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マルコ・クロウス 著/金子浩 訳
カバーデザイン 岩郷重力 + H.K
カバー写真 Getty Images
ハヤカワ文庫SF
ISBN978-4-15-012010-8 \1000 (税別)
三度目の大戦のあと、北アメリカ連邦と中国ロシア同盟に二大勢力に分割された世界。地球に取り残された人類の大部分は劣悪な環境下の福祉施設下のもとでぎりぎりの生活を送っている。そんな環境からの脱出をもくろむ僕は、北アメリカ連邦軍の兵士となることを選択する。5年間の兵役をこなせば、それなりに高額の退職金と市民権が約束された世界。兵役をこなせばそれまでのどん底の生活から這い上がれるだろう。そんな思惑で入隊した僕だったが…
いろんないきさつから兵士としての道を選んだ若者が様々な体験を通じて、というのはたとえばハインラインの「宇宙の戦士」なんかでも見られるフォーマットで、で、そういうところから見れば本作も、そのフォーマットを上手になぞっている。そこそこやる気満々で入隊し、それなりにもたつきながらもそこで成長し、いよいよ兵士として独り立ちしようと言うときに最初の挫折を味わい、その中で思わぬ成長をして…、というようなね。
そのあたり(だいたい中盤ぐらいまで)の捌きは結構上手で、一応海軍(宇宙艦隊勤務、というべきか)>陸軍、というステータスの差がある世界において、自分としては上々の成績で兵学校を出たつもりだった主人公が、意にそぐわぬ配属先である陸軍の兵士としての道を定められ、そこでのそれなりに過酷な経験ののち、ついに本来望んでいた勤務先である海軍軍人への転属を果たして…、と言う流れになってる訳だけど、少なくともこの、希望していなかった配属先での主人公の苦闘っぷりはそれなりに描けていると思う。ただ、そこから先が上手くないというか、かなり浅い。
通常こういうお話の場合、意にそぐわぬ配属先での体験が、その後の主人公の行動に大きな影響を与えて、ってあたりがお話の展開の上でスパイスとして効いてくるべきだと思うんだけど、そこらの塩梅があんまり上手いとは思えないのだな。たとえば陸軍暮らしで得たノウハウが、海軍の兵士にとっては想像できない類いのものであって、そこで他者が持っていない知識なり技術が、海軍においては全く新しいものとして機能する、みたいな展開を期待してしまうんだけど残念ながらそういう展開はほぼ、ない。陸軍兵士としての違いが「規律正しい」だけ、ってんじゃちょっと…(^^;。
しかも陸軍兵士時代のエピソードも、どっちかというと胸糞悪い話になってしまっているのがなんともはや。前半のミリタリSF風味が後半はそれなりにファースト・コンタクト風味へと転化させてお話を拡げようとしているのは判るんだけど、胸糞悪い話は適当に投げて次の話に進むものだから、なんとも言えん居心地の悪さを感じてしまうのだな。
読み始めはそこそこいけてる感じだったんだけど、読んでいくにつれて首の捻り角が大きくなっていくような本。これは残念賞方面かなあ。スコルジー絶賛! だそうですが一体どこが面白かったんだろう。前半はそれなりに評価しないでもないけど(^^;
★★☆
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