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アン・レッキー 著/赤尾秀子 訳
カバーイラスト 鈴木康士
カバーデザイン 岩郷重力+W.J
創元SF文庫
ISBN978-4-488-75801-1 \1300(税別)
恒星間国家ラドチを支える皇帝直属の宇宙艦隊。その根幹をなすのは艦とそのAIを人間型のボディに転写した
デビュー作にしてヒューゴー、ネビュラ、ローカスその他諸々、計7つのSFクラウンを受賞した、というなにやら鳴り物の音もやたら大きい一作。何でも7冠というのはギブスン(4冠)、バチガルピ(5冠)を超える新記録なんだそうで。こりゃまた胃にずっしりくる系の大作なのかな、などと恐る恐る読み始めてみたのだけれど、そこまで構える必要はなかったか。お話的にはいわゆるニュー・スペースオペラって括りになるのかな。ちゃんとしたストーリーテリングのもとにお話が展開していき、それを追いかけていくのはそんなに困難ではない。ただ、ひとつの仕掛けがお話を若干ややこしくしている。
この世界はジェンダーについてよく言えば開放的、悪く言えば無頓着で、三人称を表す代名詞が「彼女」しかなくて、相手が男性であってもお話の流れ上「彼」は使われず「彼女」で示される、というか「彼」、と言う言葉がない世界。なので本書を読んでいくなかで、文章上で「彼女」であってもそれが男性か女性かははっきりしない。最初に登場した時点ではその人物が男性か女性かは全くわからないのだね。お話の展開のなかで、一人称の表現が登場したあたりでようやくその人の性別がわかってくる仕掛けになっていて、そこらのお話を読んでいく上でのままならなさみたいなものが、このお話を油断できないものにしているのだと思う。酒舐めながらぼんやり読んでると、しばしば混乱してしまうようになっているのだね。
ただ、そこを別にすればお話そのものは存外ストレートで、属躰という、なんというのかな、義体であり、何かクラウドな影響力を持った存在を中心にした一種の復讐譚で、例えとして適切かどうか自信は無いんだけど、マキャフリィの「歌う船」シリーズ、ミーツ「攻殻機動隊」、みたいな感じ、で合ってますかね? 「歌う船」のブローンが、立場としてはブローンなんだけどブレインも兼ねていて、かつそれなりの義体でサポートされているのが主人公、という印象。ここに先に述べたジェンダー関係の話が混ざってくるので、実は読み始めてしばらくは、「歌う船」で「攻殻」な「闇の左手」なのかな、なんて思っていたのだけれど最後の要素は皆無だったよね、と言うオチ(w。
本作はこれで完結しているのではなく、続きもすでに世に出ている(っていうかまた三部作らしいぜ)ということなので、本作の真価は次作以降で固まってくるのかも知れない。本作で登場して、中途半端な状態で退場しているキャラなどもいるからね。なので続きに期待したいと思います。本作単品って事だと、ううむ、面白いんだけどいろいろ引っかかりもある、ってのが正直なところでしょうか。意外にお話の振れ幅は大きくない感じだよね。
★★★
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