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ハーラン・エリスン 著/伊藤典夫・他 訳
カバーデザイン 川名潤(prigraphics)
ハヤカワ文庫SF
ISBN978-4-15-012122-8 \1000(税別)
ニュー・ウェーヴを代表する作家のひとり、エリスンの日本版オリジナル短編集。表題作他12編収録。
第一期「スターログ」世代的には作品よりもむしろ件の雑誌で毒吐きまくってた兄ちゃん、ってイメージの方が強いかも。少なくとも自分はそうかな。そもそも出ている本がとても少なかったしね。ただ、短編型のエリスンの作品自体はいろいろな雑誌に掲載されていたらしい。そんなエリスンの日本版オリジナル短編集。それでは行きますぞ。たぶんそれぞれの感想は短くなると思う(予防線)。
1957年の作品、ってオレより年上かい(w。極めてオーソドックスな、テクノロジの進歩がもたらすものが幸福だけなのか、がテーマの作品。若い作品という事もあるのか、逆にエリスンらしくない、非常に落ちついた作品になっている。
起き得たかもしれない、差別との戦いのきっかけとなる小さなエピソード。SFか? と言われるとちょっと違うかも、って気もするが、ここで語られたようなお話は実はアメリカで起きていないであろうから、あり得たかもしれない話、という意味でSFと言えるのかも。
宇宙的な存在によって強制的にもたらされる「苦痛」が意味するものとは…。人にはどうにもできないところで進行する何か、ってものをエリスンはつねにうさんくさいと思っているのだろうな。
「恐怖の夜」と共通する、いわれのない差別と迫害に苦しむ黒人に対する熱い共感を込めた一作。こちらにもSFか? 問題はつきまとうのだけれどもね。
ベトナムの戦地で筆舌に尽くしがたい経験をした兵士のその後とは…。作り手が違えば「ランボー」ができていたかも知れないが、こちらはよりSFに「寄った」作品になっている。かなり好き。「すべからく」問題は引き摺るんだけどもね(^^;。
ある意味本書の中で一番ストレートにビジュアルが見えてくるスプラッタ・ホラー。ただしそのスプラッタの餌食になるのが一種のカルトであるってあたりがエリスンらしいと言えるのかな。日本でやるならオウムあたりが餌食になりそうね(w。
一種のアフター・ホロコーストがベースの甘酢ジュヴナイル、にすれば良かったのにエリスンはそういう事はしないんだよなあ。残念ながら「甘酢」が完全に抜け落ちちゃってます。
間違ってるかも知れんけど、スティーヴン・キング的なモダンホラーを狙った作品なのかな、という気はした。ただ、モダンホラーが始まるきっかけのえげつなさにはちょっと閉口するかも。視聴率なんか知るかー、で始まるトレンディドラマなんですもん(^^;
ドッペルゲンガーがテーマのSF、として成立してるんだけど、これは訳者の伊藤典夫さんの頑張りに感心するお話。「動揺日」「忍従日」「欠用日」、これが土日月曜に対応する作りになっている、というね。さすがです。
これ、立ち飲みで読んでたんだけど隣の兄ちゃんがタイトル見て、「ドイツ人の話っすか」とか話しかけてきてすんげー鬱陶しかった(^^;。ヒトラーはあまり関係ありません。重要なのは天国と地獄ってのはどういう基準で受け入れを行っているのか、それって納得できるものなのか、というのがテーマのお話。
偶然発見された巨人の死体、それは実は…、という。前半はウィリス・オブライエンで後半は永井豪、って喩えは大丈夫でしょうかね(^^;。
これは多分とても珍しいエリスン流環境SF。ル=グィンが書いたらかなりなボリュームの一冊の長篇を書いてたんじゃないだろうか。なかなかです。
本書に収められた作品の中では一番新しいお話。それかあらずか、まとまり具合が半端ない(w。SF作品としての完成度は本書の中で一番なんではないかと思うけど、それが逆に「こんなんエリスンが書かんでも」って話になっちゃうのかも。自分は「バシリスク」の次ぐらいに好きですけどね。
ベトナム戦争とそれを取り巻く社会情勢、ってのはアメリカ人にとって相当大きなピリオドだったんだなってのを改めて感じた一冊。「センス・オブ・ワンダー」は物足りないけど、「センス・オブ・シチュエーション」的な何かは感じました。好きか嫌いかで判断するならそれは「大好きにはなれない」って感じかな。ベトナム戦争とか人種闘争の問題って、ニュースとしてあまりに身近なものだっただけに、そこをエンタメだからこう、で納められなかったんだよね。
★★★☆
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