ばむばんか惰隠洞

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2017-05-27 [長年日記]

[Baseball] カッタデー!

T9-2DB。青柳投手は少々不安だったが、打線がそれをカバーして大勝。今日は良かったですね。

今日唯一のナイトゲーム、巨人-広島も見てたんだけど広島強いなあ。で、その広島相手には9点差ひっくり返すのに、そこにこうも手もなくひねられる巨人に大苦戦するうっとこってなんなん?

[Books][Oldbooks] 造船士官の回想

4257172843 4257172851 堀元美 著
カバーイラスト 生頼範義
朝日ソノラマ 新戦史シリーズ
ISBN4-257-17284-3 \750
ISBN4-257-17285-1 \750

また別な角度からの「片隅」

昭和10年、新任の海軍技術中尉として任官した著者が見た戦時下の社会と、「軍事技術」の側面から見た比較文化論。「世界の艦船」誌に「鳶色の襟章」のタイトルで連載されていたものを加筆修正してまとめた本。
(書影はamazon、ユーズドのみ)

商売ものに手をつけるシリーズ、と言うか正式にはまだ商売ものになってないんだけど(^^;。著者の堀さんは「世界の艦船」誌などに多く寄稿され、艦船関係の著作も多い方。そんな堀さんご自身の青春時代、技術中尉として任官して日中戦争を経験し、太平洋戦争の開戦からその終結までの体験を綴る。

日中戦争は進行中、対英米との衝突も噂される、ややもすればざわついた世相のなかにあって、若き技術士官の日常は意外に平和。頭脳労働がメインとはいえそこは軍人、厳しい軍事教練を受け、技術者としての実習をこなし、様々な軍艦に同乗して経験を積んでいく。その一連の体験は、乏しい国力のもと、個々の兵器の性能を高めていく事に注力せざるを得ないという日本独自の事情も加味しても、極めて理性的なものであり、なんなら「こういう世界も良いものかもな」なんて気すらしてしまう。戦争さえ起きなければ。

だが、ひとたび戦争が起こってしまうとこの状況は一変する。大消耗戦となる近代戦においては、単艦の性能や戦闘力は、標準化され、量産性を高め、さらにその膨大になった戦力を支え、維持する補給力の前には一撃を加えることはできてもその後が続かなくて、次第にその戦力を減じていき、しかもそれを補填することもままならない状態が続き、いつしか日本はジリ貧になっていく。

そんな状況下でも堀さんたち技術者は、与えられた使命をやり切ることで何とか戦局の好転に与しようと奮闘するのだが、戦局の悪化は戦争指導者たちの理性を奪っていき、技術者たちには役に立つとは思えない、なんなら正気の沙汰とは思えない要求が届くようになっていく。それでも技術者としてはその要求を実現させるために動くしかない、という状況は歯がゆく、やりきれないものであったろうと思う。

とはいえ本書は、堀さんの技術者故の理性的な部分と、まだ存命の関係者も少ない事への配慮などもあるのだろうが、様々な物事を大変抑制の効いた、落ちついた文体で語られ、声高な主張なども無いが故に、時折挟まれる技術者としての理性的な批判が効いたものになっている。

さらに、語られるエピソードたちにそえられる状況描写がとても詳しくて、状況を絵的に脳内再生しやすいというのも素晴らしい。どの程度記録を残されていたのかわからないけれど、ご本人の記憶力も相当なものだったのだろうと思う。

非常に厳しい時代であったことは確かだけど、それでも実際にその時代を生きる人々にとっては、日々の営みを誠実にこなしていくしかないのだ、という点において実は「この世界の片隅に」と共通するものも多い、と言えるかも知れない。堀技術少佐の主たる勤務地も呉だったわけだしね(w。

以下蛇足。呉に勤務する堀さんはある時食中毒で倒れ、呉海軍病院に入院することになる。その時のエピソード。

学校を出て間もない軍医ででもあろうか、当直の晩に院内の拡声器放送でバイオリンを弾いて聴かせていた。それはいかにも気分のよいことであった。

兵員の多い病舎では、よくレコードを鳴らしていたが、それが当の敵国のアメリカの曲ばかりだ。当直士官のところへ、看護婦に言伝して注意させたけれども、当の敵国の文化が、日本人の生活の中へ浸透していることを思い知らされたようで、まことに妙な気持ちである。

自分はパンフ買ってないんで参考文献とかわからないんだけど、片渕監督、もしかして本書も読んでるかな(^^;

★★★★

本日のツッコミ(全2件) [ツッコミを入れる]
CSブックス (2017-05-28 23:03)

「鳶色の襟章」は、実は当方の座右の書です。B-29について「素晴らしいものを作りやがったな!」と正直に毒づいていましたね。そう言えば、先日亡くなった佐藤大輔の「征途」に、堀さんは実名で登場します。「面白いものを書きやがったな!」と思いましたね。

ROVER (2017-05-29 23:09)

他にも焼夷弾を落とされている最中に空を見上げて、銀色に輝くB-29を「美しい」と思った、なんて話も結構読んだ気がします。当時の日本のレベルからしたら、何か超現実的なものだったのかも知れませんね。<br>「征途」は読んでないな…。探すか(w。


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