ばむばんか惰隠洞

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2004-06-14 この日を編集

[F1] F1カナダGP決勝

前日のスピンを引きずったタクのピットスタートから始まって、ヤルノの不可解なずるずる後退、ピット出鼻のタク前の多重クラッシュ、そしてもはやF1終盤の風物詩となりつつあるジェット風船…じゃなかったタクの大ブロウ、とめまぐるしい展開な割に結果はぱっとしないという、まるで仮面ライダーブレイドのようなレースでございましたな。

今のエンジン、ドライバーが無茶な使い方をしたぐらいでそうそう簡単に壊れるものじゃあない、と言うのもわかるんだけど、それでもねえ…。警視庁の優秀な刑事である松井さんはおっしゃってますよ。

おれは偶然も2つまでは許すことにしているんだ。

しかし3つも重なったらこいつは偶然とは思えん、何らかの必然があるんだ。

それはそれとして、今回はスカこいてせっかくのリザルトがフイになっちゃったけど、ウィリアムズの速さは本物なのかな? だとするとBAR、ますます足元が不安になってきた気がするよなあ。

[TV] 月曜時代劇

「銭形平次」と「水戸黄門」。せっかく村上平次に馴れつつあるところなのに、来週最終回なのかあ。平次親分の後番組は「子連れ狼」。どうやら次のシリーズが完結編になるようで、ってそういえば最近、復刊された「アクション」で「子連れ狼」の続編、の様なモノが掲載されてるんでしたっけか? したらドラマの方もネタはあるってことなのかも。主題歌が小椋桂バージョンから例の♪しとしとぴっちゃんしとぴっちゃん、に戻るみたいでめでたいですな。できれば平次親分の新シリーズやるときは、あの松山千春のヘタレた主題歌はナシにして欲しいところで。やっぱ銭形平次は♪おぉーとぉーこだったぁーらぁー、だべさ。黄門様の方はフィーチャリング・アキで「ホーム・アローン」をやってみよー、と言う趣向で、まあまあ面白かったかな、って感じで。

と言うか最近、その後の月曜ミステリー劇場がときどきすごく面白い時がある、つーのはもしかして私、おばはん化が進んでたりするんだろうか、ううむ。

[Baseball] オリッ鉄問題

今日の朝刊でもいろいろ取りざたされてた。その中で大阪の市長さんが、赤字の嵩むタコ焼きドームを抱えている立場上、近鉄は運命共同体であると訴え、存続球団として残って欲しい、様なコメントを出してたけど、ここはあれですよ市長さん、せっかく「大阪近鉄バファローズ」を名乗ってるんだもの、ここから近鉄だけ取って「大阪バファローズ」を名乗りましょうや。大阪市にとどまらず、大阪府から資金を援助する「府民球団」として大阪人全員でバファローズをサポートするってのはどうですか。大阪府民全員から"バファローズ応援税"として月100円出してもらってみなさいな。大阪府民、今800万ぐらいでしょ? 納税者がその半数としても月4億ですぜ。一年で赤字解消出来るんちゃうの?

オリックスの方は、あれはせっかく商才に長けた人が経営トップに立ってるんだから、しばらくは手腕拝見、で良いのじゃないのかしらね。

[Hobby] 笑えばいいのか、泣けばいいのか

三宮の東、サンパルで開催された「サンパル青空古本祭」 を冷やかしにお出かけ。 web古本屋として、商材としてこれはおいしい、てのは残念ながらそうそう無かったけど、個人的にちょっと面白そうな本があったのでそちらは確保。第二次大戦の日本の軍用車両を要領よくまとめた本があったので購入して読んでいたんだけど、ビルマ戦線で日本最強の主力戦車として活躍したのが、鹵獲したアメリカ製M3"スチュアート"だった、てのはちょっとこう、笑ったらいいのか泣くところなのか、微妙なところではありますな。

日本の戦車のヘタレぶりは今までもしばしば言われているところではあるんだけど、そのヘタレの根幹にあるモノというのが、そもそも軍首脳が戦車には何より高初速の砲弾を撃ち出すことのできる砲を搭載することが肝要だってことを思いつかなかったことにあったのだ、ってのは言われてみればその通り。ドイツではすでに高初速の高射砲を戦車砲に転用する、ってのがごく自然な流れだったのに、日本ではそれを取り入れることができなかった、ってあたりは何かと示唆に富む物がありますな。速度が必要な局面って、日本人には苦手なモノなのかしらね。

本日のツッコミ(全1件) [ツッコミを入れる]

bongo [weight loss phentermine http://www.network.axe.cc Phenterm..]


