ばむばんか惰隠洞

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2004-01-16 [長年日記]

[Chinema] ゴジラ・モスラ・メカゴジラがSOS

HK-DMZ PLUS.com経由で、公開中のゴジラ"興行SOS"…前作比30%減も(ZAKZAK)。なんつーか、個人的には前作に比べて面白さも30%ダウンな映画だったと思うので、この結果もまあしかたがないかな、とは思う。

それはともかくこの記事読んでて妙にイライラしてしまうのは、ゴジラの人気凋落か、ハム太郎で客が呼べないのかは、「これから分析したい」(同*1とか、「同じファミリー向けの『ニモ』の次をねらったものの、ニモを2回以上見る人がいてワリを食った」(興行関係者)とか、なんか情けねえコメントを関係者が出してるところ。

理由ははっきりしてると思うんだけどなあ。もはや従来の方法論で作られた怪獣映画では、大儲けはできない時代になってる、しかなかろ。で、そうなっちゃったのには、煮詰めなしの一発企画で腑抜けなゴジラ映画を量産したがために、怪獣映画、ちう物を客からなめて見られる物にしちまったあなた方の責任もあるでしょ幹部の人、と思う訳なんだけど*2

「ニモ」を二回観る人がいたのは、それが二回観るに足る映画だったからに他ならないでしょうが。ワリを食ったで済ましてちゃいかんのじゃないかね。

とりあえずあれだ、ゴジラ映画、2年に1作、のパターンにしてみてはいかが? ちゃんと時間かけて脚本練って、しっかりした映画作ってごらんな。素材は一級品なんだから、まだしばらくは商売できると思うんだけど。

*1 東宝幹部

*2 もちろんそれだけじゃなく、もはや怪獣ではスクリーンに人を集めることが出来ない時代になっている、てのもあると思うわけで、何でもかんでもプロデューサーが悪い、とは私も申しませんが。申したいけど。

[Books] 南極大陸

本書カバー キム・スタンリー・ロビンスン 著/赤尾秀子 訳
カバー装画 田中光
カバーデザイン 岩郷重力
講談社文庫
ISBN4-06-273919-4 \800(税別)
ISBN4-06-273920-8 \800(税別)

地球温暖化現象が南極にもその影響を与えつつある時代、科学の発達は、南極大陸を新しいレジャーの場として捉え、かつてのアムンゼン、スコットらの冒険行を体験しようとするツアー客が訪れ、大陸に眠る膨大な資源をいち早く確保しようとする大企業が狙いをさだめ、地球に残った最後の大自然と言うべきこの大陸を、出来うる限り昔のままの姿で残そうとする過激な環境保護団体の密やかな活動の場となっていた。目前に迫る南極条約更新を控え、アメリカの有力な環境保護派の上院議員、フィルのスタッフの一人、ウェイドは、議員の命を受けこの極寒の大陸の調査に向かう。条約更新を前にして、大陸では不可解な事件がしばしば発生しているというのだ…。

キム・スタンリー・ロビンスンといえば、初めて読んだ「荒れた岸辺」以来一貫して持ってる個人的な感想として、「退屈」ってのがあったりする。とにかく彼のお話は延々退屈な描写が続くのだ。で、「もういい加減にしてくれー」と思い始めたあたりで「むむ、それからどうなるんだ?」と思ってしまうような展開がちょこっと挟まって、で、また退屈描写に戻ってしまう、という非常に困ったスタイルのお話を書き続けてる人な訳なんですな。今や彼の代表作といえる「火星三部作」、第一弾の「レッド・マーズ」には、それでも軌道エレベーターの破壊、という大カタストロフが用意されてて、そこを中心に楽しめたのだけれど、第二作目の「グリーン・マーズ」では私、明らかに物語の大半を退屈しながら読むハメになってしまった。それでも"読ませる"んだから、それはそれでたいした物だとも言えるのだろうけれど。

んで本書。これがまた退屈だ。私、「グリーン・マーズ」の感想の中で、この膨大な科学情報を自分の頭の中で理解し、ロビンスンの描く改造中の火星の姿を思い浮かべることのできる人にとっては、堪えられないワンダーに満ちた書物なんだろうと思う。と書いたのだけれど、この"改造中の火星"ってフレーズを"極寒の南極"と置換していただいたら、おおむねそれが私の本書に対する感想と言うことになる。

南極という厳しい環境の中で、それまでワシントンの政争ゲームの駒でしかなかったウェイド、科学者ばかりが優先され、いつもやりがいのない作業ばかりをやらされる現地作業員の通称「X」、そして卓越したクライマーとしての能力を持ちながら、物見遊山の観光客相手のガイド稼業で食い扶持を稼がざるを得ない女性クライマー(ついでだが、美女)のヴァル、という主要な登場人物たちが、南極という極限の環境の中、とある事件でそれぞれに危機的状況に陥り、それを克服することでおのおのが自分の魂の居場所を見いだしていくという、物語サイド的に見てかなりおいしい部分もあるし、彼らが自分の居場所を見つけ出す過程の描写は、派手さはないけどそれなりに読ませる物ではあるのだけれど、うーん、やっぱりこの、ハッタリに足りない部分がある様な気がしてしまうなあ。

悪かあないんですけどね、でも、「火星三部作」にあった、軌道エレベーター大崩壊とその後の大パニック、に匹敵するような見せ場をあえて外した(としか思えない。あえてリアルと、それからヒューマニズムの最後の矜持、みたいなものをロビンスンは残しておきたかったのだろうと思う)ことで、「さんざん退屈に付き合って終わりがこれかよー」などと思えてしまうのも確かなところで。私、この人の退屈ぶり、決して嫌いじゃあないんですけどね。

(★★★)


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