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ジョー・ウォルトン 著/茂木健 訳
カバーイラスト 松尾たいこ
カバーデザイン 岩郷重力+WONDER WORKZ。
創元SF文庫
ISBN978-4-488-74901-9 \860(税別)
ISBN978-4-488-74902-6 \860(税別)
精神に異常をきたし、虐待を繰り返す母の行いはついに間接的とはいえ双子の妹、モルを死に至らしめることになってしまう。身の危険を感じたモリは、一度も会ったことのなかった実父を頼るのだが、父の姉たちの意向で父との同居は許されず、上流の寄宿学校に入ることになる。身体の障碍もあり、周囲となかなかなじめないモリにとって唯一の救いは大好きなSF小説を読みあさり、自分(と妹)だけが見出しうる妖精たちとの交流のみ。SFを通じて徐々に人との繋がりを築いていくのだが、母の狂気は未だにモリの生活に暗い影を落としていた…。
1979年から80年にかけての約半年ぐらいのお話で、この時点で読むことのできるSF小説のタイトルが次々と出てきて、同じ頃に割に本格的にSF読むようになってた自分にとってもいろいろニヤニヤできてしまう。まあこちらは日本にいるので若干のタイムラグはあるんだけど、それでもたぶん俺らの年代にとっては、ここに出てくる作品群と、折に触れモリがつける作品へのコメントなんかを読んでるだけで堪らんものはあると思う。そこは楽しいし、いろいろと辛い境遇にあるモリが日々のネガティヴをポジティブな何かに転化させるための道具として、SFからさまざまな教訓を得ていく、ってあたりの描写も悪くない。
ただ、読み終わったところで最初に感じるのはモヤモヤ感かな。楽しいお話だと思うし、オチの付け方もまあ納得できるし、それなりにワクワクできた。でも、二重の意味で「SFとは」って所に何とも言えん引っかかりを感じてしまって…。
まずはこれが創元SF文庫から出ていると言うこと。これはSFなのか? って引っかかりがこの本には終始つきまとう。山本弘さんが何かの本(『トンデモ本の世界』のはじめの方のどれか、だったと思う)で、オバケが出たときに悲鳴を上げて逃げるのがホラー、友達になるのがファンタジー、解剖しようとするのがSF
(うろ覚えだけど、たぶんこんな感じだったと思う)って書いてらっしゃったと思うけど、その伝で行くなら本書はファンタジーに分類されるお話だろ? って気がしてしまうのだよな。
次、もちろん限りなくファンタジーに近い設定なり構成なりで、それでもこれはSFである、と言える作品はいくらもある。でもこのお話は、お話の構成そのものが、SFであることを最後まで拒否しているように見えること。先の例えで言うなら、オバケと友達になった上で解剖のアクションを起こせばこいつはSFになったと思うんだけど、あくまでそこは友達としての接し方に終始してしまっているところで、何とも収まりの悪いラストになってしまっている。「二重に」ってのはつまりそういうこと。「SFには見えないがやっぱりこいつはSFだ」じゃなく、「SFには見えないが最後までSFじゃなかったぜ」で読了、と言うことですね。
物語的にもやや平板な印象で、ちょっと感情移入しづらいキャラのオンパレードに振幅の少ないスジでちょっと残念だったかも。ヒューゴー・ネビュラ、ダブルクラウン? またまた、ご冗談を(^^;。
★★★
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