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カミさんの見舞いに行ってた倅、「今日はこんな物が」つって出してきたのは、カミさんの入院先の病院からの1ヶ月分の入院費の請求書。むー、覚悟はしてましたがオリンパスの次期フラグシップモデルを買ってもまだお釣りが来る値段ですか、はふう(^^;
カミさんも含め、医療関係者が多い親戚衆の総意として、まあ退院は早くて3月だろうって事なので、頑張るしかないね。
大森望 責任編集
装幀 川名潤
河出文庫
ISBN978-4-309-41651-9 \920(税別)
書き下ろしSFアンソロジーシリーズ、「NOVA」、3年ぶりの新シリーズはベテランと新鋭入り乱れる10編を収録。
と言うわけで、ではいきますど(w。
専業主婦の毎日に疲れ果てた私のもとを訪れた若い女性。彼女は「宗教の勧誘をしています」と切り出して…
結構な巻数が出ているこのシリーズには初登場、というビッグネーム。自分も新井素子さんは長編、のイメージはちょっとあったかも。お話はがっちりしたSFというよりは「すこし、ふしぎ」もしくは「すこし、ふじょうり」系。なんというんだろ、全ては気の持ちようかも知れないよ、ってことを改めて言い聞かせてくれる、的な(^^;。
アレキサンダー亡き後のアレクサンドリア。七十人の翻訳者が二人一組、三十五の組に分かれて翻訳した聖書の内容が寸分違わぬ物だった。その理由とは…
「ユートロニカのこちら側」がなかなかだった小川哲さんの新作は、なんだろう、最近割と流行りっぽい言語SFの一角、と言えるようなそうでも無いような。言語、というよりは物語SF、と言った方がふさわしいのかな。
SFX映画界におけるCGモンスターデザインのトップクリエイター。彼の創作の秘訣とは?
なんとなく「異形コレクション」向きなお話だなあと思った(w。3D-CGの限界に、人間の想像力を超える物は創れない、ってのがあると常々思っているんだけど、その状況に風穴を開ける物があるとすれば、ってところにSF的アイデアが。3Dプリンタがいろいろ活躍するあたりも、とても今風ですね。
「外人」と呼ばれる異星人によって着々と「平らに」均されていく地球。食糧不足と人びとの屠殺嫌悪からの回避のため、遺伝子操作を用いて食品工場で生産されている。そんな世界に暮らす人びとは…
割と普通のナノテク物かと思ったら、牛がそういう状態なのにそれ以外がただで済んでるわけがないだろうという一種のディストピアSFに話は進んでいく、けどなんとなくとぼけたペーソスもありますな。
ちょっと前にwebで「俺たちには光すら遅すぎる」(だったかな)なんてフレーズが流行った事がありましたが、それを地でいくような、タイミングゲームのエッジで戦うゲーマーの矜持が饒舌に語られる。ライバルに向けた罵倒は、それ自体が実はラブコールというね。
VR(ARかな?)ワールドで古今東西のキャラになりきれるゲーム。新たに導入されたタイトルは「レンズマン」。友人と共にゲームに参加した私が選んだのはレッド・レンズマン、クラリッサ・マクドゥガルがメインのアトラクション。だが何か様子が…
ヴァーチャルワールド殺人事件、かと思ったらそこは小林泰三、ただで済むわけもなくお話はなんだかどんどんスケールアップ。ラストはちょっとドキッとする。
決め手が見つからないまま締め切り間近の新規プロジェクト。そんなある日僕が気付いた事、それは世間には猫が集まるポイントがあると言う事。そしてそのポイントにはさらなる効果が秘められているという事。これを新プロジェクトに応用できないか、と考えた僕だったが…
何せ猫ですから。当然シュレディンガーさんがしゃしゃり出てくる訳ですな(w。
長期出張中の彼女の飼い猫が死んでしまった。この窮地を切り抜ける術は無いものか。ネットの友人に相談してみたら…
まあ悪趣味ではあるんですが、その趣味の悪さもコミで、現在のアクティブなユーチューバーの世界をシャープに切り取ったお話、と言えるのかも知れない。で、これを面白がるって言うのは、そりゃ個人の勝手ではあるんだけども同時に、富士の樹海に入り込んで悪さしてたアメリカ人ユーチューバーを無邪気に叩けねえなあ、って気もちょっとしてしまう。
トリと大トリは名手二人、まずは宮部みゆき。研究され、整備された養子縁組制度によって、過度な幼児虐待や育児放棄などが一掃されたと思えた近未来、それでも…
一見理想郷となった、と思える世界であってもそこに完璧はあり得ないし、よしんば完璧であったとしてもそれは本当に望ましい未来なのか、と言う。ラストの解釈でまだちょっと答えを出しあぐねてるところはあるんですけどね、シンプルに字面通りでいいのか、そうじゃないのか、ってところで。
空前の在籍期間を誇る首相のもと、徐々に、しかし決定的にこれまでとは異なる社会体制を確立しつつある日本。だがそれは本当にユートピアへの道なのか…
なんというか、山陰、いや(失礼な言い方であるのは承知で書きますが)裏日本SF、と言うジャンルが生まれたんじゃないだろうかという気がする。飛さんが島根県在住、というのと関係があるのかないのかわからんけど、なんと言うんだろう、快晴であってもどこかに陰が落ちていて、完全なドピーカンというのは期待しづらい、そんな土地でのみ表現できる地方感のような物を強く感じた。
ということで。エッジばりばり(故にオジサンなんかはちょっと、どう着いていったら良いのか解らん事になってしまう物もあった)の作品群と、名手の安定の手練手管、二つが同時に楽しめるお得な1冊。楽しませていただきました。
★★★★
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