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ベッキー・チェンバーズ 著/細美遙子 訳
カバーイラスト K.Kanehira
カバーデザイン 岩郷重力+W.I
創元SF文庫
ISBN978-4-488-77601-5 \1040(税別)
ISBN978-4-488-77602-2 \1040(税別)
宇宙航行種族たちの連合体、通称GCの末席に加わる事を許された人類。いまや彼らの母星、地球は居住不可能となってしまい、人類は火星のコロニーと宇宙航行種族に交わって生活するようになっていた。そんな宇宙船乗りの一人、アシュビーの持ち船、ウェイフェアラー号は宇宙空間に超光速航行のためのトンネルを掘削するトンネル建設船。新人の事務職乗員、ローズマリーを新たにメンバーに加えたアシュビーの元に、破格のプロジェクトの申し出が。謎多い種族、トレミの主星へのトンネル開通事業。一年に及ぶ航宙が前提となる大事業に赴くウェイフェアラーのクルーたちだったが…
で、アシュビー以下ウェイフェアラーのクルーたち(地球人以外のクルーもいる)の紹介とそれぞれの種族故の独自性の紹介や、一年にわたる大航宙の中で遭遇する様々な異星文明、アクシデントがたたみかけられる。いろんなことが起きるのでまあ退屈はしない。でもね、
本書の帯に曰く、「王道スペースオペラ」ってあるけど断じてそういう物ではないね、どちらかというと「オデュッセイア」的な味わいの方が強いんじゃなかろうか。長期の航海(航宙)でウェイフェアラーのクルーたちが出会う様々な事象、異世界文明といったものが次々と眼前に展開していく構成。で、それらは個別でみたらそれなりに興味深いモノも結構あるにはあるけど、一本筋の通ったストーリーがあると言うものでは(残念ながら)ない。そこはとても惜しいと思う。
例えば本書で言うなら(ややネタバレになるかも知れませんが)新人事務員のローズマリーの過去話、ウェイフェアラーののAI技術者であるジェンクスと宇宙船を統括するAIであるラヴィーの関係性を幹に、アシュビーが請けた大仕事をベースにして物語を構築していく、ような造り方もあったと思うし、そちらの方がちゃんとしたお話になる様な気もするんだけど、著者のベッキーさんはそういう、お話として完成度の高い物を作るよりは、多様性みたいな物をとにかく一つでも多く提示したい、って方に意識が向いているのかも知れない。故に「物語」としては相当希薄な物になってしまっている、と思う。
「お話」としてはだから、かなり粗がある。はっきり言ってストーリーとしてのヤマ場の置き方とか、ものすごく下手くそ。何か事件が起きた時にそれがお話の展開に応じて上手く意味を保持して、改めてネタを広げる、ような事はまずないので、読んでいくと結構がっかりしてしまうのね(^^;。
そこら辺、とても残念なんだけど、ただ「オデュッセイア」的な個別のエピソード自体はそんなに悪くないので、盛り上がりには欠けるけどそこそこ読めちゃう、という不思議な本になっているとは思う。嫌いではないです、が読み手を選ぶのかなあ……
あと邦題はもうちょっと、考えた方が良かったんじゃないかしら
★★★
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