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2017-02-06 [長年日記]

[Books] 「ブックマン秘史」シリーズ

革命の【倫敦/ロンドン】(ラヴィ・ティドハー/著 小川隆/翻訳) 影のミレディ(ラヴィ・ティドハー/著 小川隆/翻訳) 終末のグレイト・ゲーム(ラヴィ・ティドハー/著 小川隆/翻訳) ラヴィ・ティドハー 著/小川隆 訳
カバーイラスト HR-FM
カバーデザイン ハヤカワ・デザイン
ハヤカワ文庫SF
1.革命の倫敦(ロンドン) ISBN978-4-15-011916-4 \1000 (税別)
2.影のミレディISBN978-4-15-011932-4 \1040 (税別)
3.終末のグレイト・ゲーム ISBN978-4-15-011956-0 \1140 (税別)

パンクし損ねたスチーム・パンク

蜥蜴型の種族が国を統べる大英帝国、それに対抗するように機械文明を発達させたフランス。発見者に由来はしているが名前ではなく姓を取ったヴェスプッチア(アメリカ)…。現在の我らが知る世界とは異なる世界線上にある世界、そこに暗躍する「ブックマン」とは…。異なる世紀末の冒険譚。

商売ものに手を付けるシリーズ。巻を追うごとにちょっとずつ厚くなっていく本。そこで語られるのは蒸気と異形と不思議な機械が横行する世界で何かを追い求める人びとの物語。それぞれのお話を簡単に紹介するなら…

革命の倫敦(ロンドン)

売れない詩人のオーファンは、革命を目論む連中が集まるロンドンの書店で働きながら、最愛の女性、ルーシーとの結婚を目前に控えていた。だが、とある事件でルーシーを喪い、それが元で奇怪な冒険に巻き込まれていく。その中でオーファンはみずからの秘められた出自を知ることに…。

影のミレディ

オーファンの事件の少しあと、海を隔てたフランスでも奇怪な事件が発生する。議会のエージェント、ミレディは独自に捜査を開始するのだが、そこに潜むのはかつてアジアで起こった事件に端を発する不思議なアイテムの争奪戦だった。そこに巻き込まれたミレディは…

終末のグレイト・ゲーム

オーファンが巻き込まれた事件、ミレディが追っていた事件、その延長線上あったものとは…。エージェントたちが追い求める真実の影には、つねに「ブックマン」の影が…

みたいな。ここに19世紀末を彩る、虚実取り混ぜた様々なビッグ・ネームが顔を出す。たとえばお話の序盤、英国の首相はモーリアティ氏でその配下にマイクロフト・ホームズがいる、ってだけでなんかこう「お?」って思っちゃうじゃないですか。そのほかにも機械人形になってしまったバイロン卿だの、本来18世紀の登場人物だったはずのミレディがこの時代にやってきてたりとか、設定的にヒキの強いネタは満載なの。

さらにここに、平行世界のスチーム・パンク的ガジェットの数々がちりばめられ、人と共存している異形の種族が登場し、ホームズもいればヴェルヌだっていて、そうとなったら当然ノーチラス号だって出てくるし、最後のクライマックスにはウェルズのアレまで出てくるし、その他様々な古今東西(アジア方面への気配りも抜かりは無い)の有名作をビジュアル的にイメージさせる仕掛けがたっぷりあって、つまりはサービス満点の構成にはなっているんだな。

なんだけどこのシリーズ、面白いことをやろうとしている感は満点なのに、それを面白い話にしよう、というところでかなり足りてない話が出来ちゃった、というのがオチなんじゃないかな、ってところに行っちゃうのが残念というかなんというか。いろんなネタは満載で、それが次から次へと繰り出されて来ているな、感は確かにあるんだけれども、それが読んでいく上での「楽しさ」に全然繋がってくれないのはどうしたことか。なんかやってんな、以上の感慨が湧いてこないんですね、これ。

理由の一つはこの3作、ひと続きの時間線に乗っかって進んでいくお話なんだけど、各巻の主人公がその巻限定の登場で、続くお話にあまり影響を与えないものだから、大きなお話を読んでいる、という気分に全くなれないのね。一応前作の主人公が「居た」ことは言及されるけど、それが続きのお話にあまり影響を与えないので、お話が大きくなっていかない、ってのはあるかも知れない。ここらは前に読んだ大英帝国蒸気奇譚シリーズや、自分の大好きなキム・ニューマンのドラキュラシリーズからは存分に味わえた、ifと悪趣味の気持ちよさ、みたいなものは皆無だったかな。あと、いろいろサービスはしてくれてるんだけど、そこから得られるビジュアルイメージが、どうにも「アニメっぺー」感満点だったのもちょっと気になったかも。あと、肝心のブックマンって結局何だったの(^^; ?

というわけで正直、読むのに結構苦労するタイプの本ではあったのですが、本作の作者、ラヴィ・ティドハーさんはあのっ、完璧な夏の日の著者でもあるんだよね。ということはティドハーさん、腕は上げてるんだよな。してみるとこちらを先に読まなかったオレが悪かった、ということになるんだろうか(^^;。

でもこっちを先に読んでたら「完璧な夏の日」スルーしてたかも知れんしなぁ。いろいろ、微妙だ(苦笑)

★★☆


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