カテゴリ一覧
Anime | AV | Baseball | Books | CGI | Chinema | Comics | CS | Day | DVD | Event | F1 | Games | Hobby | HTML | Kindle | Misc | mixi | News | Oldbooks | PC | Photo | SpFX | Stage | tDiary | Tour | TV | web | 逸級介護士
やっと本屋まで足を伸ばせた。ここんとこ郵便局まで行ってはトンボ返りの日々だったもんな。てことでゆうきまさみ「鉄腕バーディー」(14)ようやく査収。回想編が終わって新章突入。ネズミさんたちが出てこないのでちょっと淋しい。
帯のコメントが栗山千明っちゅーのに軽く驚きました(w。
飛浩隆 著
カバーイラスト 塩田雅紀
カバーデザイン 岩郷重力 + Y.S
ハヤカワ文庫JA
ISBN4-15-030861-6 \780(税別)
"数値(コスタ・デル・ヌメロ)海岸"と呼ばれる仮想空間。そこはさらにいくつかのテーマごとの"区界"に区切られ、さまざまなテーマごとに設定されたヴァーチャルなリゾート地となっている。現実世界からログインしてくる"ゲスト"たちをもてなすために、記憶までも微細にわたり設定されたAIたちが日々を送るこれらの"区界"を、しかし訪れる"ゲスト"はいない。この1000年の間。夏の地中海の港町をイメージした"夏の区界"のAIたちもまたこの1000年、来るあてのない"ゲスト"を待ちながら、いつもとあまり変らぬ一日を始めようとしていた。だが、その日はいつもとは少し違っていた……
チェスの天才の12歳の少年(AI)、モラルに難はあるが魅力たっぷりな16歳の美少女(AI)、"ゲスト"の不在と時を同じくして発見される硝視体(グラス・アイ)、そして1000年間続く夏休み……。キタキタキタ、最後にゃおじさん泣いちゃうよ、なシチュエーションがっつりのこの道具立て、きっと「ハローサマー、グッドバイ」も裸足で逃げ出す超リリカルジュヴナイルSF風味の作品なのに違いない、いやそうあるはずだ、そうであってください……
全部、徹底的に、完膚無きまでに裏切られました(w。
そもそも"数値海岸"と言うものがそれ自体、人間のさまざまな(しばしば人には言えない)欲望を満たすためのシミュラクラである、と言う設定が徐々に見えてくるような構造になってる時点で、リリカルなんてどこの言葉? な展開が控えているわけで、勝手に美しげなお話を期待していたおじさんは、読むにつれて見えてくる著者の底意地の悪さと外道っぷりにしばし慄然としてしまうわけなのであった。しかも、この外道は外道なりに美しいから始末が悪い(w。
いってみればこのお話は、そこに住まう住民のすべてが、その生い立ちやそれぞれのキャラクタなりの記憶をしっかり持っているアリアハン(いや、ラダトームでもメルキドでも良いんですけど)に、突然デフテラ領域(えーと、ややハマってるんで勘弁な。分からん人は"ゼーガペイン"で検索してみて)の侵略が起きたときに、本来NPCのはずのキャラたちがどう動くのか、そしてNPCであるキャラクタのそれぞれに込められた"意味"がどんな意味を持つのか、を丹念に考察していくお話。ドラクエの「ぱふぱふ」おねーさんはホントに「ぱふぱふ」したいからそう言うお話を持ちかけているのだろうか、って話な訳だ(ちょっと違…うような気もする)。
で、そういうディティールのもうひとつ外側に、さらなるSF的なアイデアを仕込んでいるあたりがさすが、と言えるか。そのあたりの構成と共に、もう一度ディティールに立ち返って、あちこちにニクいぜこの野郎、としか言いようのないフレーズが惜しげもなく使われているあたりも、読んでるこちらに油断する隙を与えない。
両目に貼られた恐怖が期限切れの古いポスターのようだった。
ちょっとしびれるフレーズでありますね。
(★★★★)
こちらもおすすめ。→マイ感想
前 | 2006年 11月 |
次 | ||||
日 | 月 | 火 | 水 | 木 | 金 | 土 |
1 | 2 | 3 | 4 | |||
5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | 11 |
12 | 13 | 14 | 15 | 16 | 17 | 18 |
19 | 20 | 21 | 22 | 23 | 24 | 25 |
26 | 27 | 28 | 29 | 30 |