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田中啓文 著
カバー 小松藤茂(ってだれやそれ)
ハヤカワ文庫JA
ISBN4-15-030762-8 \700(税別)
革新的戦争文学、「蹴りたい田中」で第130回茶川賞を受賞し、一躍時の人となるも、その後ついと消息を絶ち(行方不明の父の探索に出かけた、と言われる)現在もなお消息が掴めぬ伝説的作家、田中啓文。彼の残したいくつかの作品と、山田正紀、山岸真、北野勇作ら、彼とゆかり浅からぬ作家、翻訳家らの寄稿で構成された決定版遺稿集…ということにしておこう。
あーもう、バカだ。で実際のところ終っちゃう本だよねえ。「銀河帝国の弘法も筆の誤り」同様、全編これダジャレとどろどろ、ぬちゃぬちゃ、げろげろのオンパレード。こういうの嫌いな人には絶対受け入れられないタイプの本だろうな。次はどういうダジャレかましてくれるのかな? を楽しみに読み進めていくとそれなりに、というかかなり楽しめるんだけど。でもこのダジャレ、20代の読者の方とか、ちゃんと全部わかるんだろうか、などといらぬ心配までしてしまったりして。
ただし、「本」として見てみたときに、天才作家の遺稿集、の体裁を取ったダジャレの嵐本、と言うこのスタイル、うまく行ってるとは思えない気もする。なんて言うか、企画会議では「それだー!」でみんな大喜びしたものが、できあがったの見てみたらなんか今までのと変わりばえしねえなあ、なゲームソフトだった、様な感じ?(語尾上げ)。ゲラゲラ度、なら前作の方が上だったような気が微妙にしないでもない。予想もつかない方向から攻めてきて、いつの間にか下らんダジャレにつき合わされている、その落差は大変に楽しいのだけれどもね。
そんなわたしのツボ直撃だったダジャレはこれ
「この赤い砂は、かわっておるのう」
老人の問いに猿面男が答えた。
「硫化水銀を原料にしたもので、三途の川特有の砂です。この独特の朱色はバーミリオンという名前の色です」
「ふむ、バーミリオン・三途というわけか。名著じゃがなかなか復刻されぬのう」
わはは。古本屋的にはおいしい商売させて頂きましたが(^^;)
(★★★)
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三途の川に着いてみると…婆さんが100万人いる!
婆ミリオン、てかい(笑)。