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ジョン・スコルジー 著/内田昌之 訳
カバーイラスト Andreas Rocha
カバーデザイン 岩郷重力+A.T
ハヤカワ文庫SF
ISBN978-4-15-011875-4 \1040 (税別)
数百の種族が加盟する大銀河連邦。今や地球とそのコロニーもその一員となっている。だが、下から数えた方がはるかに早い、連邦内では格下の地位にある地球は、やや格上の異星種族であるニドゥ族とのゆるやかな同盟関係なしには連邦内での生存も困難な状態。にもかかわらずニドゥ族との関係は必ずしも良好とは言えない。ニドゥ族との同盟関係を解消させようと暗躍する一団があったのだ。不幸にして彼らの企みは功を奏し、地球とニドゥ族との関係には緊張が高まる。
状況を打開するためにニドゥ族が要求してきたのは、彼らの極めて重要な儀式で生け贄として使われる、「アンドロイドの夢」と呼ばれる極めて特殊な羊。だが、暗躍組織もこのことは予想し、地球に存在する「アンドロイドの夢」は今や絶滅寸前。国務長官の指令を受けた補佐官ジャヴナは一人の男に「アンドロイドの夢」の捜索を依頼する。人類が初めて経験した凄惨な宇宙戦争の生き残りにして凄腕のハッカー、今は冴えない国務省の異星人担当の役人、ハリー。自らが作り上げた超AIを相棒に、捜索を開始するハリーだったが…。
いまだかつて、おならによる殺人で幕を開けるスペース・アドベンチャー、なんてものがあっただろうか。スコルジーってこんなに軽いノリの人だったっけ? 訳者あとがきによると、スコルジー自身は割とそっち方面をやりたいと思っていて、実は本書でも彼にしてみたらユーモアのパートは控えめ、な方ってことらしいですが(w。同じ訳者繋がりってわけでもないけど、スコルジーよりはソウヤーっぽいものを感じてしまったよ。
お話はこの、謎の羊をめぐって超絶的なスキルを持った元兵士、彼が作り上げた超AI、謎の羊への糸口となる、ペットショップ経営の女性、反ニドゥ勢力や謎のカルト教団まで入り乱れ、超AIと電脳世界、遺伝子操作、銀河文明やさまざまな異星人たちの異質感、みたいなものをスパイスに、ノンストップで突っ走るサスペンス・アクション。若干キャラの描き分けがとっ散らかってたりもするけれど、軽快なノリでさまざまなSF的アイデアがこれでもかと注ぎ込まれ、小洒落たセリフなんかもちりばめられ、オチは痛快極まりない。
というわけで大変楽しく読んだんだけど、同時に引っかかるところもなくはなく。
なんというのかな、先に読んだキャンベルのミリタリイSFとの対比になるんだけど、その因果応報はそれで良いのか? ってところでちょっと割り切れないものを感じてしまうことが多々あって。ネタバレしないように説明するのが難しいんですが、たとえば先に読んだキャンベル作品では、結構な善男善女の無駄死にが起きているけど、それはその後に続くクライマックスのカタルシスのために必要不可欠なパートとして機能しているんだが、本作のいくつかのシーンにおいて、そこまでの表現は必要だったかね? という気がしてしまって…、てもう、ぶっちゃけるか。
「ア」で始まるキャラのその扱いは、ほんとに必要だったのか?
味わい深いシーンではあると思う。でも気持ちよくはないし、いくらでも回避してさらに味わい深くすることができたと思うんだけどな。こういうシーンが他にも何ヶ所かあって、全体的には(不謹慎込みで)軽く楽しいお話に仕上がっているのに、せっかくの疾走感にちょいちょい水を差されてる感じも残ってしまうんだけど。
★★★
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