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2012-01-14 [長年日記]

[Books] 都市と都市

都市と都市(Miéville,China/著 日暮雅通/翻訳 Mi'evilleChina/著 ほか) チャイナ・ミエヴィル 著/日暮雅通 訳
カバーイラスト&デザイン 岩郷重力+N.S
ハヤカワ文庫SF
ISBN978-4-15-011835-8 \1000(税別)

目ヂカラ虚数学区

ベジェルとウル・コーマ。ひとつところに複雑なモザイク状に組み込まれた二つの都市では、お互いの都市が相手を意識することなく奇妙な共存関係を保っている。正確にはそれぞれの都市の住人達が、互いに相手を「見えないことにする」ことで、同じところで二つの都市が存続しているのであり、この信用関係を破るものは<ブリーチ>と呼ばれ、同じくブリーチと言う名で呼ばれる存在が介入し、その関係性の維持のために強権を発動するのだった。

そんな奇妙な都市の片方、ベジェルで発生した殺人事件。捜査を開始したボルル警部補だったが、事件の影に<ブリーチ>があったのではないかという疑いを発見し、捜査方針の変換の必要性を意識し始めるのだが…

何を措いても、一つの場所に二つの都市がモザイク状というか複雑怪奇なパッチワーク状態で存在している、というその世界観が秀逸。ぼんやりした本読みである自分は、最初普通の世界と(『禁書目録』でいう)虚数学区のようなものが二重に存在している、やや「AVARON」的な世界で繰り広げられる「ヴーダイーン」もの的なお話なのかな、と思って読んでいて、それが大森望氏の「解説」でそう言うものではないって事に気づかされ、最初の自分の印象の方がヌルいSF読み的にはすとんと腑に落ちるんだけどなあと思いつつも、よく考えたら人の意識の持ちようのみで二つの都市が一つの場所に共存できてしまう世界ってのは、最初の自分の捉え方以上にアクロバティックだし、ある意味悪夢的リアリズムであるよなあとも思った事だった。この世界観の設定は最初ちょっと分りにくいんだけど、お話が進んで行くにつれて非常に重要な意味を持ってくる。

極めて凝った世界観のなかで展開するのは、ある意味非常にオーソドックスなミステリ的展開なのだけど、その展開における山場であるところの、真犯人が割れ、その存在を追跡し、捕らえるという行為の描写に、この悪夢的な世界のルールが非常に重要な意味を持ってきて、有機的に作用するような造りになっているあたりのお話の捌き方はかなりのものだと思う。

非常に念入りに考えられた、斬新な世界で繰り広げられる王道的なミステリ、というところで、その王道的なミステリサイドにおけるあまりよろしくないと自分が思ってしまうパターンが来ちゃったあたりで、これはどうなんだ? とちょっと思った(終盤にいきなり名探偵が長口上で事件の真相を暴く、って展開、好みじゃないんだよなぁ)のは確かなんだけど、そこを差し引いても読み応え満点の一作。主人公であるボルルの本作以降の活躍もちょっと読みたいな、と思ったことでした。いくつか謎のままで引きずっているネタもあることだし、やってくれんかなそう言うの。ここでばしっと終わってるからこそ良い、って事なのかも知れないけどね。

★★★★

[Anime] 定期視聴番組

木曜深夜分。「ペルソナ4」、「妖狐×僕SS」、「パパのいうことを聞きなさい!」。「ペルソナ」は2回に分けてすごくどうでも良いことを描くお話、なのになぜか面白い、という。約一名、オーソドックスな勧善懲悪ルールから逃れちゃってる人がいたような気がしないでもないが。

「妖狐…」は、なんだろ、若干M気質強めの黒執事がぬらりひょん的世界に紛れ込みました、みたいな? もっと拒否反応でるかな、と思ったんだけどそうでもなかった。めっちゃ面白かった、とか言うんでもないんですが。

同じく微妙だったのが「パパ聞き」。2ちゃんでは「ぱいこき」なんて略しかたもあってちょっとびっくりしたんですが(w。構成的には「俺妹」とかと近いのかな? 主人公の内輪と外界で、若干ニュアンスの違うハレムが用意されてまっせ、みたいな。こういうのがラノベ的にはやりやすい構造、って事なのかしらね。


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