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クリストファー・ナトール 著/月岡小穂 訳
カバーイラスト 鈴木康士
カバーデザイン 早川書房デザイン室
ハヤカワ文庫SF
ISBN978-4-15-012131-0 \1140(税別)
24世紀、人類は各国が緩やかな非戦条約の下、トラムラインと呼ばれる一種の超空間チューブを利用した超光速航法で銀河系に進出していた。だがある日、突如現れた異星人の艦隊により、人類の植民惑星が攻撃を受けた。人類世界は直ちに対抗措置として各国の宇宙艦の出撃準備を急ぐが、その中にはほぼ予備役扱いの艦齢70年の老朽艦、英国航宙母艦<アーク・ロイヤル>の姿もあった。だがこの艦は艦長、スミス准将が酒浸り、乗員たちも問題の多い人物のはきだめ状態。そんな艦でも何かの足しになるのでは、との思惑のもとの出撃命令だったが一方その頃、謎の異星人艦隊は地球人類の最新鋭の宇宙艦隊を一掃し、植民惑星を全滅させて地球に迫ってくる…。
そもそも軍艦の艦長なんてのは大佐がなるものなのにこちらのスミスさんは准将、しかも70の高齢って時点でいろんな物をお察し状態なわけで、まあ多分それなりに過去に業績もあっただろうけど、今となっては邪魔なんだけどあまり簡単に切り捨てることもできない問題爺を、ほぼ耐用年数切れ状態の軍艦にあてがってたら、その組み合わせがなぜだか大正解、って点で、早い話がこれ、リブート版の「ギャラクティカ」みたいな話なんだと思えばわかりやすい。あっちはネットワークがらみだったけど、こっちはもっと物理的なお話ってことですね。
そこのところ、特にツカミの部分は結構上手く機能しているとは思う。ローテクがハイテクに圧勝しちゃう快感、という部分ね。そこは面白いと思うし、そこに至るまでの<アーク・ロイヤル>のクルーの集合していく過程で、人によってはその、家庭環境みたいなものまで掘ってくるあたりも面白い。全体として序盤から、かなり長いシリーズものとしてお話を作っていく感みたいなものは結構顕著で、蓋を開けてみたら案の定、本国では3作セットですでに3セット、お話が続いているんだとか。英国の軍艦乗りの大河ドラマ、ってことである程度最初から「ホーンブロワー」とか「ボライソー」を意識した造りを最初から準備しているお話ってことなのかも。
そこのところは、上手く行ってるところもあればそうでもないところもある、って感じかな。シリーズもののためのキャラ設定とか、敵異星人の特性みたいなものの小出し感、はちょっとぎこちないけど悪くはないと思う。そこそこヒキはあると思うんだけど致命的な欠点が一つ。
主人公のスミス准将にイマイチ踏み込んだ感情移入ができないのね。この手のスペースオペラには珍しい、いつ退役してもおかしくないジジイが主人公なのに、そして<アーク・ロイヤル>が老朽艦であったが故に戦えた、という描写があるのに、その艦長であるスミスさんの方にはジジイだから危機を回避できた、という描写がほぼないのね、ここはちょっと残念。すでに死文となってしまった戦術を爺さんが上手く運用する事で、現行のエリートが思いもつかなかった作戦が奏功する、という快感は無かったな。
結構長く続いてるシリーズらしいので、そこらは続きのお話でそれなりに語られるんでしょうかね。なんとなくハヤカワ的に、そんなに続きを出す気も無さそうな感じがするんだけど(^^;。
★★★
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