ばむばんか惰隠洞

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2007-04-02 [長年日記]

[Books] 反逆者の月 (24:39)

4150116016 デイヴィッド・ウェーバー 著/中村仁美 訳
カバーイラスト 佐伯経多&新間大悟
カバーデザイン ハヤカワ・デザイン
ハヤカワ文庫SF
ISBN978-4-15-011601-9 \900(税別)

ツカミは大歓迎だったんだけど…

太古から数千年にわたって宇宙規模で戦闘を繰り広げる二つの文明。一方は何度かの再編成を経た「帝国」、もう一方は「アチュルタニ」と呼ばれる正体不明の異種族。しかし帝国の巨大戦艦ダハクが直面した敵はアチュルタニではなく自らに搭乗していた乗員達だった。アチュルタニの存在自体も信じられない一部の反乱分子の手際は際だっており、ダハク艦長、ドゥルアガに残されたオプションは残り少ない。そしてドゥルアガが採った作戦は、自らを犠牲にしてでも反乱者達を一掃するはずのものだった。すべてが問題なく進んでいれば…。

すべては5万年前、地球の近辺で起きた事件。そして現在……

太古から続く宇宙戦争、失われたトロヤ群小惑星の秘密、ネアンデルタール人とクロマニヨン人の間のミッシング・リンク、人類の歴史にしばしば登場する大殺戮の背後に潜む何か、そして地球の衛星としてはいささか不自然な「月」の存在……。おいおいおいおいおいおいおいおい、そういうことは20世紀のうちに済ましておこうぜ(いやまあ出たのは20世紀のうちみたいなんで、本書そのものに罪があるわけじゃないんだけど)、といいたくなるようなネタ満載で、読み始めはもう、ニヤニヤ笑いが抑えられない一作。こりゃまた笑っちゃうネタ満載で来たなあと、それなりに好感を持って読んでいったわけなんだが、中盤以降様子が変わる。

なんというか、J・P・ホーガンの小説を読んだE・E・スミスが小説を書き始めたんだけど、途中でなぜかトム・クランシーが書き手に憑依した、様なノリのお話になっている。出だしのあられもないなつかしSF風味が、中盤あたりから妙にこれは「レインボー・シックス」の続編ですか? 的展開になってしまってて少々頭を抱えてしまった。

「オナー・ハリントン」ものでフォレスターやケントの帆船小説のノリをSFに上手く奪胎して見せたウェーバー、本書でもお話の持っていき方の巧さは(これ、『ハリントン』より前の作品なんだな)さすがで、読んでいくだけならそれなりに楽しめる物になっているんだけど、いろいろ考えるとそれってアリ? 的な展開が結構多いあたりは気になったりする。

SFとして書くべき話はそうなのか? って部分、主人公がそこまで活躍しなくてええんですの? て部分、面白い反面あちこちにいびつな部分も感じられる作品になってるなあ。面白くないとは言わんが、無条件に面白いとも言いにくい作品だなあ、と言う感じ。続編もあるらしいがそっちはどうなんだろう…。

(★★★)


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