2005-06-14 この日を編集

[Books] 海を見る人 (24:06)

海を見る人(小林泰三/著) 小林泰三 著
カバーイラスト 鶴田謙二
カバーデザイン 岩郷重力 + WONDER WORKZ。
ハヤカワ文庫JA
ISBN4-15-030797-0 \700

一人ぽつねんと浜辺に座り、遠く海を眺める一人の老人。彼が目にしている物は遠い恋の記憶。そして見られている物は悲しい今その瞬間だった…。表題作他6編で構成された、ハードSF短編集。

「目を擦る女」に続く小林泰三の短編集。前のがなんというか、すばらしく懐かしい味わいに満ちた短編集であった訳だが、今回もまた、懐かしさに満ちあふれた物になっている。ただし今回の"懐かしさ"は前回とはちょっと毛色が違っていて、ごくごく個人的な回想になってしまいますが、'80年代初頭、当時続々と訳出されていた、ニーヴンらの作品に代表されるハードSFに初めてぶち当たったときの、「いや、なんか凄いことがここでは起きているのだろうけれど、えーとえーと、つまりその仕掛けはどういうもの?」という、当惑が先に立ったような読後感を味わっていた自分がいたなあ、懐かしいなあ、というそれな訳だったりする。こういうの読んでオロオロしてたよなあ、SFがちょっと自分の手に届くところの先に行っちゃいそうだなあ、と思った、あの記憶が蘇りますな。鶴田謙二の柔らかいイラスト、カジシン作品かい、と思っちゃう帯の惹句で勝手にイメージをつくり、無防備に本書のページを開いた次の瞬間、わたしゃちょっぴり本書の編集者を呪いたくなったよ(w。

本書に収録された7編はすべて、どこに出しても恥ずかしくないハードSFだ。著者の小林さんは"あとがき"の中で「ハードSFの素養がなくても、ファンタジーとして充分楽しめる物になっている」(大意)と書かれているが、これは半分あたってて、半分外れだと思う。ファンタジーとして充分楽しめるのは間違いないが、ハードSFと言う物を、"わかる"かどうかは別として、少なくともその読み方をある程度訓練した人でないと、この本は楽しめないんじゃないかしら。ここは飛ばし気味に読んでも大丈夫、ってあたりの匙加減がわからないと、要らんところで苦労しそうだなあと言う気はする。もちろんワタシみたいに「ええいここも飛ばしてしまえー。たぶん大丈夫だろー」などと自分を過信してもいかんのですけどね。

そんなこんなで、それなりに読み手を選びそうな本ではある。ちょっとした読むコツがあれば、叙情あり、ユーモアあり(ちょっとブラックだけどな)、独自のパースペクティブありと、バリエーションに富んだ短編を楽しめると思うのだけれどもね。

ということで収録作品ごとに短いコメントを。ネタバレもあるかも知れないので前もって謝っておきます。ごめん。

時計の中のレンズ

一発目からもろに"ノウンスペース"のイメージがあったので、個人的には「カバーのイメージはいったん忘れた方が良さそうだ」などと言う気にさせていただいた。ちょっと「インテグラル・ツリー」の雰囲気を感じたかな。ただ、ここで語られる世界はもう少し念が入っている。アイデア側の仕掛けを語る必要が結構ある分、ストーリー側にもう一歩、ふくらみが足りなかった恨みは残るかも知れない。

