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2013-05-03 [長年日記]

[Books][Oldbooks] 未読を減らそう「日本SF古典集成 Ⅰ」

書影相も変わらず読むのに大変な時間がかかってるんだけど、軽石庵さんに置いてて自分がまだ読んでない本を読んでいく運動続行中。今回はハヤカワJA、「日本SF古典集成 Ⅰ」横田順彌 編・1977年初版 →amazon(ユーズドのみ)。「日本SFこてん古典」なんて労作もあるヨコジュンが編んだ、SFという言葉がなかった頃に発表されたSF小説たち。それでは簡単に感想を。

西征快心篇(巌垣月洲 翻案・横田順彌)

原作の発表は安政四年。著者は儒学者で、教え子に岩倉具視、友人に佐久間象山らが居た人とか。まだたぶん「日本」という概念がはっきり無かった頃、このお話では黄華国、なる極東の島国が登場する。お話はアヘン戦争に勝利し、アジアに着々と侵略の魔の手を伸ばそうとしてくる英国に対し、黄華の英雄が小軍勢を率いて勇躍本国を出帆、清国、インドで抗英の援助をしつつ英国へ。知勇を存分に発揮して大英帝国相手に大暴れ…という、まあ良くある脳天気に痛快な仮想戦記の元祖みたいなもの。話がうまく進み過ぎなのもご愛敬だろう。ただ、江戸時代の知識人が意外に当時の世界情勢的なものを正確に認識してたことに結構驚かされた。

南極の怪事(押川春浪)

明治三十八年の作。海岸に流れ着いたビンに収められた古紙にしたためられた、とある人物の奇怪な体験談。この、古い記録を読み進んでいくと、そこには驚くべきことが書かれていて、というスタイルが何とも古典っぽい味がある。今よりはるかに秘境感の高かったであろうアフリカから南極あたりを舞台にした海洋冒険譚、秘境モノ風味つき。SFになるのがかなり後になってから、ってあたりがちょっと残念か。「ウルトラQ」のエピソードの一つ、っていわれても納得できそうな味がある。

暗黒星(黒岩涙香)

明治三十七年の作。アメリカ人天文学者、シモン・ニューコムの作品の翻訳。箇条書きに近い、非常に短い章立てをたたみ掛けてくるスタイルは、原作がそうだったのか、訳にあたって(読者が理解しやすいように)そうしたのか、どっちなんだろう。お話の方はSFスタンダードといえる終末パニックもの。「地球最後の日」とかのテイスト、で判るかと。

悪魔の舌(村山槐多)

大正四年の作。ホラー風味の強い作品で、こちらも「南極の怪事」と同じく、手記を読んでいくと…、というスタイルの作品。あちらが「ウルトラQ」ならこちらは「怪奇大作戦」? いや、「恐怖劇場アンバランス」かなあ…。

星を売る店(稲垣足穂)

おお、大物だ(w。大正十二年の作、舞台は神戸と来るから軽くテンション上がったよ。当時の神戸の様子を今読む、何とも言えんレトロモダン感と、ラッカーあたりを連想させる狂躁感込みのユーモアがなかなか楽しい。

のんしゃらん記録(佐藤春夫)

大物が続くぞ。昭和四年の作。不条理なディストピアものとして、こいつは今読んでも充分に新鮮な魅力があるお話だと思う。全体に漂う呑み込みにくさもコミで、これはかなり、深いんじゃないかな。

建設義勇軍(宮野周一)

第三次世界大戦を乗り越えた未来社会が直面する危機的局面とは…、的な。絵面としては初期の手塚漫画のイメージがある。お話の持って行き方も、そういえば初期の手塚漫画的テイストかも知れないな、割にビターな終わり方をするところとか。シンプルながら深いところはかなり深い。悪党の名前、元はやっぱりフリッツ・ラングのあれから引いたんでしょうかね。

ヒルミ夫人の冷蔵鞄(海野十三)

昭和十二年の作。活劇系の人、というイメージを敢えて外したセレクトと言えるか。今風に言うならバイオSF、って事になるのかな。ジーターっぽい…のかな、そうでもないか。これも伝聞形式なんだけど、それが災いして、へそ曲がりな読者には落ちが読めちゃう恨みはあったかも。

地図にない島(蘭郁二郎)

昭和十四年の作。「モロー博士の島」っつーかむしろ「D.N.A」からえぐいところを抜いたような。ショート・ショート的なツイストが効いた掌品、と言えるだろうか。

ってな感じで。戦前のSF的な作品の中で、「整形」が意外に大きな意味を持っていたりする辺りもちょっと興味深いものがあった。「人の見た目を変える」ことのウエイトって、結構大きなものなんでしょうかね。

[Baseball] カッタデー!!

T14-3S。点取りすぎだろ、これは明日に続かんぞ。明日負けたら日曜に期待が持てるような気もするけど、岩田にも勝ちを付けてあげたいしなあ。明日の試合、いろいろ不安だね。


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