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2011-09-10 [長年日記]

[Books] NOVA 5 書き下ろし日本SFコレクション

NOVA : 書き下ろし日本SFコレクション 5(大森望/編集) 大森望 責任編集
カバー装画 西島大介
カバーデザイン 佐々木暁
河出文庫
ISBN978-4-309-41098-2 \950(税別)

もちっと山椒があっても良かったかな

全編書き下ろし作品で構成される最新の日本SFアンソロジー、第5弾は8編を収録。

前巻から比較的短めのインターバルでやってきたNOVA第5弾。早めの新刊登場は、単に現行が揃うまでの時間がいろんな理由で短くて済んだ、と言うことのようですが。それではいつものように短い感想など。

「ナイト・ブルーの記憶」上田早夕里

水位が著しく上昇し、人類はわずかに残された陸地にしがみつき、かつ新たに登場した知的生物たちとの共存も強いられるようになった近未来の社会を描く、著者の一連のシリーズに連なる作品なんだけど、異形なものたちの描写は今回は無し。かわりに語られるのは海に魅入られ、海と自分の関係性をよりシームレスな物にしたいと願う男のささやかな物語。「グラン・ブルー」? んー、むしろ「RD」のハルさんみたいなイメージだろうか。

基本聞き語りで語られていく物語は最後に

けれども、それを終えたら私は詩人になる。

と言う主人公の控えめながらも高らかな宣言で幕を閉じる。この流れは、ちょっと良い。

「愛は、こぼれるqの音色」図子慧

医療テクノロジーの発達がもたらした一種の感覚共有テクノロジ。そこでの最高のサクセスストーリィは完璧なオーガズムのデータの共有。そのための試みに偶然巻き込まれることになってしまった地上げ屋の若者が体験した事件とは…。

老け専のあなた、お待たせしました的な…いやいや(w。これはこれで美しく、切ないラブ・ストーリィ。主人公の黒丸君、その過去や現在の境遇なんかを考えると充分にシリーズ物の主役を張れる人だと思うんだけど、そういう話はこの先、期待できないのかな。

「凍て蝶」須賀しのぶ

適当に身の周りの物をフリマに持ち出して生活費を稼いでいる僕の前に現れた彼女。彼女が興味を示したのは僕の父が描いた一枚の絵だった。その絵に描かれていた山は、普通に考えればありえない物だったのだけれど…。

ちょっと「死の泉」を連想してしまった。お話の舞台装置としてアレを持ってくるとか、そういうところってのは女性作家的にやはりかなり魅力的な物なんだろうか。悪くない話だと思うけど、登場人物達の「国籍」が全く感じられないところでちょいと減点、かも。

「三階に止まる」石持浅海

誰も押していないのに、必ず一度三階で止まるエレベータ。実害はないと言えばないのだがやはり気味が悪い。そこにいったいどんな秘密が隠されているのか…。

良質のSFは良質のミステリの要素を持ってることが多いと思ってるんだけど、そういう思いを改めて強く感じさせてもらえる一作。小気味よいね。

「アサムラール バリに死す」友成純一

今回のアンソロジーは悪ふざけ要素が少々控えめな印象あるんだが、そんな中空気読まずに悪ふざけ方向に思いっきり針を振った一作、なのかな。作者、友成純一さんのご冥福を上っ面でお祈り申し上げます(w。

「スペース金融道」宮内悠介

たとえ何光年離れたところにいようとも、例えどんなに人類とは違う生態系のもとに種を保存している種族であろうとも、貸したお金は返して頂きます、って会社に拾われた若造は…

SFだ

本書の白眉はこれでないかい。なんだろな、ハードとソフトが良い按配で折り合いを見つけたお話、と言う感じ。その安定ぶりが個人的には、クラシックSFの趣も感じられちゃってちょっと嬉しい気分になってしまったりするのだった。

「火星のプリンセス 続」東浩紀

残念ながらタイトルで一発かますようなことはしてくれなかった(ノリ的には『火星の女神マリサ』とかだったんすかね)ようだけど、やりたいことは何となくわかるような気はする。この人の思考パターンの基本単位は「ファミリー」なのかな、ってあたり、かしら。

SF読みにとってなじみの深い単語が次々とくり出されるし、お話の展開もちゃんとしてる。でも読んでて一番最初に来るのは「フラクタル」だよなあ、って感想なのは、なんだかごめんなさい、です。

「密使」伊坂幸太郎

時間SFの佳品。二つの物語が最終的に一つにまとまるんだけど、そのまとまり方に不満無しとしないので佳品、ってことで。ふたりの登場人物のお話が一つにまとまるところの必然性が弱い感じがして、そこが惜しかったかな、と。

個人的にはオーソドックスなSFが揃っていたなあと言うところで割と楽しめた。小粒ながらも捨てがたい味がありますね、と言う一冊。

★★★☆

[Baseball] マケタデー!!

S6-2T。良いとこなし、とっほっほ(つoT)。


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懐かしさ満点

妖精を観るには…

ジュヴナイルとしてなかなか良質

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