独裁者の掟

これは構成の妙にこちらが幻惑されてしまった。落ち着いて読めば登場人物の立ち位置がパラグラフごとに微妙に変わっているのに、それに気付かなかったこっちの負け。ちょっと光瀬龍のジュブナイルSFのテイストがあると思った。

天獄と地国

これのどこが面白いかというと…って、と学会じゃないんだから。で、これのどこに真の面白さがあるのか、解説で知るか読んでるうちに「ははん」と思うかで読者のハードSF者係数がわかるような作品。もちろんワタシは解説読んで「な、なんだってー」と思ったクチです。アイデア的にはニーヴン風味なれど、お話のトーンはベンフォードっぽいですね。正体がわかったあとは、本作こそ本書の白眉のような気がしてくる。

キャッシュ

電脳ハードSF、あるいは小林泰三的「マトリックス」って感じですかね。

母と子と渦を旋る冒険

なぜか童話仕立て。なのだが扱っている内容のスケールはとてつもなく大きい。話の本室とは関係ないんだが、キャラクタのネーミングがなぜそうなのか、を考えると夜も眠れないような気になってしまう。なぜ×××なんだ? 普通にススムくん、とかじゃなぜダメなんだ? ああ気になる。

海を見る人

前の短編集でもチーラ人、またはメスクリンな世界を描いた短編があったように記憶しているが、本書の根っ子もそれ。有り体に言ってしまえば地球人に恋したチーラ人の話なんですな。美しい話ではある。が、ちょっと先に設定ありきな感もなしとしないな。

ハードSF的に(スター・トレックの)転送装置をちゃんと定義しよう、そこからさらに何が見えてくるか考えてみよう、な作品、だと思う。だって途中で登場する宇宙船の名前が(^^;)…。お話の結末が割と早い段階で割れちゃうのが惜しかったかなあ。

というところで。全体としては実に楽しく読ませていただいたのだけど、「タフの方舟」同様、本の体裁でなんだかなーこれは感が残ってしまう恨みはある。なんかこう、カバーイラストやら帯やら愚にもつかん巻末マンガやら、要らんことやり過ぎなんではないかいな、と。ここまでやらんとハヤカワの本は売れない状態になってるんでありましょうか。それはそれで困ったことではありますなあ。もちろんそういう部分とは別に、本書自体は充分に楽しい一冊であるわけで、そこを貶めようとか言う気は全然ないのですけど。

ハヤカワ文庫がぬえ系のイラストレーターさんを多用し始めた(とはつまりワシらがハヤカワ文庫を買い始めた頃)時に、もしかしたら古くから(例えば『銀背』からの)のSFファンは、今の私と同じ気分を感じたりしたんでしょうかね。それだけの話であれば良いんだけど、と、これは余計な話ではありました。

(★★★☆)

[Day] 家族の疑惑 (24:29)

さっきお酒のあてに、と思って冷蔵庫を開けて、新生公司の焼豚を引っ張り出したときに気がついた。夕方までは誰も手を付けてなかったヱビスビール6本パック、2本なくなってる。ん?

買い物から帰ったカミさんが缶ビの栓を開けることは良くある。あるけど二本は飲まん。オレは今日はビール飲んでない。なんで二本減ってるんだ?

もしかして、キミ?>倅

ここまでずーっと、風呂上がりにはヨーグルトとかぜりーとか、なかなかお子ちゃまなモンを喰ってたキミ、もしかして風呂上がりにはビールでぷはー、に方針切り替えた?

うーむ。

父としてはうれしいような、酒代がかなわんなー、なような気分ですわあ。


2006-06-14 この日を編集

[Books] ノヴァ急報 (24:23)

本書カバー ウィリアム・S・バロウズ 著/諏訪優 訳
カバー 久里洋二
サンリオSF文庫

カットアップ? フォールドイン? なんだ、切り貼りのことか

ノヴァ=超新星爆発。それは世界に多量のウィルスを巻き散らす。まき散らされたのは"言葉"、産み出されたものはありとあらゆるフリークス、ヒロシマとナガサキの大爆発、書き換えられる細切れの情報たち。ビートニクを代表する作家のひとり、バロウズの代表作のひとつ。

