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ジョージ・R・R・マーティン 著/酒井昭伸 訳
カバーイラスト Sparth
カバーデザイン 岩郷重力 + WONDER WORKZ。
ハヤカワ文庫SF
ISBN978-4-15-011813-6 \780 (税別)
ISBN978-4-15-011814-3 \780 (税別)
かつて愛した女性、グウェンから7年ぶりにダークの許に届いた便り。それはかつて、互いの思いを込めて装飾され、これが送られてきた時には、互いにどんな事情や距離の隔たりがあっても、必ず相手の許に駆けつける、と言う約束の込められた特殊な宝石だった。すでにダークは彼女の許に宝石を送っていたのだが、その時には彼女からの反応は返っては来なかった。それでもダークにとってグウェンは忘れがたい存在であったのだ。
今は特殊な超遠軌道を描いて銀河系を放浪し、数千年ぶりに人類の文明圏の近くを通過している最中の惑星、ワーローンに滞在しているというグウェンの許へと旅立つダークだったのだが…
G・R・R・マーティンの長編第一作。とは言えSF作家としてのキャリアはすでにスタートしていて、中短篇の作家として数年のキャリアはあったと言うことらしいけど、それはそれとして、やはり処女長編というのは格別なものがあるのだろうと思う。で、マーティンが本作に込めたものはといえば、「サービス、サービス!」って事になるのかな?
放浪惑星やら完全に制御された巨大都市やら何やらかにやらといった、「そんなのあったな」的な懐かし感覚をあちこちに持ち込みつつ、あまりにも希なタイミングでやってきて程なく去っていくことがわかっている惑星を舞台に、そこがそういう環境であるのだから、ここはひとつ祭りをしようぜという、ちょっとこっちの予想の斜め上のコンセプトで、人類の文明圏に所属するいくつかの文化圏が、それぞれの文化を代表するような祝祭都市をワーローンに建設してめったにない機会を祝っちゃおう、なんて展開は新しいし、そもそもそのお祭り自体がこのお話の主題でもないってあたりはさらに新しい(w。そうではなくて本書で語られるのは、祭りが終わり、やがては忘れられていく運命にある惑星を舞台にした異文化コミュニケーションを背景に描かれる、一人の男の成長物語、って事になるのかな。
読んでみて感じる雰囲気というのは、かなり「闇の左手」に近いかな。あれも大概だったけど、こちらも最初に来るのは「退屈」ってワードだろうか。退屈さの先に待っているのが「闇の左手」では異星人の間で発生する身体性の違いから来る差異が生むドラマであったのに対して、こちらは生命体の差異ではなく文化の違いから来る、「解釈」をめぐる理解にまつわるドラマのような気がする。で、それはたぶんSFとしては「闇の左手」よりもお話のスケール的には若干小ぶりになってしまわざるを得ず、その分退屈さが増幅されてしまう、って事になってしまうのかな、という気は読んでる最中ずっと思ってた。退屈さがなかなか面白さに転化してくれないのだね。
なので正直、これはこのまま、退屈なままお話が終わってしまうのかなあと思っていたらば、最後の最後で、かなり大きく話にアクセントをつけてきたのでそこはちょっとびっくりし、評価もちょっと(良い方に)変わったかもしれない。このオチの付け方自体には賛同できないものも感じるけど、ストーリーの展開としてはこの持って行き方はアリかもな、と。賛同できない、というのはそこにSFの要素があんまり食い込んできていないことと、お話的にもう一歩踏み込んで欲しかった、と個人的には思ったから。ただ、かなり退屈な気分で読んできていた本書、読後感的には最終的にただ退屈な本ではなかった、というあたりで辛うじて平均点はクリアした、ってところだろうかね。読み手の好みにかなり左右されるタイプの本なのじゃないだろうか。
★★★
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