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ピーター・ワッツ 著/嶋田洋一 訳
カバーイラスト 加藤直之
カバーデザイン 岩郷重力+WONDER WORKZ。
創元SF文庫
ISBN978-4-488-74601-8 \840 (税別)
ISBN978-4-488-74602-5 \840 (税別)
地球を包囲した65536個の流星群、それは異星の生命体が地球に送り込んだプローブだった。やがて太陽系の外辺に異星人によって作られた巨大な構造物が確認される。自らを"ロールシャッハ"と名乗る異星生物たちの調査に発進した宇宙船<テーセウス>に乗り組むのは吸血鬼、四重人格の言語学者、サイボーグ化された生物学者、極めて有能なのに平和主義者の軍人、そして脳の半分を除去された「統合者」たる主人公。彼らと"ロールシャッハ"の遭遇は人類に何をもたらすのか……。
恐ろしく読むのに難儀した本。こいつのせいで日記とかまで滞りまくった約一週間でありました。ワイドスクリーン・バロックならぬワイドスクリーン・プログレッシヴロックとでも形容したらいいのかね。トリッキーな構成、ハナから感情移入を拒否するようなキャラ立て、次々と投入される最新の科学情報を基にした、と思われるSF的なアイデアたち。それらがかなり無定見とも思える勢いでぶち込まれる本書は、
読みにくいことこの上ない。
先にも書いた通り、出てくる登場人物たち、それなりにSF的アイデアも盛り込まれていて決してつまらないわけではないんだけど、やはり感情移入できない、という一点において読み進めて行く上での困難はずっしりのしかかってくる。ここの辛さは終始付きまとうことになり、本書のイメージをよろしくない物にしてしまったんじゃないか、という気はしないでもない。自分はそっち組で読んでる間中「あんた何言ってんだ?」感ばかりが先に立つ読書感覚であった、ことは否めない。
なんだけど、印象が変わったのは巻末の著者の「謝辞」を読んでから。いくつかのことが読み終わって、この「謝辞」を読んで初めて「ああ、そういうことだったのか」というのがわかって、で、そこがわかる(というか取っ掛かりがもらえる)と逆に本書の方の評価がちょっと上がるような不思議な本。
本書は言ってみれば「意識」と「無意識」ってなんなんだ? ってところに斬りこんだ作品といえるんだと思う。で、そのキモになるのは「一人称で語られていることどもの人称は本当にそれで正しいのか?」ということだと言えるのかな、と。巻末の「参考文献」で語られる、なぜ仮想的な一人称の語り手が、特定の認知システムにおいて突出した存在になるのか
というのは、かなり本書のテーマに深く斬りこんでくるようなテーゼたり得てるのではないか、と。
正直しっかり読み切った、とは到底言えない本だし、小説本体を読んだ限りでは何とも言えん消化不良感ばかりが残るようなお話。ただ、オマケ(参考文献の話とか、テッド・チャンの解説とか)を読んでみると、意外に侮れない何かがあることもなんとなく見えてくる本、とは言えそうな気が。口が裂けても「面白い!」とは言えんけど、「なんか凄い事やろうとしてるんじゃないかしら」的な引っ掛かりは、本を閉じたときにしっかり残るような本ではございました。
★★★
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