商売モノに手をつけるシリーズ。「裸のランチ」、「爆発した切符」、それから本書。タイトルからして挑発的な"ビート・ジェネレーション"を代表する(というかこの人はその産みの親とも言えるわな)作品は、少なくとも最初から"小説"の体裁を取ることを拒否している。有名なカットアップ・フォールドイン(すでにある様々な文章の一部を切り取って並べていく、後にはそれもめんどくさいので、アリ物の本のこのへん、ってあたりを折り曲げて並べてみるという、言ってみれば非常にズボラなサンプリングの手法だわな)を駆使して作り上げられる世界は、誤解を恐れずに言うなら、何かに追いまくられてひたすら逃げまくる人間の言い訳。

逃げてる最中の人間は、とてもじゃないけど筋道立った"自分がなぜ逃げているのか"に対する説明なんかできやしない(そんな暇があったら一歩でも遠くに逃げたい)わけで、当然その言い訳は支離滅裂になる。その支離滅裂ぶりってのは端から見てるとなんか良くわからんけど妙に面白い。この本が持ってる、良くわからんけどとりあえず次のページもめくってみようか、って気にさせる力の根源ってのはそのあたりに潜んでるんじゃないだろか、って気はした。正直"本"としてはつまらん。だがだからと言って適当にページを飛ばして読むことを、読者に「ま、それもいいか」などと簡単に納得させてしまうほどにつまらん本ではない。なかなか微妙だ。

作家の人となりなど調べてみると、この人はこの人なりに悲惨な人生送ってて、アメリカを代表するようなタイプライター会社(ってとこがすでに皮肉かも)の御曹司に生まれながら家業を継ぐことを良しとせず、私立探偵やらヤクの売人やらを転々とし、自らも一時はヤク中になり、ラリって自分の嫁さんの頭を拳銃で吹っ飛ばし、南米に逃げ出したりしたような人間であるらしい。物語のキャラとしてはおいしいが、間違っても自分の半径1メートル以内に入って欲しいタイプの人じゃあない。筋金入りの"追いまくられキャラ"なんである。その追いまくられっぷりは尋常ではなく、そこに読む側にとっての面白さ、みたいなモノがうまれておるなあという気はする。そこをこの作家はちゃんとわかってて、そのキモの部分をしっかりと作品の中で増幅させてきている感じはあるね。

ワタシとしては総じてつまらないのだ、この本。でも、つまらないのだけれど読むからにはとばし読みなんかするんじゃなく、ちゃんと各ページに目を通しなさいよ、と行間からキツく言われているような気がして、手を抜きづらくなってしまう妙な本。面白いか? といわれたら面白くない、と答える。つまらんか? と聞かれたらいやそういうわけでも、と答える、そんな本ですなあ。

山形浩生さんの解説、コメントも興味深く、示唆に富んでいる(ワタシは山形さんほどにはすぱっと読み切れないけど)ので、是非参考に読んでみてくださるとよろしいかも、です。

(★★★)



2009-06-14 この日を編集

[TV] 定期視聴番組 (24:07)

土曜日に「黒神」、「東のエデン」、「リストランテ・パラディーソ」、「仮面の忍者 赤影」、「タユタマ」、「バスカッシュ」、「けいおん!」、「パンドラハーツ」。なんだろね、「けいおん!」の先輩諸氏の自由っぷりが、見ててなんだかイラッと来る、てのは。

日曜日。「戦国BASARA」、「亡念のザムド」、「神曲奏界ikry」、「戦場のヴァルキュリア」、「侍戦隊シンケンジャー」、「仮面ライダーディケイド」、「フレッシュプリキュア!」、「鋼の錬金術師」。シンケンジャーとディケイドの予想の斜め上への飛びっぷりが強烈だわ。イカシンケンオーにディケイド・ファイナルフォーム。イカシンケンオーはともかく、ディケイドのそのスタイル、いったい誰がオーケー出したんだ? カッコいいとは、そういうことか? ああもう何がなんだか分からない。

ラッシュバレーのエピソードをかなりはしょってやってたハガレン。このあたり、ちょっといいエピソードが結構飛ばされちゃってた感じだな。全体の尺の都合とか、あるんですかね。

そんでもってこちらが、次のライダー、仮面ライダーW (honeykicker.com) ですってさ。うーん、これはまた……。

本日のツッコミ(全5件) [ツッコミを入れる]

TUX [●「けいおん!」は確かに「才能のある連中がそれをろくに磨くこともせずだらだらとやってるけど、なんとなく結果オーライ」..]

