったとすれば、凹村で起きた(というか起きなかった)のは、現実の中でなぜか台風の目のような状態になった小さな村での小さなお話。「セカイ系」とか口が裂けても言いたくないので苦労して言い換えるならば、心地のいい閉塞と破壊に囲まれた解放の、どちらがキミにとって望ましい未来なんだろうね、ってなお話。ほんわりとしつつどこか投げやりな雰囲気が、この人の持ち味と言えるのか。

つづく「アトモスフィア」は、ドッペルゲンガーをネタにした、これまた少々読者を置き去りにしつつ、妙な疾走感(んー、疾走と言うよりはトコトコ歩き、って感じだけど)は与えてくれる。そこの所の妙な感覚と、分岐していく存在と世界の有り様を描いていくあたりは、確かにSFと言えるんだろうな、と時々自分で自分に念を押しながら読んでいったら、最後の最後でどっかーんとひっくり返してもらって、思わず(本編の主人公がしばしば口にしかかって飲み込んだセリフであるところの)ふざけんなって言っちゃった。いや、良い意味でね(w。

以下余談。

そういう意味でそれなりに楽しめる3冊ではあったのだが、んー、これは「マンガ」なのだろうかね。「凹村戦争」はそれでもまだ、マンガの体裁を持っているとは思うんだが、「アトモスフィア」の方はマンガの形を借りた文章実験、みたいなイメージもある。Jコレクションから出てる、ってのはそういうことなんだろうか。マンガに限定してくれるなよ、みたいな。

さらに余談。

「マンガ家入門」でマンガのシステムというか文法の基本を学び、それからいくつかの石森マンガに触れて、ページ/コマ/絵の構成に関する実験的な表現なんかに触れてきた身としては、とりわけコマ割りに工夫のない最近のマンガに、少々苦々しい思いを致しているオッサンがここに一人。

マンガとは、コマを構成単位として物語が進行する絵、つったのは夏目房之介だったかな。構成単位としてのコマを非常に自由に使ってきたのが石森マンガとそこに影響を受けた少女マンガで、そこからどんな新しい表現方法が出てくるのかなあと思ってるところに、コマを「額縁」扱いし、その中に極めて緻密な映画的手法を持ち込んだのが大友克洋で、その作品自体は素晴らしいものだと思いつつも、なんか彼によってマンガの表現手法に妙な縛りがかけられたんじゃないかなあ、なんて思うこともあるんでした。

あ、余計な話の方が長くなっちゃった。

[Books] 犬は勘定に入れません あるいは消えたヴィクトリア朝花瓶の謎

犬は勘定に入れません…あるいは、消えたヴィクトリア朝花瓶の謎(コニー・ウィリス/大森 望) コニー・ウィリス 著/大森望 訳
装画 松尾たいこ
装幀 岩郷重力 + Wonder Workz。
早川書房
ISBN978-4-15-208553-5 \2800(税別)

過去と現在を自由に行き来する技術、"ネット"。だが、時間の連続性を乱す何物も、"ネット"を介して現代に持ってくることが出来ないことが分かり、タイム・トラベル技術が21世紀になんの恩恵ももたらさないことが分った時点で、大多数の企業、軍部は時間旅行への興味を失ってしまう。ただ一人残った大口スポンサー、レイディ・シュラプネルが執念を燃やすのは第二次大戦で消失したコヴェントリー大聖堂の復元のみ。唯一の大口スポンサーの命令は絶対で、オックスフォード大学歯学部の面々は全員が大聖堂の資料集めのために過去と現在をとんでもない頻度で行き来させられる羽目になっていた。学生の一人、ヘンリーもレイディ・シュラプネルのワガママに振り回され、疲労困憊の日々。そんなヘンリーに新しい任務が申し渡されたのだが…

こちらも買取物件ピックアップ。「ドゥームズデイ・ブック」と同じ舞台設定ながら、前作がどちらかと言えば少々重めだったのに対して、こちらはかなりのドタバタ・コメディ。ただ一人の大口スポンサーのワガママで、様々な時代へ研究員を送り込み、コヴェントリー大聖堂に関する様々な資料集めが始まるのだが、実は時間線の流れにおいて、コヴェントリーに極めて重要な意味を持つ時期があり、そこでのごく些細な歴史の改編が、連続する時空に壊滅的な打撃を与える可能性があることが分って、ってのがお話のキモ。ヴィクトリア朝の英国に送り込まれた研究員にして本作のヒロイン、ヴェリティが、それまで不可能と思われていた過去のアイテムを現代世界に持ち込んでしまったがために、時空が大きく歪む可能性が生まれた結果、その修正のためにヘンリーが駆り出されるのだが、連日のタイム・トラベルの連続からくる一種の時差ボケで朦朧としていた彼は、そもそも行った先で誰にあって何をするのかをまったく憶えてない。これがさらに話をややこしくしていって…、みたいな。

ゲルニカから始まって重慶、ロンドン、コヴェントリー、ドレスデン、東京と続いていく無差別都市空襲の流れの中で、コヴェントリー空襲はあらかじめそれが分っていたにもかかわらず、とある戦略的な理由からあえてその阻止行動が取られなかった故に起きた悲劇、というのは有名な話だが、本書でもこのエピソードが重要なポイントになっている。この空襲で消失した大聖堂の復元事業のために、過去のあちこちに飛んでかつての大聖堂の資料集めが行われるのだが、一点のみ、突如行方をくらました「主教の鳥株」と呼ばれる花瓶に振り回される人々の物語。

登場人物のキャラ立てが非常に上手く、彼らがみなやたらと饒舌に語る上に主人公ヘンリーも、お話のあちこちで時空に関する思いをつらつらとつぶやくモンだから、お話の分量はどんどん増えていく。多分シンプルにシノプシスのみ追っかけていったら、本書は多分3分の1くらいのボリュームでも、それなりにピリッとしたものが出来上がっていたと思うんだけど、そこにどんどことまぶされたユーモアとウィットのおかげで、相当な分量の本であるにもかかわらず、とても楽しく読んでいける。大森望氏の訳もなんだかノリノリだ(w。

タイム・パラドックスに関する手綱捌き、ヴェリティのミステリ好きな部分や登場人物たちの歴史談義が上手い具合に絡み合い、ミステリ仕立ての時間SFとして上々の仕上がり。ウィリスはこのシリーズの第3弾にも着手してるって事なので、そちらも楽しみ、というかそろそろ出来上がってくる頃なんじゃないんすかね。

★★★★


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