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ロバート・J・ソウヤー 著/内田昌之 訳
カバーイラスト L.O.S.164 + WONDER WORKZ。
カバーデザイン 岩郷重力 + T.K
ハヤカワ文庫SF
ISBN4-15-011535-4 \920(税別)
順調に進展するホモ・サピエンスの地球とホモ・ネアンデルターレンシスの地球との文化交流の中、両世界の交流の推進役となったメアリとポンターの二人には、離れがたい愛情が芽生えつつあった。だが、二人がその気持ちをお互いに満たしあうには、様々な困難がその前に障害として立ちはだかっている。同じ頃、ホモ・サピエンスの地球では、かつて並行宇宙に存在する二つの地球で、ほぼ同じ時期に発生し二つの地球の"人類"の一方の種のみが生き残り、反映を遂げることになった原因ではないかと思われる一つの現象について、驚くべき仮説が立てられていた……。
「んなわきゃねーだろ、おい」ってのは、ことソウヤーSFに限っては最上級の褒め言葉として使われるべき物だろうと思うのだが、今回は残念ながら「そんでいいんですか? ホントに」ってセリフになっちゃうなあ。並行宇宙で別々に進化した人類というアイデア、ホモ・サピエンスでなくネアンデルタールがいわゆる"万物の霊長"の座を占めることになった地球文明のディティル、それに対比させた現在我々が暮らしている側の地球の人類文明に対しての痛烈な批判、ジェンダーの問題も併せ持った形で踏み込んだ"神"という存在へのSF的アプローチ、どれもかなりの大ネタで、そこは読んでて楽しいし、小説としての構成もうまい。各章の最初に、この世界でのアメリカ大統領の演説を少しずつ載せていき、この演説で読者をミスリードさせ、途中で「え、なんでそういう話になるの?」とこちらを混乱させておいて、続く本編の方でその謎解きをしてみせるあたりはうまい。ミステリ風味の作品の上手なソウヤーらしい、しゃれた仕掛けだと思う。冒頭で深刻に触れておいて、こっちが忘れた頃にやおらそいつを大ネタとしてぶち込むあたりのテクニックもなかなかの物だし。
ただどうでしょね、この本、どこまでが憂国(?)の情押さえがたく、で、どこからが悪い冗談なのか、ちょっと判別しづらいような気がする。徹頭徹尾本気、つーならそれでも良いけど、だったらソウヤーさん、そりゃああんまりガチガチなんでないかいって気になってしまうし、全部冗談だって言うならそりゃちょっと、たちの悪い冗談でっせって気にもなってしまうしな。全部が本気だって言うなら、これはガニメアンとルナリアンのキャラクタライズ以上に無邪気に過ぎるような気がするし、冗談にしては余裕がないし、そもそも冗談で済ますには少々重すぎるところまで、斬り込んでしまっている気もするのだけれど、それじゃあ本気なのかというと(ラストにも結構重要なポジションで出てくる某食品の扱いとか)それ、本気で言ってるんですか? と思わず聞き返したくなるような事をあっちこっちでやらかしちゃってるし。
ガニメアンを出しちゃった手前、あちらにたとえるのが良いのかも知れない。「星を継ぐもの」からそれ以降の作品にお話が続く過程で、お話の上でのスペキュタキュラを底上げしなくちゃ、って考えた事が結果として、小説のトーンに「マジですかそれ」感をどんどん上乗せした結果、困難できましたー、になっちまった作品、って事なのかなあ。たいへん楽しく読める本なのだけれど、あっちゃこっちゃで引っかかるところも多いのは、こちらが本来神様なんて物をハナっから信じないのだけれど、さりとてモヒカン族にもなれない人間ゆえのことなのかしら。(ソウヤーにしては)あまりに"ナマな"アジテーションまがいのフレーズが結構多いものだから、はてわたしゃこの本を正しく読んでいるのだろうか? などと少々不安にもなりましたですよ。
いや、面白いんですけどね(ってフォローになってへんか)
(★★★☆)
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