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ブックオフで本を引っ張り出しては、ケータイであまぞんのマケプレでの最低価格をチェックするヒト、つまりはセドラーさん、ってのを初めて見かけた。西鈴のブクオフなんかに、美味しい商品が転がってたりするんだろうか。
わたしゃ最近、ブクオフでのせどりはしなくなっちゃったので、良くわかんないや。数冊小脇に抱えてらっしゃったので、ちゃんと探せばそれなりに良い物があるのかも知れませんな。
フィリップ・リーヴ 著/安野玲 訳
カバーイラスト 後藤啓介
カバーデザイン 東京創元社装幀室
創元SF文庫
ISBN978-4-488-72302-6 \1080(税別)
崩壊した移動都市ロンドンを脱出し、今は飛行船<ジェニー・ハニヴァー>で、気ままな運び屋の毎日を送るトムとへスター。未だ彼らを追う反移動都市同盟の一部の追跡はあるものの、これまでに無く平和な日々を満喫していた二人の許を訪れた一人の人物。へスターにはうさんくさい人物に見えた彼こそ、トムにとっては憧れの人物の一人である、歴史家にして作家、そうして冒険家でもあるニムロッド・ペニーロイヤル教授その人だったのだ。冒険を終えて帰郷すると言う教授を乗客に、舞い上がるトムと、突然のいかがわしいお邪魔虫に心中穏やかでないへスターを乗せて飛び立った<ジェニー・ハニヴァー>は、その時から新しいトラブルに巻き込まれていくことになったのだ…。
お待ちかね、「移動都市」の続きがようやく登場。ワクワクもので読み始めたんだけど、うむ、かなり前作とは勝手が違うね。荒廃した地球を疾走して他の都市を"喰らう"都市、という出だしのイメージが強烈だった前作に比べると、今回はそういう、ツカミのインパクトの部分で勝負できる所は少なくなっている。代わりに出てきているのがストーリー側の、いかにも英国ジュヴナイルなシビアな展開の連続で、読んでるこちらはいろんなところで落ち込み、イラつきつつも、ページを措くことだけはできずに読み進んじゃう、様なタイプの本。SF的なワンダーで引っぱると言うよりは、ストーリーテリングの面白さで読者を引っぱって行く本、と言えるかな。
トムにせよへスターにせよ、いろいろ欠点を抱えた少年少女で、その欠点が引き寄せなくてもいいトラブルを引き寄せ、興さなくてもいい誤解とすれ違いを巻き起こし、そんなゴタゴタの積み重ねが巨大なクライシスへの予感をがんがん増大させていき、やがては…、ってあたりのお話作りのさじ加減は実に上手い。あまりにお話作りが上手いものだから、面白いと思いつつも、どうにももどかしく、居心地の悪さも拭えないまま読み進んでいくことになるわけで、それでも最後まで読んでいけるって事は、とりもなおさず読者を引き込む技術に長けているって事ではあるのだろうけど。
いってみれば「スター・ウォーズ」の突き抜ける快感のあとには、「帝国の逆襲」の、いろんな所での負け戦っぷりを味あわなくちゃ、シリーズ物(ちなみにこちらは全4部作だそうな)にはメリハリがつかない、って事なんだろうな。
今回登場する新しい移動都市の住民たち、何やらいかがわしい冒険作家(このトリックスターっぷりはなかなかなモンだと思う)、前作から引き続いて登場するキャラクターたちと、彼らの登場に伴って出てくる新機軸のヒキはかなり興味深く、少々ダウナー要素の多い本作を読み終えたあとに、それ故にこいつの続きが激しく気になっちゃう、ってところはあるかも知れない。次回作はさらに16年後のお話だそうで。渋い大人になってるであろうトムやへスターたちとの再会が、今から待ち遠しいですな。
★★★☆
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