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チャーリー・ヒューマン 著/安原和見 訳
カバーイラスト 鷲尾直広
カバーデザイン 常松靖史[TUNE]
創元SF文庫
ISBN978-4-488-75301-6 \1280(税別)
ケープタウン、ウェストリッジ高校。コンピュータルームがあり、弁論部があり、強いラグビーチームがあり、
、まあありふれた高校だ。ここで俺、バクスターは妖しいビデオを販売して利益を上げている小さな派閥、<スパイダー>のリーダー。学校を牛耳っている二大派閥の間で絶妙にバランスを取って渡り歩いているのだが、この状況をさらに強固なものにしようと画策しはじめた時に問題が発生した。恋人のエズメが突然失踪したのだ。折しもケープタウンには正体不明の殺人鬼が跋扈している。もしかしてそれとも関係があるのか…
手がかりを追い求める俺は、捜索の手がかりとなるかもしれない人物として、超常現象ハンターを名乗るドクター・ローニンに行き着くのだったが…
とても珍しい南アフリカ生まれのSFアクション。続々登場するクリーチャーたちの佇まいにアフリカンな不気味さみたいなものが存分に反映されている…化どうかはよく判らん。なにせそちら方面の知識は全く疎いものですから。反対に読み進めていくと感じられるのはどちらかと言えばライトノベル的な、スピーディーな展開と、そこに盛り込まれる様々なサンプリング、と言えるか。なにせ原題が"Apocalipse Now Now"、続編の原題が"Kill Baxter"って時点ですでにお察しって事になるんじゃないかな。
お話は主人公バクスターの一人称に、世間一般にはサイコパスと見なされている事から、時折はさまるバクスターのカウンセラーの所見がお話のミスリードを誘うための装置として機能していて、そもそもバクスターが語っている、バクスター視点の物語が本当に信頼に足るものなのか? という引っかかりを常にこちらに提示しながら、自分たちが見ているありふれた世界と、そこと微妙にシンクロした異世界を行きつ戻りつしながら、徐々に超常的な何かのウエイトが増し、それに伴ってフリークス続々登場の異形アクションが展開し、最終的にバクスターへのサイコパス診断が意味するものは、という流れからクライマックスに突入する。この流れ自体は(時々もたつくけど)かなり上手いと思うし、なかなか面白い。
そんなわけで中盤のもたつき感は結構気になるけど、総じて楽しい一冊ではあった。続編(原題がアレなら、「ヤッチマイナー!」的な展開が挟まるのかね)もまあまあ楽しみ。ただこの本のラスタチ、別の次元の話だからというエクスキューズがあるとはいえ、倫理的にどうなんだ? という気はしない事もない。倫理的、って話で言うなら主人公は最終的に、倫理的には非常にこぢんまりとした「良き事」(お話の流れ的に、それこそが一番良いんだ、という結論に持って行く事自体は間違ってはいないと思うけど)に落としてるだけに余計にそう思えるんだよな。そこはちょっと、気になった。
★★★
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