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マイク・シェパード 著/中原尚哉 訳
カバーイラスト エナミカツミ
カバーデザイン ハヤカワ・デザイン
ハヤカワ文庫SF
ISBN978-4-15-011829-7 \1100(税別)
知性連合の主星である惑星ウォードヘブンに突如発生した政変により、クリスの父であるウィリアム・ロングナイフは首相の座を追われてしまう。さらに知性連合の王である曾祖父、レイの地位をも脅かそうとする陰謀が、クリスの身にも影響を及ぼしてきた。少尉時代の任地での身に覚えのない不正疑惑で彼女に逮捕命令が出されたのだ。さらにロングナイフ家の人々に降りかかるトラブルと時を揃えるかのように、さらに大きな災厄がウォードヘブンに迫っていたのだった…。
前作の騒動の後、母星に戻って新型艦の運用研究任務に当っていたクリスだったが、いきなり逮捕されてどうなっちまうんだ、と思ったらそこはあんまり重要じゃなく、割とあっさりとその面倒は回避され、彼女は曾祖父であるレイの名代として外交任務をこなすことになり、そこで一騒動やらかした後、いよいよ本作のメインディッシュ、ロングナイフ家にとっての長年の仇敵、ピーターウォルド家が裏で糸を引く戦艦部隊の襲来を一握りの小型艦で迎え撃つクリス達の大活躍、というのがだいたいの流れ。そこの所の展開は何も間違ったことはやってないので、前作同様それなりにボリュームのある本だけどさくっと読んでいける。
ただ、パーツの配置は間違ってないけど、部品の選定と取捨選択が甘いので、それぞれのパートが妙に間延びして感じたり、いろいろな描写が物足りないと思えるところもあり、がっつり面白いものを読ませてもらった、と言う満足感は少々薄めかも知れないな。
物語的には、宇宙艦隊が出払っていて、魚雷艇レベルの小型戦闘艦(クリスの乗艦はPF-109。ケネディっすねー)12隻と駆逐艦2隻のみで、大型戦艦6隻の襲来からウォードヘブンを守る、というシチュエーションからは、相当な困難と多大な犠牲を伴う死闘がクライマックスに控えているであろう事を期待しながら本を読んでいくことになると思うんだけど、そこの所の盛り上げ方がどうにも淡泊というかなんというか。
前作でもその傾向はあったんだけど、味方は少数だけど極めて有能、敵は強大だけど絶望的に無能という図式が顕著で、味方側を苛める要素があまり強烈じゃないから、死闘が死闘に見えないのだった。主人公を信じて絶望的な戦いに身を投じる人々と、彼らを(そうなると判っていても)死地に送り込まざるを得ない主人公の苦悶みたいなものも、あるにはあるけどどうにもこう薄っぺらいというか。「シーフォート」あたりはこの辺の重さが尋常じゃなかっただけに残念だな。おなじみ超有能ボディガードや戦闘メイド(ただし36歳)、前作から加わったメンバーたちとの掛け合いなどは相変わらず良い感じで、つまらなくはないんだけど何かもう一声、足りてない気はするんだよな。
★★★☆
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