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「ヴァイオレット・エヴァーガーデン」「グランクレスト戦記」。「ヴァイオレット…」、アイリスちゃんから見たヴァイオレットのお話。良いお話でしたが最後、車窓から見るアイリス畑にアイリスちゃんの想い人さんを配置しても良かったのでは、なんて思ったんですがそれはあまりに甘すぎだろ、ってことなんでしょうかね。オジサン結構おとめちっく・ろまこめ(©吾妻ひでお)好きなんでね。
「グランクレスト戦記」、意外とちゃんと「お話」作ってきてるなあと思った。安易に主人公無双に持っていかないのは流石ですね。「やりすぎたな」が効いてますな。
小川哲 著
カバーイラスト mieze
カバーデザイン アフターグロウ
ハヤカワ文庫JA
ISBN978-4-15-031299-2 \840(税別)
巨大な情報企業、マイン社が建設した実験都市、アガスティアリゾート。そこはあらゆる個人情報を管理者に提供する事の報酬として、平均的な市民生活よりもかなり裕福な生活が送れる都市だった。そこに移住するには相当な倍率の応募をかいくぐらなければならない。そんなある意味理想社会に思える都市に運良く移り住めた人びとの暮らしは…。六つの物語が緩やかに連結された短編集。
SFというか未来社会においては、現在の我々が使っている通貨とは違う価値基準があって、それが未来世界の経済の基盤になるとしたらそれはなんだろうと思った時に、ちょっと前にそれはバイトなんじゃないかな、なんて思ったことがある。金本位制から管理通貨制と来て、次は情報の転送量が富に直結するような世界が来るんじゃないか、そんな小説できないかしら、なんて思ったこともあったけど、当然こんなユルい頭でそないに凝った話を詰めていくことなんかできなかったワケですが(^^;。
さて本書は、様々な個人情報を全て提供するかわりに裕福な生活が保障される世界を舞台に、その世界に所属することになった人びとの暮らしぶりを描いていく。ユートロニカ、とはユートピアとエレクトロニカの合成だそうで、情報を電子的に収集することで実現されたユートピア、ということですね。
その楽園にやって来た人びとにとっては、ある意味無憂宮であるはずなんだけど、中にはそこに違和感を感じ、嫌悪が湧き、なにか行動したいと考える人もまた現れて、という流れをベースに、六つのお話が、お話の流れだったり登場人物が、緩やかにつながって進んでいく。1話目でこのユートピアへの「ちょっとおかしくないか?」というネタを振り、そのバリエーションが重なっていって、話の流れ上のクライマックスが5話に来て、6話目で読み終わる人へのおみやげをどうぞ、という構成。非常に巧いし、あとなんと言うんだろう、文体なのかな、良い時の翻訳SF感、みたいな物があってそこにとても感心した。読みやすさ、って大事だと思うんですよ。
「情報」を見える形で価値に変換した、というアイデアと、とてもおだやかなディストピアSF、という側面を併せ持った一冊でとても読み応えありました。一点、収集したデータをどう使うのか、というところの説明があまりなかった(ビッグデータとして利用する、ってことなんだろうけど)のが残念だったかな、とは思いますがこれはこれで、かなり良かったです。
以下余談。
いつものように立ち飲みで読んでたんだけど、終盤読んでる時にこっちが頼んだ温燗、お店のお姉さんが置き位置ミスってグラスがソース入れに落っこちちゃって、盛大にソースが飛び散らかった結果この本、終盤にたっぷり「おおえす」(立ち飲み屋さん)のうまみソースを吸っちゃったページが出来ちゃったんだけど、これも古本屋の棚に並べて良い物なんでしょうかね(^^;。
★★★★
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