は゜ん [次のライダー(;´Д`) なんか昔のカゲスターとかダイヤモンドアイとか あの辺りのキワモノ感が出てきたなぁ。]

rover [webではシュバルツ兄さん呼ばわりされてるらしいですよ(^^;)。]

TUX [●バイクが、なんか「偽ガンダムバイク」みたいにも見えます(爆)]

まなたけ@へぼん [ピンクディケイドといい、今回の遺影ディケイドといい^^;、 無き石森先生のブラッシュアップ前の自由奔放混沌ラフデザイ..]


2011-06-14 この日を編集

[Day] 逃避してみたら珍しい出会いがあった

TRちゃん経由の仕事が昨日クライアントチェックだったので、今日あたり厄介な電話がかかってくるんじゃないかと思い、そんなときにすぐ仕事できる環境にいてたら面倒だなー、と思ったので今日は外出。本屋巡りやら古本屋冷やかしやら、公園のベンチでしばらく読書やら、基本的にだらーっと時間を潰して、帰りの電車を待ってたら、昔の会社の同僚だったONKさんにばったり遭遇。多分数年ぶりで、いろいろ懐かしい話を聞かせてもらった。

今、カノープスってアメリカの企業の傘下になってしまっているんだね。ONKさんはもとカノープスの社員さんで、オレが一時期お気に入りだったVPORT Proの画像キャプチャ部分のアルゴリズムを担当したりしてるんだけど、カノープスはフランスのトムソンとの合併が解消され、アメリカのグラスバレー傘下に収まっているらしいんだけど、この流れの中でかなりばっさりしたリストラなんかも実行されたみたいで、知った名前もいくつかリストラ対象になってしまってたことを聞かされて、どこもせちがらいんだなあと、今さらながらに思ったことでした。どう見てもスキルある(とオレには思えた)方が切られちゃった、なんて話を聞くにつけても。

つーこって、もうちょっとこの辺の話はしたいですなー、まじじんとかそーちゃんあたりも交えて、なんてちょっと思ったことでした。

[Books] マルドゥック・フラグメンツ

マルドゥック・フラグメンツ(冲方丁/著) 冲方丁 著
カバーイラスト 寺田克也
カバーディレクション&デザイン 岩郷重力+WONDER WORKZ。
ハヤカワ文庫JA
ISBN978-4-15-031031-8 \700(税別)

豪華予告編8連発

「マルドゥック・スクランブル」、「マルドゥック・ヴェロシティ」、そして予告されている新作、「マルドゥック・アノニマス」の三つの物語の間を補完する短編集。「…スクランブル」改訂版の執筆やアニメ版に関するインタビューも掲載。

すでに他のアンソロジーに収録された作品が2作含まれているので、そこでちょっとお買い得感が削がれてしまうのだが、普段雑誌を追いかけてない自分にとっては「マルドゥック…」のシリーズの新作として「アノニマス」が企画されている、ということを知ることが出来たのはちょっとした収穫だし、ちょっぴり不安も無くはない。収録された作品は以下のようなもの。

マルドゥック・スクランブル"104"

こちらは既読。感想も特に変わりはないです。

マルドゥック・スクランブル"-200"

