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ピーター・トライアス 著/中原尚哉 訳
カバーイラスト John Liberto
カバーデザイン 早川書房デザイン室
ハヤカワ文庫SF
ISBN978-4-15-012098-6 \700 (税別)
ISBN978-4-15-012099-3 \700 (税別)
1948年、枢軸国有利のまま進んでいた戦局に、ついに決定的な瞬間が訪れた。日本軍の新型爆弾によりサンノゼ市は壊滅。これが決め手となってアメリカ合衆国西岸はユナイテッド・ステイツ・オブ・ジャパン(USJ)として日本の支配下に入る事となった。大日本帝国による周到かつ苛烈な統制下に入ったアメリカ、そして40年の歳月が流れ……
21世紀の「高い城の男」などと言われているようですけど、確かにそういう読み方も出来るとは思うけど、こちらはディックのそれに比べるとかなり軽い、という言い方が悪ければぐっと今様になっている。その辺については最後の方でもう一度書くかも。んでお話は、日本の支配下にあるアメリカ西海岸を舞台に、現在只今のアメリカの歴史の流れとは別の時間線を舞台にした非合法のシミュレーションゲーム、「U.S.A」を追う日系アメリカ人にして現在は日本の陸軍大尉となった、ベンこと石村
なのでいわゆる時間改変SF的なもの、つまり特定のポイントで史実とは異なる結果があったが故に、その先の歴史がどう変わっていったのか、なんてところの面白さを期待して読むと多分失望する。そこは割とどうでも良くて、いわゆるアメリカン・ウェイが敗北したアメリカが、ものすごくデフォルメされ、カリカチュアライズされた「ニッポン」と衝突するときの予測できないスラプスティックを楽しむのが吉、ってことなんだろうと思う。んでそこを楽しむための仕掛けについてはサービス満点。ゲームに人生狂わされる人が続々登場、なんてあたりもディック作品のアップ・トゥ・デートとして正しい、と言えるのかも。
そんな訳でガジェット、ギミック、ストーリー展開、どれも全くそつがなく、ストレスなく読み進んでいける本なんだけど、何というか、それが却って物足りない、と思ってしまうのは自分がへそ曲がり過ぎるのか。文庫版の解説で大森望さんが、中原尚哉さんの翻訳のリーダビリティの高さを絶賛されていて、それは確かに同意できるのだけれど、あまりに読みやすすぎるが故に、翻訳SFに苦労する楽しさ、が味わえなかったのが逆に、自分にとっては減点対象になってしまったと言うことなんだろうか。たとえば読みやすくなってるのは良いけど、総じて登場人物たちが子どもっぽくなってしまってると感じた。ベンは四十のオッサンなんだけど、読んでいくとどんどん彼は20代のナードにしか見えなくなって来ちゃったりするんだよね。そんなこんなで「おもしろいけど何かスカスカしてんなあ」てのが本書を読んでいる間、自分が感じていた正直な感想なんです。
ただ、
そんな気分で読んでいって、一応のエピローグに当たる部分に来たところで、評価はだいぶ変わりました。ラストはかなりこれ、持って行かれる感はある。結局そこにSFとしてのワンダーはないけれど、物語としての高揚は確かにある、と思った。そこはかなりすばらしい。なので星一つおまけ。でも大森パパの解説での「年間ベスト級以上」などという評にはちょっと首肯できないし、カバーイラストもこれ、ちょっとコレジャナイ感は拭えないし、いろいろ、微妙だなあ(^^;。
★★★☆
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