ばむばんか惰隠洞

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2015-02-12 [長年日記]

[Books] 銀河帝国を継ぐ者

銀河帝国を継ぐ者(ガース・ニクス/著 中村仁美/翻訳) ガース・ニクス 著/中村仁美 訳
カバーイラスト 緒賀岳志
カバーデザイン 常松靖史 [TUNE]
創元SF文庫
ISBN978-4-488-70201-4 \1200 (税別)

トオッテ ヨシ(メガドラ版『ファンタシースター』で一番印象的なセリフ)

千七百万の星系に散らばった数兆に及ぶ知的生命体、彼らを統治するのは一千万の"プリンス"と呼ばれる強化された超人たち。さらにその"プリンス"達は、帝国を統べる皇帝の候補者達でもあった。赤ん坊の頃に資質を見出され、強制的に両親の許から引き離されてプリンス候補として育て上げられた僕、ケムリもついにプリンスとして独り立ちする時が来た。だが、候補時代に思い描いていたプリンスの世界と実際のそれには、かなり大きな隔たりがあった…。

読み始めから中盤くらいまで、何となくSF系のRPGをノヴェライズしました、的なお話だなあと思ったら訳者あとがきで、オンラインゲームとのメディアミックス的流れで生まれた物語だったようで。なるほどね、と思った。何も知らない(が、潜在能力は結構ある)主人公が出だしで意外にのっぴきならない状況に追い込まれ、頼りになる協力者の助けもあってそこからなんとかピンチを脱し、自分の能力と様々な学習によって少しずつレベルアップしていき、その流れがとあるイベントでかなり大きなターニングポイントに到達し…、と言う流れは実にRPGらしいと思う。

ただ、RPG的にいうクエストがいくつか重ねられるところは正味無くてもいいんじゃないかな、って気はしないこともない。わりと退屈なパートが中盤に控えているのね。で、このあたりで「これはスカを引いたかな」って気がじわじわと寄せてくる感じがあって少々心配になったりもしたんだけれど、先に述べたターニングポイントのあたりから、お話はそれなりに独自の展開を見せてくれて、「あ、割と面白いかも」って気にはなったし、オチの付け方もまあ意外性を秘めつつも納得できるものになっていて、最終的にはまあ、「うん、そこそこいけたね」ってあたりに落ちつく感じかな。

かなりイケてるはずなのになぜか外れクジばかり引いていて、そのことに腐っていたらば実はその外れクジの連発こそが、主人公を成長させるために周到に仕組まれたものだった、とか、いわゆる「選ばれたもの」が勝っていくお話になっている、ってあたりに不満なしとはしないけど、それでもまあターニングポイントにおける主人公の選択には軽くサムアップしても良いかな、ぐらいには思いましたよ。そこも含めて最終的に「そこそこ」に落ちつくって感じですわな。

蛇足。訳の文体がちょっと気になった。一人称でお話が進むんだけどこれではちょっとフレンドリーすぎやしないかね。これで読み味が少しばかり悪い方にスライドしちゃったような気はしないでもない。ここはもう少しやりようがあったんじゃないのかな。プリンスであることに何の疑問も持ってない時はもうちょっと固めで、それがターニングポイントに来て少し語り口が変わる、みたいなね。

さらに蛇足。これ、ハヤカワSF文庫で出てたら何となく半笑いで済ましてたような気はするんだよな。清濁ごった煮でどんどん出しまっせ(最近はそうでもないけど)なハヤカワなら許せてたものが、創元からこういうの出されると、なんかちょっと、こう…。自分が勝手に創元に少数精鋭、のイメージを抱いてるだけなのかもしれないですけど。

★★★


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