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ジョン・スコルジー 著/内田昌之 訳
カバーイラスト 前嶋重機
カバーデザイン 早川書房デザイン室
ハヤカワSF文庫
ISBN978-4-15-012118-1 \1200(税別)
職にあぶれ、両親からの支援も期待できない僕、レイフ。友人のハートの取りなしでようやく小さな貨客船、チャンドラー号の三等操縦士の職を得ることができた。出世コースの本道、と言うわけではもちろん無いけれど、それでも仕事にありつけるだけ有難い。だが、その最初の航海は平穏とは程遠いものだった…。
帯やらカバー裏の惹句でネタバレしちゃってるから書いちゃうけど、初航海にコロニー連合の有力者が隠密で相乗することになってしまったために、チャンドラー号は「均衡」を名乗る組織にハイジャックされ、乗員は放り出され、ただ一人レイフだけが脳だけで生存し続ける宇宙船の脳として船に取り残されることになり、謎の「均衡」のメンバー、"コントロール"の要求に従わざるを得なくなってさあどうする、というお話が展開していく。
前作にはその本としてのボリュームと、読み物としての読後感の重さのトレードオフにどうにも割り切れんものがある、なんて文句をつけたんだけど、今回はそんなこたぁあるまいと期待して読み始め、前述のレイフ君のエピソードを読み進めていったら、全体の4分の1ぐらいのところでエンドマークが付いてしまって「あっるぇぇ?」と。もしかして今回も短編集の作りなのかい? またかよぉ…、と思って続きを読んでいくと、確かに独立した話がいくつか納められている中編集的な作りになってはいるんだけど、前作よりは繋がり方がタイトで、かつ前のお話に登場したキャラクタへの目配せも良い感じに効いていて前作ほどには物足りなさはなかったかも。
その上でここまで語られてきていたコロニー連合、地球、コンクラーベの勢力抗争的な部分への言及にも抜かりはなくて、「スジ」を追っていく上での不満とか引っかかりは全くなく、楽しく読んでいけるお話にはなっている。作品世界の初期メンバーであるペリーたちのエピソードが全くなかったのはちょっと残念だけれどもね。
ただ、お話の構成上こうなるのが一番良い、と言うことであったのだろうけれども、それでも終盤もう一声、乗り越えなくてはならない壁が欲しかった、と思うのは贅沢に過ぎるかな。なんというか、一番の見せ場になるはずのクライマックスを有働砲で片付けられちゃった感、は無しとしない。最後はもうちょっと上げてくれよ、ってところかなあ…。
★★★☆
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「戦いの虚空」がアレだったので比較してとても良い感じにまとまっている「終わりなき戦火」は「おぉ、なるほど。良かったなぁ」って読後感になっちゃうんですが、乱土さんがおっしゃるようにふと立ち止まって考えてみると、ペリー達どうしてんだ、とか、オービン族とコンスー族がまったく言及されないのはどうだろう(コロニー連合とオービン族間の協定は有効なはず?)とか、「めんどくさいからほったらかしてあります」な部分も有るのですよね。<br>本当は、そこらへんを描いた「オイボレ団再会」な短編が欲しいところです。
自分的にはラストにオールスター勢揃い、が見たかったんだけどなあ…ってところでしょうか。一度はリタイアしたヘザーが最後の最後にばーんと再登場してくれたら、ちょっと嬉しかったんですけどね(^^;
「栄光の旗のもとに」の帯によると「終わりなき戦火」は『シリーズ最新刊、"均衡"編完結』ってことなので、まだ有るのかも、ですよ…。
本書の帯にも書いてありましたね。続きはたぶん、ちょっと設定を変えてくるんでしょうね。「栄光の旗のもとに」も買ってはあるんですが、その前に「ブルー・マーズ」に挑戦しないといかんですよねえ(^^;。