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2017-02-15 [長年日記]

[Chinema] 文芸映画二本立て

ちょっと気になるタイトルがあったので、昨日ちょっとがっつり目に仕事済まして、朝からパルシネマしんこうえんで映画鑑賞。

B06WCZ7BV5一本目は「トランボ ハリウッドに最も嫌われた男」。2015年アメリカ、監督・脚本ジェイ・ローチ、出演ブライアン・クランストン、ダイアン・レイン、ヘレン・ミレン、マイケル・スタールバーグ、ルイス・C・K、エル・ファニング 他。ハリウッド最高額のギャラが設定されている脚本家、ダルトン・トランボ。彼は映画産業に従事する底辺の労働者たちの待遇を改善しようと共産党に入党し、活動を開始する。だが時はまさに冷戦のさなか。狂騒的とも言える共産者狩りの動きはハリウッドにも及ぶ。仲間たち共々「ハリウッド・テン」と名指しで攻撃の矢面に立ったトランボは、それでもみずからの信念を曲げず、家族ぐるみで赤狩りの嵐に立ち向かうのだが…。

ダルトン・トランボ。自分にとっては生まれて初めて映画を見て、言いようもないトラウマを叩きつけられる結果になった作品、「ジョニーは戦場へ行った」の原作者にして監督。自分としてはそういう人、というイメージが先にあったのだけどこの方、「ローマの休日」(ただし名義を別人に譲渡)、「スパルタカス」、「栄光への脱出」、「パピヨン」、「ダラスの熱い日」などなど、多数の名作の脚本を書いた人で、先に述べたように冷戦の始まりとともにハリウッドに吹き荒れた共産者狩りの狂騒に巻き込まれて投獄され、出獄後もハリウッドでは仕事をもらえず、幾つもの偽名を使い、B級映画の脚本を書いて糊口を凌いでいたという。

映画の中盤の見どころは、決して大勢に迎合することなく、偽名で次々とB級作品の脚本を書いて生き延びていくトランボと彼の家族たちの奮闘ぶり。大変だろうな、と思いつつもそれなりにコミカルでポジティブな一家の頑張りっぷりは楽しいんだけれど、そんな「無理」がいつまでも続くわけはなく、トランボ一家にも小さなヒビが…って流れからお話はクライマックスへ。

突然降りかかる理不尽な差別と、それに屈することなくみずからの信念を貫き、そして信念を貫き通した先にあるものが勝利ではなく赦しである、という着地はしみじみと美しい。差別をするもの、それと戦うもの、どちらにもそれなりの理屈と正義と歪みがあるのだ、決してどちらかだけが「正しい」訳ではないのだ、というお話になっていて、見終わった時に問答無用の大きなカタルシス、のようなものはもらえないけど、何かいろいろ考えたい、と思わせる余韻には満ちている。

何せ実話ベースの映画ですから、登場人物もほとんどが実在の人物。さすがに時代的に自分も若輩者扱いなので、登場する人達がどのくらい「らしい」のかは判断出来ないけど、カーク・ダグラス(演・ディーン・オゴーマン)の妙な正しい姿勢マニア、な感じとか、オットー・プレミンジャーのモーフィアス感とかは結構面白かった。役として一番美味しかったのは、ある意味悪役になるヘレン・ミレンですかね。あと、エル・ファニングが相変わらず可愛かったです(w。

B01N1RHX5Nもう一本は「ベストセラー 編集者パーキンズに捧ぐ」。2016年イギリス・アメリカ、監督・脚本マイケル・グランデージ、出演コリン・ファース、ジュード・ロウ、ニコール・キッドマン、ガイ・ピアース 他。フィツジェラルド、ヘミングウェイなど、名だたる大作家の傑作を世に送り出した敏腕編集者、マックス・パーキンス。ある日彼の許に届けられた分厚い原稿、それはニューヨークの多くの出版社が突き返した大部の小説だった。何気なくその原稿に目を通したマックスは、そこに荒削りではあるが紛れもない天才の片鱗を見出して…。

こちらも実話ベース。ここでマックスが見出したのは、夭折したアメリカの作家、トマス・ウルフ。ここからマックスとトマス(トム)の作品のブラッシュアップの過程が描かれ、その結果世に出た彼の処女作「天使よ故郷を見よ」が大ベストセラーになり…、という流れ。ここにマックスがかつて手がけたフィッツジェラルドやヘミングウェイも関わって、文学を世に出すとは、というのがどういう事なんだろうか、ってのともう一つ、家族とは、もしくは家族のようなものの存在意義とは、みたいなところに斬り込んでくるような映画、ってことだろうか。

そこのところの描写は過不足ない…と言いたいところだけど実際には「過」がやや余剰でそれが映画全体の印象を少々薄いものにしちゃってる感は否めないのではなかろうか。割と退屈なんだよね、これ。

コリン・ファースとジュード・ロウを見ていられれば幸せ、って人ならこれでも良いのかも知れんけど、そうじゃない人にはいろいろ、勿体付けてるそれは結局なんなんだ? 感ばかりが募る映画なのではないかしら。主人公マックスは実際につねに帽子を取らない人だった(映画の中でもそのように描写されている)そうだけど、何故彼はそうするのか、とか、そこに映画的な解釈がひとつ入っていても良かったのではないのかね? なんか史実をちゃんと引いて、こんな話なんですよ、で満足しちゃった感じだな。

ってことで。「トランボ」はかなり好き。「ベストセラー」(この邦題もどうかと思う。原題は「GENIUS」、「天才」。こっちで拡げた方が良かったのでは)は、うーんちょっと残念賞、かな。


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