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2016-02-01 [長年日記]

[Books] NOVA+ 屍者たちの帝国 書き下ろし日本SFコレクション

書き下ろし日本SFコレクション NOVA+:屍者たちの帝国 (河出文庫)(大森 望) 大森望 責任編集
装丁 川名潤
河出文庫
ISBN978-4-309-41407-2 \760(税別)

文明開化のワイルド・カード

惜しまれつつ世を去った作家、伊藤計劃の未完の作品、「屍者の帝国」。彼の書きかけの原稿をもとに、円城塔が完成させた本作の世界観をベースに、8人の作家が集うシェアード・ワールド短篇集。

そういえばオレ、「屍者の帝国」読んでなかった(^^;。んまあとにかくこの世界では19世紀後半、天才的科学者フランケンシュタイン博士によって、一旦死んだ人間を生者が使役可能な「屍者」としてよみがえらせる技術が登場。これにより列強は、屍者を消費し放題の兵士、労働力として使用することが可能な時代になっていた、という作品世界。「屍者の帝国」アニメ公開記念、と言う意味合いもあるのだそうだけど、そんな話はおいといて、現在ただいまの日本SFの、主に新たな才能の方にやや振った感じで集まった8人の作家による、伊藤計劃が産み出したこの世界設定をもとに紡ぐ作品群。それでは感想を簡単に。

「従卒トム」 南北戦争の屍兵遣い、幕末日本へ(藤井太洋)

アンクル・トム、ミーツ西郷隆盛。本来奴隷であったトムに訪れた大きな転換。それは…、という。主従が逆転したことで起きる、哀愁の物語。ワキで登場する幕末英雄たちが良い味出してる。

「小ねずみと童貞と復活した女」 『白痴』リローデッド(高野史緒)

小ねずみは例の白くて迷路に挑戦するヤツ。ここに作者お得意のロシア系のネタやら、どっからそれ持ってきた? 系ではあるがSF的には古典として隠れもないタイトルなんかも入り交じってなんだかわからんことになっている。

「神の御名は黙して唱えよ」 屍者とイスラム神秘主義(仁木稔)

多分オリジナリティってところでは本作が一番なのでは。イスラムとロシアの文化圏における屍者と屍者に向き合う文明のお話。どっちかというと地味だけど味わい深い

「屍者狩り大佐」 ジョン・ワトソン未公開事件(北原尚彦)

ドイル作品的にいうならホームズものよりはむしろチャレンジャー教授もののテイストの方が強めかな。屍者、がいるならその「者」の部分には別の言葉が入る可能性もあるかもね、ってところにアイデアがあった。

「エリス、聞えるか?」 森鷗外、屍者と出会う(津原泰水)

どうしても「坊っちゃんの時代」を重ねてしまって、そもそも鴎外森林太郎ってクズ野郎じゃん、なんて先入観が来ちゃうもんだから、ちょっとはまらなかったかなあ。

「石に漱ぎて滅びなば」 夏目漱石、倫敦の夜(山田正紀)

金之助が漱石になったその陰には…、というところの衝撃以上に海軍カレーのレシピの決定的なひとネタとはなんだったのか、の方が凄かった、というね(^^;。

「ジャングルの物語、その他の物語」 最終戦争の屍者たちの黄昏(坂永雄一)

本書の白眉は多分これ。このアンソロジー、つまるところ伊藤計劃が作った世界設定をどこに繋いで新しいお話を作るか、という所がキモになると思うんだけど、よりによってそこにねじ込んで来るかい、という。そこの所の塩梅がすばらしい。

「海神の裔」 終戦直後、思い出の屍者(宮部みゆき)

なんだろうねえ、映画「日本海大海戦」で敗者であり、死者となってしまったロシアの水兵を弔った壱岐・対馬・北九州の人々のエピソードを思い出してしまった。一種人情系時代小説の味わい、と言えるでしょうか。本アンソロジー、トムで始まりトムで終わるっていうのはなかなか味わい深かったっすね

とうところで。元の世界観を尊重、という意識が作者さんたちにあったのかもしれないけれど、時代的にどうしても原作周辺に留まってしまったのは少々惜しかったかな。「ワイルド・カード」が第二次大戦から続くアメリカ史にいろいろコミットして行ってたのとは対照的。昭和の御代における屍者のお話なんてのも読みたかったかな。安保闘争に投入される屍者とか、安田講堂攻防戦と屍者とか、そんなヤツ。や、これはこれでとても楽しかったのですけどね。

★★★☆


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