こちらも既読。この二作はウフコック・ボイルド・ドクター三人組の時代のエピソード。

Preface of マルドゥック・スクランブル

ボイルドと分かれたウフコックが、バロットと組むことになる直前のお話。バロットの内面的な部分を少しだけ掘り下げて見せるようなエピソード、かな。

マルドゥック・ヴェロシティ Prologue & Epilogue

こちらは「スクランブル」の対バロット(+ウフコック)との最終バトルをお話としてはプロローグ、時系列的にはエピローグに据えて、そこにボイルドやウフコックの生い立ちのエピソード、さらには彼らのいる、マルドゥック市という世界の説明までも加わる。で、それらはそのまま第3作、「マルドゥック・アノニマス」を構成する(であろう)いくつかのピースも提示した形になっているのだと思う。

ついでにこれが多分、ボイルドのお話としては最終話と言うことになるんだろうな。ちょっと惜しいかも。

マルドゥック・アノニマス "ウォーバード"

こちらは第3作でいろいろ動くであろう新キャラたちをお披露目するようなエピソード。ついでにウフコックとバロットのコンビの息の合い具合も存分に楽しめるエンタティンメント・アクションの小品としてなかなか良い感じに仕上がってると思う。前のエピソードだけではちょっと意味不明だった部分の補強的な意味もあるかな。

Preface of マルドゥック・アノニマス

こちらはたぶん、新作の予告編として映像化したらかなりな物になるんじゃないかって気がしてくるような、「アノニマス」の内容にもう一歩踏み込んでくるような作品。ウフコックどうなっちゃうの? 的なフックはかなり効いてたね。

冲方丁インタビュウ 古典化を阻止するための試み

「スクランブル」改訂版とアニメ化に関する、早川書房のスタッフによるインタビュー。聞き手がハヤカワさんなので、そこはちょっと差し引いて読んだ方が良いと思う。

抜粋収録 事件屋稼業

「マルドゥック・スクランブル」の初期原稿。実は「事件屋稼業」側の表現も混じってたりするあたりがちょっと楽しかったりする。「トラブル・イズ・マイ・ビジネス」だよね(w。

ということで。基本的に超豪華なティーザーにしてトレイラーで、そこの所はまあ満足できるんだけど、「マルドゥック」シリーズの行く末、みたいなものまで考えると、先にも書いたけれどちょっとした不安もついてくるあたりは少々複雑かも。自分は改訂前の「スクランブル」の良くわからん熱気に当てられた口(感想:圧縮 燃焼 排気)で、それが「ヴェロシティ」になってちょっと心配になり、その心配は本書を読んでみると若干悪い方向に膨れているのかな、と言う気はしなくもない。なんだろう、テクニックの冴えが作品世界の温度を下げてるんじゃないか、と感じることがたまにあるんだよな。それが技巧って事なんだろうと思うし、読み手にとっては良い方向にシフトしていると思うべきなんだろうけれど、それとは別に、多少壊れてても熱意が全てを引っ張りきる、ような話にも得難い魅力があると思うんだ。そこに留まってしまうのは、作家としては拙いって事なんだろうか…。

何はともあれ続きが読めるのはとても嬉しいし、そこにはすでにショッキングな要素がすでに約束されている訳で、それだけでも新作に対する興味はかなりのモノ。期待して、待ってます。

★★★


2012-06-14 この日を編集

[Oldbooks] ひとまずおしまいオプ

国連制圧(Clancy,Tom/著 Pieczenik,SteveR/著 伏見威蕃/翻訳 PieczenikSteve/著 ほか)たぶん軽石庵さんにある「オプ・センター」ものはこれでラスト。今回のタイトルは「国連制圧」。

国連本部で開催される年次の平和式典。今年の式典では前作で辛うじて維持されたスペインの治安、そのための国連平和維持部隊に関わった国家の活動を讃える目的で、スペイン人作曲家の手になる「平和の歌」が演奏されることになっていた。その演奏に選抜されたバイオリニストの少女達のひとりは、偶然にもフッドの娘、ハーレーだった。

だが式典の準備が進む会場に、突然一台のバンが突入。中から現れたテロリスト達はたちまち会場を制圧、巨額の身代金を要求し、要求が受け入れられなければ人質を殺害する、と宣言する。国連という特殊な地理的条件ゆえに各国の足並みが揃わぬまま、やがてタイムリミットは過ぎ、無常にもひとりの人質が殺害され…

