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2020-06-12 [長年日記]

[Books] 地球防衛戦線 1 スカム襲来

地球防衛戦線1 スカム襲来(ダニエル・アレンソン/著 金子浩/翻訳) ダニエル・アレンソン 著/金子浩 訳
カバーイラスト 加藤直之
カバーデザイン 岩郷重力 + H.K
ハヤカワ文庫SF
ISBN978-4150122751 \1000(税別)

鍛錬鍛錬また鍛錬

50年前、突如地球に襲来した異星生命体スカム。たちまち人類は総人口の6割を失い、必死の反撃も苦戦の連続。だがついに人類は敵の主星を核攻撃することに成功、戦況は膠着状態に入っていた。今や全ての地球人は18歳になると5年間の兵役が義務づけられることになった。カナダの青年、マーコにもとうとうその日が間近に迫ってきて…。

ま、出だしからなんなんだし言い方は悪いけど、きわめてありきたりなシチュエーションで、きわめてありきたりなストーリーが展開し、きわめてありきたりなクライマックスが待っている、というね。新しい部分があるとするならば通称スカム、学名スコロペンドラ・チタニアが人類とは全く異なる文明のあり方あたりか。一種のナノテクを用いたバイオメカが発達していて、その分野では人類を遥に凌駕していて、ってあたりでしょうかね。

なのでお話そのものはきわめてオーソドックスな新兵もの。いきなりキャンプに集められた少年少女が過酷で人間性など無い軍事鍛錬に投げ込まれ、そこで猛烈に揉まれつつ、同期の新兵達の間での友情や対立、なんなら恋愛関係なんかも交えながらストーリーは展開していき、最後に一発見せ場がある。まあ映画「スターシップ・トゥルーパーズ」とか「フルメタル・ジャケット」の前半部分を延々やってる感じ、なんて書くと退屈そうに思うかも知れないけどこれが意外にリーダビリティは良かったりするのが面白いところ(w。

これは多分、キャラの立て方と、展開のスピーディーさ(と、いうか良くも悪くも軽さ)で、退屈しないように造られているのが大きいのだと思う。新兵ものなんてのは理不尽なまでの過酷な訓練で脱落したり壊れてしまうキャラクタが出てきそうなものだけど、本書ではそういうことは滅多に起こらない。なので読んでるこちらもそこそこ気楽な気分で読んでいけるようになっている。そこが大きいのだと思う。軽い読み物として楽しめるようになってはいるのね。

とはいえツッコミどころは結構あるんで諸手を挙げて賞賛することもできません。一番大きい欠点は、主人公のマーコがいわゆる「選ばれた者」なんだけど、これが全く、どこで「選ばれて」いるかが見えてこないところにあるんだと思う。まわりの人がよってたかって「お前は優秀な兵士だ」って言うんだけど、その優秀さの片鱗がストーリーを追っていく上であんまり上手く表現されていないのね。そこはちょっと残念賞か。お話の途中で「実はこんな能力が秘められていた」的な匂わせがあっても良かったのでは。

本作は全12巻で、一応日本では最初の区切りがつく3巻までは刊行予定らしいけど、どうでしょ、続きは出ないだろうねえ(^^;。

★★★


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