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2012-04-20 [長年日記]

[Books] ミラー衛星衝突 ヴォルコシガン・サガ

ミラー衛星衝突 上(Bujold,LoisMcMaster/著 小木曽絢子/翻訳 ビジョルドロイス・マクマスター/著)ミラー衛星衝突 下(Bujold,LoisMcMaster/著 小木曽絢子/翻訳 ビジョルドロイス・マクマスター/著) ロイス・マクマスター・ビジョルド 著/小木曽絢子 訳
カバーイラスト 浅田隆
カバーデザイン 矢島高光
創元SF文庫
ISBN978-4-488-69814-0 \980(税別)
ISBN978-4-488-69815-7 \980(税別)

待てばカイロの火も消える

皇帝直属聴聞卿となったマイルズ・ヴォルコシガンの最初の仕事、それは彼の一族にとっては因縁浅からぬ惑星、コマールで起きた貨物船とミラー衛星の衝突事故。惑星地球化の途中であるコマールにおいて、太陽エネルギーを安定供給するためのミラー衛星は、この星にとっては最重要の施設の一つなのだ。単なる事故か、それともテロ行為の一環なのか…。同僚のヴォルシス卿と共にコマールに赴いたマイルズは、そこで一人の女性と出会う…

前作から待たされること6年、とは言えこれは本国の刊行ペースがそうだったわけではなく、前作でもちょっと触れていた、主に出版社側の事情と言うことで。本国では前作「メモリー」が'96年、本書は'98年の刊行なので、そんなに間があいたというものでもない。で、この無駄にあいてしまった間が、本書に限っては「待望久しく」というよりはむしろ「散々待たされてこれかよ」って気になってしまう原因になってしまったと言えるのではないだろうか。そういう意味で、非常に残念。

前作でデンダリィ傭兵隊の指揮官の任を解かれ、代わりに皇帝直属の一種の司政官的な任務につくことになったマイルズの初仕事を描く物語なんだけど、このお話ではその任務の困難さとか、陰謀の深さとそれを解き明かしていくマイルズの活躍ぶりとかではなく、これまでとは全く違う仕事に就くことになったマイルズが、その仕事とどう折り合いを付けて、新たな世界でどういう人間関係を築いていくか、という方面に多くの描写が割かれているように思える。前作で宇宙有数の傭兵集団の司令官、という武官の立場から、バラヤーという強国なれど少々厄介な問題を内外に抱えた星間国家の最高権力者である皇帝直属の文官へと立ち位置が変わったマイルズの周辺に起こる変化、というところに著者の興味は向いているのね。

なので邦題にもなっているミラー衛星の事故がどうしたこうした、というトピックは、実は本書では一番大きい問題じゃない。その事件をきっかけに、マイルズの周辺に登場する新たなキャラクタを紹介する、というのが一番の主題なわけ。なので事故云々の方は正直かなりしょぼい描かれ方しかされていないのだった。いわゆる敵があまりにも小粒に過ぎて、事件の大きさ、ってところが読者に訴えるべき「大変でしょー?」ってアピール力に弱いのだね。

代わりに本書では、もしかしたらマイルズのこの先の人生において、非常に重要な意味を持つことになるかも知れない(というか、持つに決まってるんだろうけど)一人の人物の描写にかなり多く筆が割かれている。で、それは武官の相棒ではなく文官の相棒としてのそれなので、こちらもやはりそれほど見せ場的に派手なものがあるわけではない。その範囲内で頑張ってはいるんだけれども。

というわけで6年待たされてワクワクで読みはじめたこのお話、正直「あっるぇー?」って気持ちばかりが先に立つことになってしまうのだった。これが本国と同じく、2年程度のインターバルで読む本であったら、ここまでのがっかり感はなかったんじゃないかと思う。本書自体に罪はないのだと思うけど、やはり待たされればそれだけ期待感は上積みされてしまうんでね。次作、「シヴィル・キャンペイン」も本書と関連するお話らしいので、今度はもうちょっと早めの刊行を期待します。

あああと、いろいろ諸事情はあるんでしょうけど、この邦題(原題は『コマール』)はもうちょっと何とかならんかったんでしょうか。

★★★

[Baseball] マケタデー!!

B3-1T。2-1なら我慢できる。ああまたノリさんにやられたなあ、で。終盤の1点が何ともなあ。打たれたのは福原(本読んでたんで細かいところは良くわからんの)? それが余計だっちゅうねん。

本日のツッコミ(全3件) [ツッコミを入れる]
taoy@笹塚 (2012-04-21 08:18)

6年待たされて、もういろいろ忘れているので旧作を読み返してから、と思っているんですがそれがなかなか見つからないので読み始められてません(笑)>ヴォルコシガンシリーズ。<br>それにしてもこの邦題は酷いですな。「コマール」で良いじゃんねぇ。ヴォルコシガンシリーズを探す過程で見つけちゃって今読んでいるウィルスンの「時間封鎖」「無限記憶」も大概な邦題でしたが…。

rover (2012-04-22 00:06)

あー、絶対旧作を読み直した方が良いと思いますよ(w。<br>ウィルスンは「時間封鎖」はまあいいと思うけど、「無限記憶」はちょっと違うなあと言う気はしましたねえ。

taoy@笹塚 (2012-04-22 06:38)

いや「時間封鎖」ってネタバレ題名じゃないですか…。ヴォルコシガンシリーズの新作が「コマール」で良いと思うのと同様に「スピン」で良いじゃないかと。ウィルスンは訳自体もなんだか微妙な気がしますし(原書見てないから何とも言えませんけど)。<br><br>それはそうと、「ジョン・カーター」を観て来ました。意外に良くてビックリしました。もっとも原作を知らないで観ると「良くある異世界ファンタジー」でしかないのはしょうがないところだとは思うのですが、良くもまああれだけの内容をちゃんとまとめ上げたものだとちょっと感心してしまいました。100インチ程度の小さなスクリーンだと何を映しているのか良く判らないところも多々あるのでなるべく大きなスクリーンで観ることをお薦めしておきます。ちなみに私は IMAX 3Dで観ました。IMAX、良いですねぇ。


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