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マイク・シェパード 著/中原尚哉 訳
カバーイラスト エナミカツミ
カバーデザイン 早川書房デザイン室
ハヤカワ文庫SF
ISBN978-4-15-012015-3 \1180 (税別)
ウォードヘブンの軍の支配下から離れ、自らの判断で行動できる船とメンバーを手に入れたクリス。未知の異星人の情報収集と辺境星域の平和維持を建前に出航したクリスたちは、現在リム星域に出没するという海賊船をインターセプトすべく退屈な哨戒任務に就いている。さんざん待たされたあげく、どうにか首尾良く一隻の海賊船を降伏させ、拿捕賞金を入手すべくクスコ星軌道上の宇宙ステーションに向かったクリスは、そこで思いがけない人物と再会することに…
クリス・ロングナイフもの第6巻。ここからお話は新展開、これまでの軍だったり、ロングナイフ家だったりと言ったしがらみをいったん断ち切って、一種の遊軍的な存在となったクリスと愉快な仲間たちの冒険を描いていくお話になっていくようだ。で、そんな新たなる旅立ち編の第1話は、辺境に跋扈する海賊退治、辺境の植民惑星を食い物にしようとする財閥グループの傭兵たちとの戦い、そしてそれに絡んでクリスとは因縁浅からぬ人物たちが顔を出す、新シリーズのための顔見せ的な一作になっていると言えるか。
前のお話の時にちょっと書いた、クリスのライバルとしてはあまりに小粒に思えたピーターウォルド家、前作ではそこのアーパーなお嬢様であったビッキーことビクトリアが、グリーンフェルド軍の新米士官として再登場。前作ではどうしようもないおバカなお姫様に見えたビッキーだったが、実は彼女も彼女なりに深みのある人物だった、と言うのが見えてくるあたりが本書の見所の一つと言えるかも。ここのところは結構読んでて楽しい所。何でもビッキーは本国でもそれなりに人気が出てて、彼女を主役に据えたスピンオフシリーズなどもスタートしているそうですよ(w。
その他、本作ではいつものメンバー以外のサブキャラがそれぞれ、自分の立ち位置で結構良い感じにキャラ立ちさせてもらっているあたりも読んでいて楽しい所。中盤の山場になる、結構長めな植民惑星での地上戦でクリスの前に立ちはだかる傭兵部隊の指揮官、コルテス大佐の描き方も、正直ややもたついた感もなしとはしない(敵としての時の小者感が、後半ぐっと有能な人に見えてくるんだよ)けど悪くない。総じて敵味方共に、それぞれのキャラが良い感じに立っていて、読んでいて楽しい作品になっていると思う。
てな訳で全体的にはとても楽しいんだけど、本作は最後のヤマのところがちょっと受け入れづらいところがあって、そこが少々引っかかるかも。およそすべての物事には収支が伴うんだけれども、このお話だと最後の最後で「支」の部分が超過しすぎなんじゃないのかな、と言う気がしてしまうのだな。そこだけちょっと、気になりました。お話の流れ上、やむを得ないとは言えるけど、でも回避もできたんじゃないかな、って気もしてしまうのだよな。
★★★
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