一種の外交官特権的なものが複雑に絡み合っているがゆえに、アメリカで起きている事態でありながらアメリカが直接手を下すことが困難な状況で、さあどうするオプ・センター、って話なんだけど、そちらの方のお話の流れはまあ、あまりうまくない。多分敵がかなり格下なレベルだからなんだろうと思う。作者達は多分、今作でホントに向き合わなければいけない敵は、テロリスト以上に厄介な存在としての「善意」で行動する人々であるって事になるのだろうな。この辺は前作でもちょっと紹介した、クランシーが思うアメリカの苛立ち、に共通するものがあるんだと思う。

それともうひとつ、本シリーズを通して描かれるのは家族の幸福と国民の義務、みたいなもののせめぎ合い、かな。

主人公フッドは元LA市長。市長としてそれなりに功績も挙げてきたが、激務ゆえになかなか家庭を顧みることができない。それを嫌って一度は政府関連の閑職に就いたつもりのフッドだったのだが、いろんな巡り合わせのおかげで彼は市長時代以上の激務を強いられることになってしまい、彼の妻、シャロンの苛立ちは募るばかり。一方のフッドはそんな妻に申し訳なさを感じつつ、国を守る、と言う仕事自体にはなんの疑問もないし、やりがいもあるし、何よりオプ・センターと言うチーム自体が、フッドにとってはもうひとつの家族のように心地よいものにも思えてきて…、という。

銃後の守り、でもないけど一方で国を、ひいてはそこの国に住む国民である自分の家族を守る仕事をしている事に高い責任感と充足感を得ているフッドと、彼がその仕事の方ばかりを優先するがゆえに、家族の触れ合いがどんどん失われていくことに、それを理解しなくては、という理性とないがしろにされている事への苛立ちのせめぎ合いからどんどん不安定になって言ってしまうシャロンの関係性は、巻を追うごとにややこしくなっていて、なんかこう、家族持ちとしては身につまされるというか、いろいろ考えさせられるというか(ま、わたしゃそんな立派な社会人でも家庭人でもないですけどね)。

前巻で一旦は究極の危機的状況を回避できたかに見えたフッド夫妻だけど、状況が完全に回復しないうちに、今度は自分達の愛する娘がテロの巻き添えにあってしまって状況はまたおかしなことに。妻であり母である自分としては、夫にそばにいて力づけて欲しいんだけど、その父にはこの危機的自体を解決に導くだけの能力のある人物である以上、自分のそばにいない方が、実は娘のためには有利かも知れない、と言う事態、ってのはなかなかに皮肉なお話である事よ。

お話がどう落ち着くかはまあ、本読んで、って事になる。で、肝心のお話は先にも書いたとおり極上とは言えないので、シリーズ通して読んでて、興味を惹かれた人限定で、って事にしておきましょうか。

それはそれとしてこの夫婦の行く末がどうなるか、ってのを確かめるためだけに、このシリーズの続き、ちょっと読みたくなっちゃったな(w。


2016-06-14 この日を編集

[Books] 亡霊星域

亡霊星域(アン・レッキー/著 赤尾秀子/翻訳) アン・レッキー 著/赤尾秀子 訳
カバーイラスト 鈴木康士
カバーデザイン 岩郷重力+W.I
創元SF文庫
ISBN978-4488758028 \1200 (税別)

ラドチの皇帝、アナーンダ・ミアナーイの分裂抗争に端を発した内乱は、宇宙艦<トーレンの正義>の属躰(アンシラリー)ブレクから艦と仲間を奪い去り、今やブレクはただ一体の属躰として宿敵でもあるアナーンダの命を受ける立場となっていた。彼女に課された使命は宇宙艦<カルルの慈>に座乗し、辺境のアソエク星系の守護を主任務とする艦隊司令官に就く事。いわくありげな副官たちを押しつけられ、アソエク星系に赴いたブレクだったが…

