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アーサー・C・クラーク(→CNN)。齢90はまあ、大往生だろうな。ご本人にしてみたら、軌道エレベータができるところぐらいは見ておきたかったかも知れないけど。
熱狂的に好き、と言う方ではなかったけれど、SFを語る時に常にバックボーンとしてその存在を意識し続けなくてはならないタイプの作家だった、と言えるだろうか。一作選ぶとしたら何になるだろう。私はやはりいろんな意味で「前哨」か。ああ、「白鹿亭綺譯」も好きだな。
たくさんのワンダーをありがとうございました。
米沢嘉博 著
装画 高橋真琴
カバーデザイン 井上デザイン
ちくま文庫
ISBN978-4-480-42358-0 \880(税別)
終戦直後の闇市・赤本時代から1980年までの少女マンガのスタイル、テーマ、そしてキーパースンとなる作家達について論評した少女マンガ通史。巻末に1979年までの少女マンガ年表、貸本少女マンガ年表、少女マンガ誌生存年表つき。
昨年惜しくも亡くなられた米澤義博氏の労作の文庫化。カバーイラストを飾るのが高橋真琴の絵であるところがなかなか興味深い。「読めない人には全く読めない」と言われる少女マンガ独特のコマ割りやさまざまな効果、それらが生まれる一番大元のところに位置していたのが、それまでの手塚式"コママンガ"のスタイルのバリエーションの拡大再生産であった少女マンガに、初めて"絵"本来の持つ魅力を持ち込んできた高橋真琴の作品群であり、それがもたらしたものこそが、コマを突き破って自由自在に動くキャラクタや効果線、点描に、もちろん(時としてページの中に無意味なまでに過剰に咲き誇る)花。高橋真琴によってとっかかりを得たそれらの手法たちは、高橋真琴を飛び越して多くの新人作家たちに、より効果的に取り入れられて現在(つーかまあ、少なくとも1980年)にいたる、と。
で、高橋真琴が拓いた地平の大元の元、"絵"本来の持つ魅力を前面に押し出してくる作家がふたたび現れるまでに、ワシらは大矢ちきの登場まで待つことになってしまった、というあたりの流れはとても興味深い。大矢ちきは高橋真琴とはまたちょっと違ったベクトルを持った作家であったと思うのだけれど、その活躍の期間が(もったいないくらい)短かった、というあたりもまた、どこかで高橋真琴に通底するものがあったのかなあ、などと。それ故米澤氏の以下の考察はとても鋭いと思う。ちょっと長くなるけど引きますと…、
高橋真琴が挿絵を目指してマンガの世界に入り込み、ああいったスタイルをとったのは、彼にはマンガの絵の記号性が理解できなかったからではなかろうか。だが、少女マンガで育ってきた多くの若い少女マンガ家達はそういったものを自明の理としてさまざまなものを吸収していった。萩尾望都がファッション画を勉強していたこともうなずける。もりたじゅんが美大生だったというのもそうだ。マンガ家達の多くは文学や映画や音楽への傾倒はあっても、美術へのそれは少ない。絵が語ることの意味に関する無頓着さというより、それがマンガなのだ。逆に絵画性が勝ると、ドラマは抜け落ちていく。
少女マンガにおける変幻自在、時には枠線すらも効果の一部に使ってしまうさまざまなイフェクツの、その根っこにあるものが何なのか、ってのは前々から割と気にはなっていたんだけれど、その回答のひとつになるかも知れない解を出してもらったような気がして、ちょっと得したような気分になった。
全体としては戦後の少女マンガのトレンドが何に影響され、それが後発にどういう影響を与えてきたのか、をどちらかと言えばざっくりと展望していく本なわけで、どこか特定のジャンルに深く突っ込んだ考察を加えるような本ではないのだけれども、それでも随所に、こういう油断ならない切り口が見えたりするから嬉しくなってしまう。これ一冊で少女マンガの全てが分かる、様な本ではない(ちょっと残念なのは、たとえば'82年の紡木たく、など、年代的に考察の対象から外れてしまった作品が多数あるあたり、といえるだろうか)けれど、それでも大ざっぱな少女マンガの背骨になる部分の変遷と、その時代ごとのキイ・ワードやキイ・パーソンが何なのか、それが具現するものがなんであるのかを掴むには絶好の一冊。マンガ好きなら読んでみてくださいませ。
以下自分語り。
私にとってリアルタイムで読んで衝撃的だった少女マンガは、水野英子「星のたてごと」、大和和紀「真由子の日記」、そんでもってひかわきょうこ「千津美と藤臣くん」だなあ。それぞれ、少年マンガについぞなかったグランド・ロマンの香り、少女向けのマンガでありながら恐ろしく深いところまで突っ込んだその内容(初出は1970年、オレもまだ小学生だった、つーの。オレが初めて憶えた英語はギブ・アンド・テイクだぜ)、そして最後は、男がそうであって欲しいと思っている少女マンガの理想型、とオレには見えたのだな。ちなみに萩尾望都や三原順は、少女マンガとか言う枠を越えて、マンガとして衝撃的だったと思ってますよ。
オマケでもういっちょ引くぞ。
糾弾されるだろうことを承知で言うなら、木原敏江こそ少女マンガそのものであり、木原敏江のマンガを嫌いなものは基本的に少女マンガファンではありえない
よかったぁ、オレ、ドジ様大好きなんだ(w。
★★★★
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●アーサー・C・クラーク師匠は、長編よりもアイデア満載の中・短編が大好きです。「天の向こう側」「明日にとどく」「10の世界の物語」そしてもちろん「白鹿亭奇譚」…<br><br>●長編では「乾きの海」が好き(笑)<br><br>●とにもかくにも、長きにわたって「科学的吃驚」を沢山たくさん、ありがとうございました。心からのご冥福をお祈りいたします。