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機本伸司 著
装画 D・K
装幀 伸童舎
角川春樹事務所
ISBN4-7584-1003-8 \1700(税別)
単位が足りない。このままでは留年してしまう。でも憧れの彼女が入りたいらしいゼミは結構厳しいところらしい。いろいろなもやもやとのっぴきならないものを併せ持ったまま、鳩村研究室のゼミ生となった僕。そんな僕に鳩村教授が最初に命じたのは、かつては天才ともてはやされ、飛び級でゼミ生となっていた16歳の少女、穂瑞沙羅華をもう一度研究室に呼び戻すことだった。下手をすれば教授連以上の知能を持つ彼女は、その知力が逆に災いして、大学での研究などには興味が持てなくなってしまっていたのだ。とにかく担当教授の心象を少しでも良くしたい立場の僕としては、とりあえずやれることはなんでもやる、ぐらいの気持ちで彼女の許を訪れたのだったが…。
軽石庵さんから借りるJコレもそろそろタネ切れになっちゃった。って事でそれ以外でなんかねえかな、と思ってちょっと棚を漁って見つけたもの。前に読んだ「スペースプローブ」は正直感心できないお話だったんだけど、こちらの作品は各所でそれなりに高評価だったので、どんなものかなーと思って読んでみた。
お話はあらすじで紹介した(十代でスーパーカミオカンデ級のビッグ・サイエンス的研究施設の基礎設計をやっちゃうような)超天才少女、彼女はもはや普通の大学レベルでネタにされるような研究テーマでは、到底自分の好奇心を刺激されることはなくなってしまい、どちらかと言えばニート的なポジションに自分を引きこもらせてしまっている。そんな彼女の許に、「無から宇宙ができたというのなら、今もそこらに無がある状態で、なぜに宇宙は創生できないのか?」というテーマを振られて俄然やる気を出す、というのがメインテーマ。基本的に狂言回しである僕と穂瑞の会話から、宇宙創生のキモにまつわる理屈の部分にそれなりに深く切り込んでいく様なお話で、そういう意味ではハードSF風味でもあるし、もっと言うなら数学SF的なテイストがかなり濃いめに盛り込まれている。
そういう意味では理論先行、テクニカルターム連発の、オレにとっては一番苦手な方面のSF作品とも言えるのだけれど、そこはあんまり苦にならずに読んでいけた。「良く判らんけどそれなりに深い話をやってるらしい」程度の認識で充分先に進んでいける、というのは自分にとってのハードSFのあるべき姿。話の流れが理屈の部分じゃなく、その理屈から人はどう動くのか、という部分がお話の流れのキモになっているから、判らんところを飛ばしていっても何とかなる様な造りになっているのだと思う。そこは歓迎できます。
そこは楽しかったんだけど、お話として読むならもう一声、考えて欲しかったなあと思うところもあっていろいろ惜しかったなあ、と。SF的な丁々発止の面白さ、ってところはかなりのモノなんだけど、そこに絡んでくるコイバナ的な展開とかがいまいち上手くないなあと言う気がして。これはその後に発表された「スペースプローブ」でも感じたこと。SFマインド、みたいなものはかなりある。でもそこに絡んでくるそれ以外のお話(作劇法、って言うんですか?)って方面で手薄な感じがあるのだよな。
そこを直していくのか、それともSF的な惹きの方をもっと尖らせていくのか、正直どちらが良いのか良く判らないんですけどね。自分的には「物語」を読みたいので前者を希望するんですけど、それが良い事なのか、判断できないんだよなあ(^^;。
★★★☆
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