ばむばんか惰隠洞

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2015-05-03 [長年日記]

[Baseball] マケタデー!

G10-3T。7回までは良かったんだけどねえ。いったん歯車が狂うと組織ってのはどんだけ脆いものになってしまうのか、ってのを目の当たりにした気分。古本発送した帰り、飲み屋で一杯やってる時にそこのお店のテレビでボコボコにされるところが映されちゃったのでね。負ける時ってここまで為す術ないものなのか、と思わされましたわ。

[Anime][SpFX] 定期視聴番組

「終わりのセラフ」、「血界戦線」、「黒子のバスケ」、「手裏剣戦隊ニンニンジャー」、「仮面ライダードライブ」、「アルスラーン戦記」。「ドライブ」が結構ドラマ的に複雑な方に話を持ってきているね。基本は「父と子」がドラマのバックボーンになるのかしら。

「アルスラーン…」、原作ではエラムくんを連れて行く時の流れで彼の料理の腕が云々、って話は無かったような。ここはコミック版で追加された要素だったのかな。んまあ荒川弘さんなら入れてきそうな軽い(けど効果的な)ギャグパートだったと思うけど(w。

[Books] 悲劇の発動機「誉」天才設計者・中川良一の苦闘

文庫 悲劇の発動機「誉」(前間孝則/著) 前間孝則 著
カバーデザイン 間村俊一
カバー写真 富士重工業株式会社提供/誉エンジン
草思社文庫
ISBN978-4-7942-2120-9 (税別)

中島飛行機の若きエンジン設計者、中川良一。27歳の彼が初めて手がけたエンジン「誉」は、中島の前作、14気筒1000馬力級の「栄」をわずかに上回るサイズでありながら、18気筒2000馬力を実現した奇跡のエンジンだった。「誉」の高性能に驚喜した海軍は直ちに「誉」の量産を決定、すべての軍用機に「誉」を搭載しようとする。だがその高性能は徹底した精密工作とオクタン価の高い高品質の燃料が不可欠なものだった。そしてその条件は資源の調達も含めた日本の工業の基礎体力から見るとあまりにハードルの高いものであり、量産が始まると同時にそのハードルは「誉」に立て続けに起きる構造上のトラブルを引き起こすことになる……。

「マン・マシンの昭和伝説」など、技術系ノンフィクションの第一人者、前間孝則氏の久々の大作。コンパクトさと大馬力を兼ね備えながら、その限界まで「攻めた」設計故に全力を発揮することがほとんど無かった「誉」エンジンとそれを登載した機体については、これまでも戦記系や航空系の雑誌などでさんざん記事になっていて、そこそこの飛行機好きならエピソードの一つや二つ、すぐに思いつくだろう。「我二追ツクグラマンナシ」とか、戦後アメリカで、高オクタン価の燃料で飛ばした四式戦「疾風」があらゆるアメリカの戦闘機に対して互角以上の性能を発揮した、とかね。

高性能と引き替えにした量産性や冗長性が、結果的にエンジン不調に返ってくることになった、とはそういったエピソードのなかでも繰り返し語られるのだけれど、それではそのトレードオフがどういう理由で起きたのか、と言うところまで深く考察する本。本書ではその大元になるものは、航空産業においては新参である中島飛行機が業界でのし上がるために創業者の中島知久平が取った、徹底した性能第一主義と、それに伴っての古い慣習に囚われない若い才能の積極的な重用、そしてその姿勢がどうかすると性能第一主義が暴走してしまったが故に、性能のためなら生産性や入手可能な資源などの条件を無視してもいい、と言う風潮が生産者、クライアント共に蔓延してしまった、と言う流れに見る。そしてその風潮は戦時中のこのエピソードだけにとどまらず、戦後の日本の技術のイノベーションの流れにおいても、その潮流の奥深いところで未だに変わらず根付いている、と言うところが前間さんが一番強調したい部分なのだろうと思う。

このあたりは本書の本体以上にあとがきのパートでかなり熱く語られていて、実は本書の白眉はあとがきなんじゃ無いかと思ってしまったり。単行本刊行の後に東日本大震災が起きてしまった、と言う事情もあるのだろうとは思うけど。で、そこで伝えられる著者のメッセージは説得力もあるし示唆にも富んでいる。ただ、本読み的にはこれは辛いな、ってところもあって結構複雑な気分になってしまうんだった。

ここで語られるのは新興ゆえに無理を通す、投機的な経営者に率いられた一団と、彼らから持ちかけられる多分に甘いセールストークに易々と乗っかり、しかもそのことについて批判的な視点を持たない人々によってもたらされる、一国のマネジメントに対しての致命的なダメージを微に入り細に穿つ検証の過程。それはもちろん極めて示唆に富むのだが、一つ決定的に不足しているものがあって、それは、

ロマン。

様々な「誉」のトラブルとそれが原因の一環となった太平洋戦争の敗戦、そしてそこから、飛行機屋から自動車屋に転身し、そこでエポックメイキングなマイルストーンをうち立てた技術者たちを描いた「マン・マシンの昭和伝説」は一度打ちのめされた人々が再度立ち上がり、再び世界的な評価を得るまでのストーリィであって、そこには何とも言えんロマンの香りが横溢していたのだけれど、本書にはそういう香りは無い。なにせ失敗の研究と、そこを吟味した上での現代の我々に対する警鐘に満ちた本であって、そこにはどうしても明るい方向とか血湧き肉躍る系な展開は期待できないよね(^^;。

それは本書の罪では全くないし、本書の存在意義を減じるものでも無いのだけれど、個人的に前間さんの本には最後に技術屋たちがやり遂げた成果、みたいなものに心から拍手を贈って読了、としたかったものだから、そこの所だけ、ちょっと残念だったかも。とはいえ読み応えたっぷりの一冊であることは間違いない。読んで損なし、な一冊であることは間違いないと思いますよ

★★★★


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