ばむばんか惰隠洞

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2020-03-23 [長年日記]

[Anime] 定期視聴番組

溜まりまくってるんだけど、「映像研…」、ラスト3話を一気見。とても良かった。「芝浜UFO大戦」、フルバージョンが見たいですね。作者の方がそれを意識なさってたのかどうかはわからんけど、浅草氏は押井守、金森氏は伊藤和典か鈴木敏夫、って事なのかしらね。ツバメちゃんにはまる人はちょっと思いつかん。意表を突いて出渕さんあたり、って事になるのかしら(^^;。

とにかく毎回、完成直前の宮崎アニメを見てるような感は最高な体験だった。全部残しといて良かった、円盤に記録しておこうっと。

[Books] 自生の夢

自生の夢(飛浩隆/著) 飛浩隆 著
カバーデザイン 川名潤
カバー装画 agoera
カバーフォーマット 佐々木暁
河出文庫
ISBN978-4-309-41725-7 \780(税別)

変幻自在の記述SF

著名な作家でありながら、かつて73人を言葉の力のみで殺害した男、間宮潤堂。今は獄中にいる彼だがこの彼は実在の彼ではない。潤堂は30年前に死んでいるのだ。それでは今ここにいる彼は一体何者なのか、何の目的でそこにいるのか…。
表題作を含む7編を収録。

てことで。とても寡作ながら出すお話がどれも油断できない飛浩隆さんの短編集。上手くやれるかどうかわかりませんが、頑張って感想書いてみます。前に感想書いたヤツもあるんだけど、今回は改めて書いてみます。

海の指

全世界が灰洋(うみ)と呼ばれる灰とも泥ともつかぬ物質によって飲み込まれ、<海の指>という現象で定期的に攪拌されている時代。人類のほとんどが死に絶えた世界でそれでも人々は日々の営みを続けている。そんなある日…
人の意識を飲み込み、それを編集し、増幅しながらたゆたう灰の海、というイメージが面白い。冒頭語られるかつて地球にあったらしい構造物などが打ち上げられている様を、最初実物が灰でのし上げられたのかな、なんて思ったけどどうもそう言うものではなさそうで、そこに思いが至ると終盤の展開の禍々しさがアップする。飛浩隆版「ソラリス」ってのは雑すぎる例えかな。

星窓 remixed version

夏休みの旅行をキャンセルしたぼくは、戻ってきたお金で星窓を買った。星窓、それは宇宙空間の一部を4Dフィルムに転写して、特殊な額で固定したもの。居ながらにして宇宙空間の様子が鑑賞できるのだ。ぼくが見つけた星窓は傷物の安物だったけど、何か惹かれる物を感じて購入したその日から…
「ソラリス」の次は飛浩隆がスローガラス的なものを考えたらこうなるんじゃ、的な(w。こちらも意識のやりとりがテーマのような。スローガラスならぬコンシャスガラスのお話、てことなのかな。

#銀の匙

「NOVA」などにも登場した天才詩人、アリス・ウォン、彼女が誕生する直前の物語。複雑適応系エージェント、Cassyを介して拡がりをもたらされた人々の視界とか意識とか記述とかが、アリスの兄、ジャックの視点で語られ、その拡張された世界がアリスの誕生によって一端〆られる。本作からの4編は連作短編の趣もある

曠野にて

<キャンプ>と呼ばれる施設。そこはCassyを使って記述を超現実的なレベルで拡張することが出来る異能を持った子供たちを集め、その能力のさらなる開発を狙った施設。5歳になったアリス・ウォンもそこにいた。
記述の拡張を巡る物語をゲーム的なシチュエーションで語られる。本書に収録されたお話の中では一番明るいお話と言えるかも。イメージの鮮やかさってところでも一番良い感じかも知れない。

自生の夢

お話の出だしはあらすじで書いたとおり。ここにアリス・ウォンの早逝の原因ではないかと言われる忌字渦(イマジカ)と呼ばれる災禍、それは言語とそれにまつわる表現に過大な影響を与える現象。これに対抗できるのは同じく言語を武器にして大量殺人を実現した間宮潤堂の存在のみ、って流れでお話は進んでいく。ここにグーグルならぬゲーデルという超巨大検索エンジンの隆盛から衰退に至る、著者による未来視なども挟まれた、間違いなく本書の白眉と言える作品だろう。

野生の詩藻

アリス亡き後、彼女の兄ジャックと「曠野にて」に登場した克哉がコンビを組んで「ビースト」なる存在に挑む。例の(wゲーデル問題にも言及しつつ、お話は比較的コンパクトなんだけど、意外と難解なところも多い作品と感じる。

はるかな響き

創世時代の女性と現代(なのかな)のカップルのお話のカットバックで語られる、言語や意識を与えられるお話、で良いのかな。いきなり出てくるモノリスにはちょっと面食らった(^^;。お料理の描写がなんか良い感じです(w。

という。記述を主題にしたSFは時々見かける(古くは筒井康隆さん、最近だと円城塔さんとか)けど、記述が読者の脳内で様々なイメージに変貌していく、というのはこの人独自の物のような気がする。読みにくさなんかは微塵もないけど、読み終わった時にやってくる、「イマノハナンダッタンダロウ」感の大きさは意外と半端ない。つまりは「濃い」本なんだと思う。そんなに多くないのかも知れないけれど、未収録の作品も単行本化して欲しいものです。

★★★★


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