ばむばんか惰隠洞

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2015-10-28 [長年日記]

[Day] おでかけ

お空とりあえず急ぎでやる仕事はなくなった予感がしたので、いくつか銀行で支払いの用事もあることだし、ふらっとお出かけ。三宮近辺は出かけるたびにタバコ吸える場所が減っておるね。元町以西だと、結構コンビニの前には灰皿が設置されているんでありがたく一服させて頂く(もちろんタバコの一つぐらいは買い物させていただいてますよ)んだけど、三宮のコンビニは玄関先に灰皿設置してくれないんだね。映画観に行ったんだけど、映画始まるまで20分ぐらいあって、そこで一服できたら嬉しかったのにそういう場所は無いもんだから、結局3時間ぐらい、望まぬ禁煙を強いられてしまうと言う(^^;…

シネ・リーブル神戸で「ヒトラー暗殺、13分の誤算」を観てきたんですが感想は改めて。なかなか良い映画でしたけど感想書くのにちょっと時間かかりそうなので。代わりと言っちゃなんですが夕方のお空の写真なぞ、一枚。

[Chinema] ヒトラー暗殺、13分の誤算

スタッフ
監督:オリヴァー・ヒルシュピーゲル
製作:ボリス・アウサラー/オリバー・シュンドラー/フレート・ブライナースドーファー
脚本:フレート&レオニー=クレア・ブライナースドーファー
音楽:デヴィッド・ホームズ
出演
クリスティアン・フリーデル
カタリーナ・シュトラー
ブルクハルト・クラウスナー/ヨハン・フォン・ビューロー/ダービット・ツィンマーシート
公式サイト:http://13minutes.gaga.ne.jp

自由じゃないのは、嫌だ

1939年11月、ミュンヘン一揆ゆかりのビヤホール、例年通りここを訪れたヒトラーは満員の聴衆に向けて演説を開始する。だが天候の悪化が、次の予定をこなさなければならないヒトラーに、予定の演説を少し切り上げて終了させることになった。これが歴史の大きな転換点かも知れなかった。ヒトラーが立ち去って13分後、ホールに仕掛けられた時限爆弾が爆発、ヒトラーを除く7人が死亡することになったのだ。時をほぼ同じくして、スイス国境で一人の不審者が捕らえられる。所持品の中にビヤホールの見取り図などがあったことからゲシュタポは彼、家具職人のゲオルク・エルザーをヒトラー暗殺未遂事件の実行犯と断定、取り調べを開始するのだが…

ヒトラー〜最後の12日間〜」のオリヴァー・ヒルシュピーゲル監督最新作。1939年、ポーランドで破竹の快進撃を続けているドイツ。国全体が沸き返っている中で、何の後ろ盾もなくただ一人でヒトラーの暗殺を企画した男。彼はなぜ、国中の熱狂に乗らず、純粋に国家の行く末を憂慮し、指導者の暗殺という極端な行為に走ったのかを解き明かしていくと言う映画で、問題なのはヒトラー暗殺が成功するか否かのサスペンス部分ではなく、一人の人間の中で一つの決心が芽生え、それが強固になっていく様を描くのが目的。なのでハリウッド的エンタティンメント(観てないけど、『ワルキューレ』とか)とは全然違う。

なのでこの映画は、まずヒトラー暗殺を狙った爆弾は爆発し、実行犯のゲオルクは捕らえられて、というところからお話が始まるんだった。で、捕らえられたゲオルクに対するゲシュタポの将校によるが開始され、その尋問の流れの局面局面で、それに呼応するようにゲオルクの回想が挟まる、と言う構成になっている。「名前と生年月日は?」と聞かれ(黙秘を続けることで拷問を受け、息も絶え絶えに名を名乗)ると、ゲオルクの青年期の回想が始まる、「なぜ親共産党組織のバッジをつけているのか?」と聞かれることで、国会で多数党となることに成功したナチスと、そちらに対してまだ抵抗勢力として無視できない組織だったドイツ共産党の対立関係があった時期のゲオルクの立ち位置が説明されたり、と言う具合で、そこはかなり上手に出来ていると思った。

徐々に、しかし確実に支配の圧力を高めていくナチス。ただその支配の圧は最初、ひどく心地よく、希望に満ちたものに思え、故に多くの民衆は(世界恐慌後の世情もあって)そこに手もなくすがりついてしまう。だけどゲオルクはそこで直感的に「自由がなくなる」と感じ、安易にそちらに付くことをしないのだが、そうすると自由を求めてナチスの支配から距離を置こうとする自らの立ち位置が、逆にナチスの支配力が増した世界においては自由を奪われ、生き難くなっていく、と言う皮肉、さらにそこにとどめを刺すかのように、恋人のエルザが(深い考えはもちろん無いのだが)言ってしまう一言、それを耳にしたときのゲオルクのショック半分、諦観半分の表情は地味だけどこの映画最大の見所なんじゃないかな。このときにゲオルクは真剣にヒトラーを倒すことを決意したんだろうな、と思えた。

というゲオルク側の人々(回想が挟まるたびにその社会的な地位みたいなものが変わっていくのを見るのも面白い)と対をなすように描かれる、尋問役のゲシュタポ側の二人、ネーベとミュラー(共に実在の人物)の描写も大変興味深い。共にナチズムの信望者ではあるんだが、どちらかというと理が先に立つタイプのネーベと利が先に立つタイプのミュラー。ゲオルクに対する出発点は同じようなポジションだった二人なのだが、ゲオルクへの尋問を通じて二人の意識にも微妙な差異が生まれて行くあたりはこの映画のもう一方の見所と言えるかも。こちらの方にも終盤、皮肉としか言えない結末が用意されているあたりも抜かりがないし、この作品に深みを与えていると思う。

爽快とか痛快とか言う言葉からは一番遠いところにある映画。地味すぎる、とも言えるかも知れない。だけど何かの折に触れ、考えなくてはいけないことに対して非常に真面目に目を向け、その視線をそらすことなく固定し続けた作品だと思う。現在ただいまの我々の状況になぞらえる、のはちょっと違う気がするのでそれはしません(^^;。あと、先に書いたけどこの映画、原題は「エルザー」。このまま邦題にするのはちょっと厳しいかも知れないけど、でもこの邦題はちょっと違うよな(苦笑)。

★★★★

本日のツッコミ(全1件) [ツッコミを入れる]
taoy@笹塚 (2015-11-03 22:09)

「エルザー」観て来ました。いやぁ、良い映画でしたね。<br>なんで日本では太平洋戦争若しくは明治維新を題材にしたこういう映画が作られないんでしょうかね。その辺りが物凄く不健全な気がします。ハイ。


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