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A・G・リドル 著/友廣純 訳
カバーイラスト 鷲尾直広
カバーデザイン 早川書房デザイン室
ハヤカワ文庫SF
ISBN978-4-15-012065-8 \780(税別)
ISBN978-4-15-012066-5 \780(税別)
南氷洋で氷山の研究に就いていた二人の大学院生が発見したのは、氷に閉じ込められた旧ドイツのUボートだった。しかもそのUボートの下部には、何か得体の知れない巨大な構造物がくっついている。調査に赴いた二人だったが、突然の氷山の崩落がすべてを包み隠してしまうのだった。
一方インドネシア、ジャカルタ。超国家規模の対テロリスト組織、<クロックタワー>の工作員デヴィッドは、匿名の提供者からの情報をもとに、テロリストのあぶり出し作戦を実行中だった。だが、その作戦は思わぬ方向に転がっていく…
最近流行りのセルフ・パブリッシングからのベストセラー作品。これも前のあれと同様、三部作ということのようで、まあいろいろ困ったね(^^;。本書、買取物件に混じっていたものだったものですからコストパフォーマンス的には抜群なんですが、んじゃこの続き(第二部はもう出ているんだねえ)を定価で購入して読みたいか、といわれるとそこは正直ちょっと微妙、ではあるんだよなあ、という話をこれからします。
このお話は、まあ言ってみれば世の中に氾濫している様々なトンデモネタを、一度「全部あり」ってことにしてそれを全部接いで、それをベースに冒険小説の骨組みを被せたような構造になっている。ここで出てくるのはミッシングリンク、第三帝国の超技術、遺伝子構造の謎のピース、さらにここに、国際的な謀略論としてのナインイレブンなどの事件の裏にあるものが実は、というところまで力技で全部繋いでしまえ、という勢いで語られる冒険小説。これがグラハム・ハンコックが書いた冒険小説ならまあ、半笑いでスルーしてもいいけど、SF、または冒険小説、どちらかのジャンルに立って存在を主張したいと言うんであれば、そこは全然上手く行っていない、と思う。
SFとして、の方はまあ、まだこの先どうなるか分からんところもあるので一応保留(というか、結構SFっぽさの方は良い感じに引いてくれている感はある、とも思うんだ)するとして、冒険小説サイドの方がかなりスカスカなのでそこで結構がっかりする。SF的興味の持続とは別のところで、冒険小説側の技量の低さ、ってところが気になってしまうのだな。なんと言いますか、ここらでトゥィストの要請があるのでトゥィストさせました、みたいな展開が結構目につくのだね。そこでSF部分の興味を惹く部分も台無しにされてしまう感、はあるんじゃないだろうか。
エンターティンメントの必要条件は満たしてる、でもSFとしての充分条件にはちょっと足りてない、ようなお話かなあ。ちょっと続きは気になるけど、それが読めなかったからといってその事が人生において取り返しのつかないものになる、ようなことは全然ない、ようなお話、ですかね。
★★☆
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