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ニール・スティーヴンスン 著/日暮雅通 訳
カバーイラスト 梅野隆児 (umegrafix)
カバーデザイン 日高裕也
ハヤカワ文庫SF
ISBN978-4-15-012278-2 \1460(税別)
ISBN978-4-15-012279-9 \1460(税別)
ある日月が7つに分裂した。後に<エージェント>と呼ばれる何かの力の作用が引き起こした事態だったが、分裂した月はそれぞれの軌道を維持し、直ちに地球への落下、という災厄は免れた。しかし、分裂し、それぞれの軌道を描く月の破片達はいつしか衝突軌道を描き、いつかはそれらが衝突し、無数の破片が地球に降り注ぐことが判明する。その数は少なく見積もって1兆。<ハード・レイン>と名付けられた現象が発生するまでわずか1年から3年。しかもその現象は少なくとも5000年は続くという…
で、この危機を回避するため、小惑星アマルテアをベースに建造された国際宇宙ステーションを核に、選抜された人間と様々な動植物の遺伝子情報、その時点での科学技術情報などをプールし、人類の存続を図るのだが、とお話が続いていく。
単行本は3部構成の全3冊だったものが文庫版は上下巻の2冊での刊行。なかなかの分厚さで読むのも大変(いろんな意味で)。先に書いたとおり、突然のっぴきならない状況に陥った地球人がどのようにこの危機を乗り切っていくか、ってお話が展開するのが第1部、いざ<ハード・レイン>がはじまった時に地球と宇宙で何が起きるのか、を描写するのが第2部、そして第3部はびっくりすることにそれから5000年後。人類は地球軌道上に構築した巨大なコロニーで新たな文明形態を構築し、地球上も<ハード・レイン>が収まり、新たな自然が形成されていて、と。
「七人のイヴ」というタイトルと月が7つに分裂する、というツカミから、7つに分かれた月が舞台になるのかな、と思ったんだけどそう言うものではなく、本当に七人のイヴ、という存在が話の中盤のキーになるのだね。どういう七人なのかとか、説明するとネタバレになっちゃうんでアレですが、ここを説明しないといろいろ話が通じないというジレンマ(^^;。まあ「イヴ」なんだからそういう存在だった、ってことで。「アダム」はどうすんだ? って部分は、そこは読んでのお楽しみ(w。
何となく想像できますよね? で、一度はほぼ滅亡した地球(人類のみにとどまらず)が再び再興したところで何が起きるのか、っていう第3部が書きたいがために、ものすごい分量の1部、2部があったんだなって気はしてる。とにかく説明せずにはいられない性格なのか、あらゆる物事にいちいち解説がつくが故のこの長さなんだろう。そこを読んでいくのは結構苦行に近い。特に2部の中盤と3部の前半はそう。ここを少し端折ってくれたらもう少しスピード感のある本になったのではないか。3部の終盤いろんな物事が良い感じにつながっていくところは結構面白いんだ。端役だと思ってたイヴの一人の恋人のとある人物までもが5000年先にもそれなりの意味を持ってました、なんてあたりは(力業かもだけど)相当感心しましたよ。
「悪魔のハンマー」ではじまってちょっとパーネルのミリタリSF風味を加味しつつ、最後は「リングワールド」で締めるという力業。その構成は悪くないと思うんだけど、全体に過剰な説明が読んでいく上での結構な邪魔になってしまったような。第2部と第3部の間にブリッジになるエピソードを一つ挟んで、あと全体に(技術的な部分とかの)無くても良いところをカットしていったら、もっとさくさく楽しく読める本になったんじゃないだろうか。力作だとは思うんですけどね。
★★★☆
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