やたらと景気のいい受賞履歴で盛り上がった「叛逆航路」の続編。前作から時をおかずに語られるのは、いろいろ事情があって敵であるアナーンダの命を請ける事になったブレクの、ある意味官僚的というか、リーダーの資質みたいな部分に重点を置いたお話になっている。なので前作で特徴的だったジェンダーにまつわるお話や、属躰からも連想される、複数の実体を使役できる一つの人格、みたいなところの描写はかなり控えめで、かわりに本作で語られるのは案外ストレートなシェリフもの、みたいなテイスト。で、そこは実は結構良く出来ていると思う。

基本的なお話の流れは、それまでとは少し様子が違う世界に放り込まれた主人公が、自分のスタンダードを曲げずに問題に向き合い、それを解決していく流れのなかで、それまで批判的だった違う世界の人たちの意識も変えていく、と言う話になっていて、そこのところの匙加減は悪くないと思う。それなりにユーモアも効いているし、お話の大きな流れのなかで、先に続くネタ振りてきな要素も油断はないと思った。

ただ、そこのところの面白さが先に立つと、今度は(本書…のとりわけ前作が各賞取りまくった理由であろうと思われる部分であるところの)SF設定の面白さ、ってところがどうしても後回しになってしまう、って弱みが前に出て来てしまう恨み、みたいなのはあるのかも知れない。ジェンダーの識別が割と曖昧な世界で何が起きるのか、ってところはぶっちゃけ、セックスの問題に斬り込んでいかないと話が拡がらないと思うんだけど、残念ながらそこのところへの斬り込み具合は案外控えめで、ある意味「普通なお話」の完成度で勝負をかけてきている感の方が強調されているな、と思うんだった。

で、そこのところの完成度は案外高いと思えるので、時々退屈はするんだけども総じて楽しく読んでいける一冊にはなっていたと思う。「物語」としてはそんなに悪くないんだよね。ただこれ、SFとして何か凄いのか? って考えたら「どうなんだろうなあ…」と思ってしまうのも確かなところで。

四コママンガで言う「承」のパートって事なんでしょうかね。次が「転・結」ちゃんとカバーしてくれてたら文句はないっす(w。

★★★☆

[Baseball] カッタデー!

T2-0Bs。やっと勝たせてもらえたねえ(苦笑)


2019-06-14 この日を編集

[逸級介護士] 次なる野望もあっさり成就

11時前ぐらいに出動。距離的には前のローソンと同程度なんだけど、今回はちょっとアップダウンがある。帰りの方が上りはキツいので、キツそうだと思ったら西鈴に出て電車で帰るか、と。

割と足はしっかりしていて、多少ののぼりも何とかこなし、無事に王将に到着。12時前って事で運良く席も空いてたんで一安心。連れがいることに店員さんがちょっと驚いてた(w。

カミさんは念願のジャストサイズの揚げそばに餃子一人前、オレはジャストサイズのニラレバに餃子一人前、あと瓶ビール。ジャストサイズつってもメニューによって量に差があるんですね。揚げそばは結構ボリューミィ。餃子も普通に一人前って事で、こりゃちょっと塩分とかたんぱく質とか、摂取しすぎかもなあと思ったけど、たまにはいいか。月に1度の贅沢だけど、お酒もちょっぴり、飲んだわね(ビール三口な)♪ 食い切れないんじゃないかと思ったんだけど、ぺろりと平らげやがりました(w。

飯のあとは西鈴方面に向かい、駅チカのスーパーで買い物して電車で一駅。晩飯はカミさんが担当して回鍋肉に大根と鶏つくねの煮物。前回よりも包丁の持ち方がしっかりしてきたような気がする。

次回の野望は昨日の朝刊に挟まってた焼き鳥店開店のチラシ。王将からもうちょっと歩いたところにできたようで、ここは前に洋風居酒屋(はやっているのを見たことがなかった)があったところだな。ンじゃ次はここで焼き鳥食うベ。


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ここ1週間分の話題

傑作です

懐かしさ満点

妖精を観るには…

ジュヴナイルとしてなかなか良質

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