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2018-09-26 [長年日記]

[Books] 接続戦闘分隊 暗闇のパトロール

接続戦闘分隊 暗闇のパトロール(リンダ・ナガタ/著 中原尚哉/翻訳) リンダ・ナガタ 著/中原尚哉 訳
カバーイラスト 筑波マサヒロ
カバーデザイン 早川書房デザイン室
ハヤカワ文庫SF
ISBN978-4-15-012198-3 \1180(税別)

(頼みもしないのに)囁くのよ、わたしのゴーストが

国家と巨大複合産業体が独自に軍隊を持ち、各地で紛争を行うようになった時代。米軍の精鋭はドローンで情報を得て、クラウドを介した情報伝達機能をもつスカルキャップで迅速かつ正確な戦闘情報を受け手行動する。接続戦闘分隊(LCS)と呼ばれる彼らの一隊は今、アフリカの紛争地域で反乱分子との戦闘行動中だった。分隊のリーダー、ジェームズ・シェリー中尉は経験はそれほど長くないが、ここぞという時の直感に優れ、しばしば隊のピンチを回避してきた。そんな彼に作戦中、一瞬だが不可解な電話連絡が入ってくる。何か異様なことが起きていると感じたシェリー、だが次の瞬間…

極微機械(ナノマシン)ボーア・メーカー」のリンダ・ナガタがミリタリSFを? とそこそこ長いことSF読んでる人なら思うんじゃないかな。かの作品が日本で出版されたのが1998年。それからしばらく彼女の作品は日本では公開されなかったように思うんだがここに来て久々の新作、しかもそれがいかにも最近の流行りに乗りました的なミリタリSFと聞いたときにはちょっとイヤな予感がしたんだが…

杞憂でした、というかこれ、最近わらわら出てくる脳筋ミリタリSFとははっきりと一線を画した、ちゃんとSFである必然性を備えたミリタリSFになっていると思った。

お話はあらすじで述べたような展開で、主人公シェリーはのちに"レッド"と呼ばれることになる謎のメッセージ送信体(原題が"RED"なんだからここは明かしてもいいよね)による割り込みを受け、それに反応することで時にピンチを凌ぎ、時に部隊を有利に動かすことが出来るのだが肝心のレッドの正体や目的はわからない。ここのところの、一種ディック的とでも言うのかな、今の俺の反応は本当に俺固有の反応なのだろうか? すべては何か、別の存在の意思によって動かされているものなのではないだろうか? という不穏な感じが常に作品につきまとっていて、この感じが単なる安易な脳筋ミリタリSFとは決定的に違う面白さを本書に与えていると思う。単純なスペック羅列のミリタリSFとは違い、そこにクラウドを介した情報伝達と集積、その拡大再生産という、現在ただいまの状況を参照した上で盛り込まれるSFとしての提案、が盛り込まれているのが素晴らしいと思うんです。

その上で、ああこれはリンダ・ナガタっぽいのかな、って描写もあってそこも楽しい。レッドのメッセージを受けて反応したものの一瞬その反応が遅れてシェリーは重傷を負うんだけど、その治療に扱われるアイテム描写なんかはそちら方面のお楽しみということになるかな。こっちはまあ、これまで刊行されたミリタリSFでもあった描写、とも言えはするけどそれはそれで悪くない。ナノマシンは出てこないけどそれは措いといて、それなりにハイテクSFの面白さはあると思った。

毎度おなじみ三部作なんだけど、レッドの正体、シェリーの恋人の扱い等々、良い感じのヒキがいっぱいあってこれは楽しみな三部作になりそう。リンダ・ナガタさすがだと思いましたよ。

★★★★


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