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アン・レッキー 著/赤尾秀子 訳
カバーイラスト 鈴木康士
カバーデザイン 岩郷重力+W.I
創元SF文庫
ISBN978-4488758028 \1200 (税別)
ラドチの皇帝、アナーンダ・ミアナーイの分裂抗争に端を発した内乱は、宇宙艦<トーレンの正義>の
やたらと景気のいい受賞履歴で盛り上がった「叛逆航路」の続編。前作から時をおかずに語られるのは、いろいろ事情があって敵であるアナーンダの命を請ける事になったブレクの、ある意味官僚的というか、リーダーの資質みたいな部分に重点を置いたお話になっている。なので前作で特徴的だったジェンダーにまつわるお話や、属躰からも連想される、複数の実体を使役できる一つの人格、みたいなところの描写はかなり控えめで、かわりに本作で語られるのは案外ストレートなシェリフもの、みたいなテイスト。で、そこは実は結構良く出来ていると思う。
基本的なお話の流れは、それまでとは少し様子が違う世界に放り込まれた主人公が、自分のスタンダードを曲げずに問題に向き合い、それを解決していく流れのなかで、それまで批判的だった違う世界の人たちの意識も変えていく、と言う話になっていて、そこのところの匙加減は悪くないと思う。それなりにユーモアも効いているし、お話の大きな流れのなかで、先に続くネタ振りてきな要素も油断はないと思った。
ただ、そこのところの面白さが先に立つと、今度は(本書…のとりわけ前作が各賞取りまくった理由であろうと思われる部分であるところの)SF設定の面白さ、ってところがどうしても後回しになってしまう、って弱みが前に出て来てしまう恨み、みたいなのはあるのかも知れない。ジェンダーの識別が割と曖昧な世界で何が起きるのか、ってところはぶっちゃけ、セックスの問題に斬り込んでいかないと話が拡がらないと思うんだけど、残念ながらそこのところへの斬り込み具合は案外控えめで、ある意味「普通なお話」の完成度で勝負をかけてきている感の方が強調されているな、と思うんだった。
で、そこのところの完成度は案外高いと思えるので、時々退屈はするんだけども総じて楽しく読んでいける一冊にはなっていたと思う。「物語」としてはそんなに悪くないんだよね。ただこれ、SFとして何か凄いのか? って考えたら「どうなんだろうなあ…」と思ってしまうのも確かなところで。
四コママンガで言う「承」のパートって事なんでしょうかね。次が「転・結」ちゃんとカバーしてくれてたら文句はないっす(w。
★★★☆
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