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2007-10-18 [長年日記]

[Books] 遺跡の声 (23:45)

遺跡の声(堀晃/著) 堀晃 著
カバーイラスト 加藤直之
カバーデザイン 岩郷重力 + WONDER WORKZ。
創元SF文庫
ISBN978-4-488-72202-9 \740(税別)

寂寞たる原初日本SF

重元素が宇宙における文明の発達と密接な関係があると考えられ始めていた今、銀河辺境における滅亡した文明の調査には、それほどの重きは置かれていないのが現状だった。そんな星域にあってさまざまな遺跡の調査を担当するのが下級調査員の私の役職。さほど代わり映えのしない遺跡調査の日々が続くと思われたある日、5万光年を隔てた地球の本部から緊急指令が届く。「緊急」などという言葉からは縁遠い仕事に就いているはずの自分に、なぜ。いぶかる私に告げられたのは、その任務が私でなければならない、とある理由があったからだった…。

いろんな意味で堀晃の代表作のひとつとなっている「太陽風交点」にはじまり、表題作で終わる、「宇宙遺跡調査員」シリーズの集大成。最新作である「渦の底で」の発表は2007年。実に30年をこえて書きつづられた短編集は、連作と言うにはお話たちの繋がりはそれほど強固ではなく、では単純な短編集なのかと言えばそうとも言えない、ゆるやかに連続性を保った作品集になっている。特に最新作「渦の底で」が、一番古く、そしてシリーズの中では最終話になる「遺跡の声」の前に挟まったことで、緩やかながらもしっかりした連続性が補強されたと思える。

さて、そんな本シリーズの特長は、なんと言ってもハードSFの第一人者、堀晃が著したハードSF連作集と言うことに尽きるのだとは思う。そこのところの魅力ももちろん充分で、特に私のように理系的な思考法が全く出来ない人間であっても、それなりに何が起きているのかが理解できたような気になれる、お話の持って行き方の巧さがうれしい。このあたりは翻訳SFと、もとから日本語でものを考え、文章化してくれる日本SFとの間で、発生するのが避けられない差なのかも知れないのだけれど。

ま、そんなことよりも、本書を読んで私みたいなそろそろロートル組にカテゴライズされるSFファンが感じることは、「ああ、日本のSFの雰囲気ってこう言うのだったよなあ」みたいな、ちょっとセンチな懐かしさだったりするわけで。

で、その「懐かしい」と感じる雰囲気ってのはたぶん、"わびさび"なんだろうな、と思う。私がSFを読み始めた頃の日本SFに通底していたものってのは、何とも言えない無常観のようなものだったと思ってる。SFとは未来への明るい希望だ、と漠然と考えていた私は、日本SFが持つ、何やらあきらめにも近いような無常観を目の当たりにして(たぶん山田正紀作品あたりだったんだろうなあ)、少しばかり衝撃を受けた青二才の頃が懐かしく思い出されたことであった。小説単体の出来ももちろん上質だが、それ以上に「日本SFってこういうものなのか」みたいなことを初めて意識した頃に軽くタイムスリップさせてくれる本。読む人によって受ける印象は違うんでしょうが、オジサンがこれ読んで最初に思ったのは、おおむねそういうことでありました。

★★★

[TV] 定期…と言うか何というか (23:50)

一応これだけ書いておこう。「ULTRASAVEN X」第2話。つーかこれはもはや「ウルトラセブン」とか言う前に「流れよ我が涙、と超人は言った」じゃねーのかよと言いたくなるくらいのディック風味で、見てるこっちが焦ったぜ。脚本太田愛? ふうむ……。

低予算でSFをやるならば、まず根性いれなくちゃいけなくなるのはホンであるとは思うわけで、その部分に一定の答えを出そうとしていた、そこの所の意欲は買う。まして貧乏です、を最初っから宣言している深夜の時間帯での放映、こういう持って行き方はありだと思うし、それらは大成功とまでは行かなくても、そこそこ良い効果を上げてたんじゃないかと思う。私は結構このお話、楽しめた。

問題は持続性。今回太田愛が見せたお話の持って行き方が、「セブン」のシリーズを通してのカラーになるのであったら、それはそれで付き合ってみても良いかな、とは思わせられたのだよね。続く話(ってもうすぐですね)が第2話をどう引き継ぐかで、「セブン」の楽しみ方は変ってきそうな気はするな。太田愛脚本が単なるクセ球で終わるのであれば、この先の楽しみがかなり削がれてしまうような気がするのだが、さてどうなる事やら。

本日のツッコミ(全3件) [ツッコミを入れる]
TUX (2007-10-19 00:20)

●1話があまりにもあんまりだったので、まだ見てなかったです、第2話。見なくちゃ。

ロドリゲス翁 (2007-10-22 15:37)

すいません、全く未見なんですが、これは<br>変な薬物の所為で何の罪も無い市井人が<br>酷いメに合った挙げ句、一番事情を良く分かってる<br>はずの超七に綺麗さっぱり成敗されるってこと<br>ことですか?

rover (2007-10-23 23:11)

うーん、実はセブンも実情はちゃんと把握できてないような気が……


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