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別の本の発送準備の途中で目に入った本。鳥巣健之助 著「日本海軍 失敗の研究」文春文庫 1993年(書影はamazon)。パラパラめくってみると案外さくさく読めちゃった。まあ再読ではあるんですが。
ポーツマス条約以降、徐々にその独断を強めていく陸軍の暴走状態を克明に現した本で、そういう意味では看板に偽りありで、むしろ本書の表題は「日本陸軍 暴走の告発」とでもした方が良かったのではないか、と。全体的に「統帥権」と「補弼」をテーマに、その二つを常に都合の良いように拡大解釈して自分の都合の良い既成事実を積み上げて暴走していった陸軍の傍若無人ぶりと、それを唯一止めることが可能であった海軍が、特に歴史が進むにつれて、自分達に行使できたはずの力を使わなくなって行ってしまった流れを追っていく本。そういう意味では確かに海軍の「失敗」をつまびらかにしようとしている本、と言えるかも知れない。
著者は戦争中、ずっと潜水艦畑で勤務し、キャリアの最後を回天部隊の参謀で終えた人。そういう意味では海軍軍人の中でも、最も陸軍の暴走が招いた無定見な戦争指導のワリを喰った人と言えるかも知れないわけで、そういう意味では海軍の「失敗」以上に海軍の失敗を招いた陸軍側のひどさを告発したかった、と言う部分はあるのかも。そこは理解できなくもないんだが、それ故に海軍側の責任、という面においては詰めの甘い物になってしまっているあたりは少々残念かも。心情は痛いほど分るんですが。
それとは別の所で印象的なのは、この日露戦争から太平洋戦争に向けての流れの中で、ともすれば陸軍の暴走ばかりがクローズアップされているんだけど、その暴走の後押しをすることになったのが、なんというかな、未成熟、というか勢いに乗りやすい一般大衆の「勢い」みたいな物の抑え難い力もあった、ってあたりは案外、現在ただいまのウチらのお国の状況を見わたしてみても、案外変わっていないなあ、と思えてしまうあたりは、少々暗い気分になってしまうことではありますね。
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