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グレッグ・イーガン 著/山岸真 編訳
カバーデザイン 木場貴信(オクターヴ)
カバー写真 "Blue cubic space" by Zdenek
カバーフォーマット 佐々木暁
河出文庫
ISBN978-4-309-46429-9 \900(税別)
特に日本での人気の高い作家、グレッグ・イーガンの初期短編集。表題作他全10編収録。
というわけで。今や「数学SF」なんてジャンルの代表的な作家と認識されているイーガンの初期作品集。商業誌だけではなくセミプロジンなどに掲載された作品を集めたこの短編集では、イーガンの作風がそれだけにはとどまらないのだというあたりがほの見えてきてそこが興味深い。というかイーガンが「数学SF」の旗手となる前には、それなりに色々あったのね、と言うのがわかってくる短編集。それでは各作品ごとに簡単に、もしくは雑に。
メディアの新しいコンテクストとなる何かを推していく主人公の許に提示された新奇なアイデアがもたらすものは…。イーガンのキャリアでも相当初期作ということらしいけど、それ故の独自な感じと普通な感じのバランス感がおもしろい。
幽体離脱SF、というカテゴライズは乱暴すぎますか(^^;? なんかいろいろドタバタした上で最後は何やらハートウォーミングなオチに持って行くという…、2編目にして「お前ほんとにイーガンか?」と言いたくなっちゃう、というね。
この本に収められた作品は前置きでも述べたとおり数学風味が予想外に希薄で、その代わりに漂っているのはバイオSF風味。本作もそんな一品。ここで語られるのは一種の超人幻想への希求がどんなことを引き起こしかねないか、って話かな。
瀬名秀明が描いたら相当違う話になっていただろうなあ、と思った。一人称、それもあり得ない一人称で進む「パラサイト・イヴ」、という印象で合ってますかね?
SFというよりはスティーヴン・キングとかのモダン・ホラー風味の一品。最近話題になった映画に絡めるなら、ホラー風味の「SCOOP!」って感じですかね。
バイオメインのSFミステリ。バイオというかアウトブレイクものと言った方が良いのかな。ミステリ部分が面白い分、SF的なオチの付け方がちょっと急ぎ過ぎたったんじゃ、などと生意気な感想を(^^;
イーガンらしいとは全く思えないけど、なんかわからんがSFらしい、って点では満点なんではないか。ラストの持って行き感が気持ちいい。
こちらもバイオ系というか、
相当不条理なSFで、ジャンルとしてはバイオ系なのかもわからんけど、「なんでそうなった?」感が拭えない。酒呑んで読んでたからなのか?
このアンソロジー中では最新の作品。それ故なのかこいつには「イーガンらしさ」みたいなものがかなり濃く反映されているような気がする。お話自体はなんというかな、言語SFをベースにしたミステリ仕立てのSFなんだけど、細かいところで「あ、これはイーガンかも」と思える表現があって妙に安心しちゃうと言う(^^;。
そこを越えてオチへの持って行き方に必ずしも異論がないというわけではないんだけど、それでもラストにようやくイーガンらしいSFを読んだ、かも、って気分になれたのはなかなか、嬉しかったですよ。
てな感じで。初期作品集ってことで、イーガンもいろいろ試行錯誤してた時期があったんだなあ、ってのが見て取れるあたりがなかなか興味深いか。ホラー、バイオSF方面への寄り添い具合が結構強めだったんですね。そこでそっち方面に行ってしまったらイーガンの評価はどうなっていたんだろうな、なんて事もちょっと考えた。
イーガンらしさ、ってところは実はむしろ希薄、と言えるのだけど、それ故にイーガン前史、というポジションで読んでみると結構興味深い一冊、と言えるのでは。個人的には結構苦労しましたけど(^^;。
★★★☆
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