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2017-12-22 [長年日記]

[Books] 虚ろなる十月の夜に

虚ろなる十月の夜に(Zelazny,Roger/著 森瀬繚/翻訳) ロジャー・ゼラズニイ 著/森瀬繚 訳
カバーイラスト 広江礼威
カバーデザイン 坂野公一(Welle design)
竹書房文庫
ISBN978-4-8019-1267-0 \900(税別)

まものフレンズ

10月の最終日が満月の時、世界の変革と保持を司る勢力がしのぎを削るゲームが行われる。そのために、とある場所を目指して異能の者たちが使い魔とともに集結していた。番犬(ウォッチドッグ)の私、スナッフも御主人(マスター)のジャックとともにこの地を訪れていた。世界を閉じる者(クローザー)開く者(オープナー)のビッグ・ゲーム。だが今はまだ誰がどの陣営のプレイヤーなのかも判然としない…

ゼラズニイ最後の長編だそうで、お話のテイストはそうだな、「光の王」とかに寄った形で、かつ訳者の森瀬さんも指摘しているとおり、キム・ニューマンの一連のドラキュラ物にも似た雰囲気がある、というか日本人の我々ならむしろ「Fate」シリーズに通じる物を感じるかも知れない。時代が前後するけど、ゼラズニイ版「聖杯戦争」というか。んで虚淵玄なら聖杯戦争自体に注力するところを、ゼラズニイは聖杯戦争の本番に至るまでのプロセスをじっくり書き込んでくる、というかね。

そこの部分の描き込みの、様々な小ネタのばらまき具合がなんとも楽しくて、その展開の上でこの舞台に参加するプレイヤーたちの手がかりが少しずつ明らかにされ、この人物とはもしや? と想像を膨らませながら読んでいくのがとても楽しい。その上でさらにそこにクトゥルフの神々が被さってくる、というね。どうでも良いけどクトゥルフの呪詛(?)ってのはひらがなで表記するのがスタンダードなものなのかしら(^^;。

いかにもゼラズニイらしい、ファンタシイとSFを良い感じにごちゃ混ぜにしてさあどうぞ、って出してきてもらったお話でそこのところの楽しさは充分に楽しい。ただし本書についてはそのデザインにものすごく異議がある。

書店で見てもらったら判ると思うけど、本書のカバーイラスト、カバー裏と帯の惹句、これ、完全にネタバレじゃないですかね。本書の面白さって、先入観無しで読み始めていって「おや、この人物は?」って感づいていき、「ああ、やっぱり」とか「ああ、そっちか」と答え合わせをするってところに結構なウエイトがあると思うんだけど、そこを本買った時点で全部バラされちゃうってのはどうなんだろう。自分はゼラズニイの本だ、で他はあんまり見ないでレジに持っていってカバー付けてもらったのでそんなに被害はなかったんだけど、ここをじっくり見た人は先の展開、かなりネタバレになってしまったんじゃないかしら。

本の内容とは別なところで、ここは残念でした。今はこう言うの、隠したら商売にならないってことなんでしょうかね? そこのところの苦労は本を読む楽しみの一部だと思うんだけどな。そこらを加味(と言うか減点要素だな)して星一つマイナス(^^;

★★☆

訳者、森瀬さんからTwitterで教えて頂いた。今はどうしても新刊書を長いこと本屋の棚に置いておきづらい状況なので、短期間でなるべく多くの人に興味を持って欲しい、と言う事情があるらしい。いろいろ大変なんだね。

あと、「ネタバレ」って書き方はオレもよくなかったと思う。もうちょっとこう、「興を削ぐ」とかなんとか、ね(^^;


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