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アンドリ・S・マグナソン 著/佐田千織 訳
カバーイラスト 片山若子
カバーデザイン 波戸恵
創元SF文庫
ISBN978-4-488-75101-2 \1000(税別)
ある日なぜか野生動物たちの方向感覚に次々と異常が発生する。北極へ渡るはずだったキョクアジサシたちの大群がパリの市街に現れ、シカゴはミツバチに埋め尽くされる。異変の原因は情報の飽和にあった。人間が送り出す通信や放送の電波、電磁波がついに世界の許容量を超えてしまったために、動物たちの方向感覚に異常が発生したのだ。そしてこの異変はやがて人類の文明にも影響を及ぼし始める。
この人類文明の危機に際して、一部の科学者集団が発見したのは、きわめて微妙な信号パターンだった。「鳥信号」と呼ばれるそれの発見によって、人類はついに完全なコードレスの情報伝達手段を手に入れる。彼の科学者集団は、その中心人物の名を取ってラブスターと呼ばれ、さらに彼らはその集団を基盤にラブスター社を立ち上げ、人類社会に劇的な変化をもたらしていくことになる…。
えーと……(苦笑)。なんかこの調子で延々あらすじを書いていくしかないんじゃないか、と言う気になってしまう。あれだよ、宇多丸師匠が映画評する時に、やたら前置きが長くなる時ってのはこういうときなんじゃないか、と思ってしまった。
一応お話らしいものはあって、大きく変化した世界にあって、その変革の中心となった人物の、その変革に対する葛藤とさらなる改変へのあがきのようなものと、大きく変容した社会に暮らすひと組の男女の恋模様が交互に描かれ、最終的にその二つのラインが交差する時に非常に大きな出来事が起こる、という、まあそう書けばなんかそれなりにおもしろいんじゃないか、と言う気にはなるんだけれど、これが結構厄介でしてね(^^;。
なんというか、いろいろ面白い設定が用意された世界があるんだけど、どうも作家はその世界観をド忘れしてお話を展開している感がありありなんだよな。たとえば「鳥信号」によって人々のコミュニケーションに距離は影響しなくなったはずなのに、登場人物たちはわりと全編を通じてコミュニケーション不全でお話が進んでいったりするんだよな。それ以外にもいろいろ面白いネタを思いついてはそれを放り込み、そして放り込んだらそこで満足して次の話に進む、みたいな展開で、読んでると割とクラクラするんだった。個人的な経験談のようなものなんですが、聞いたこともない(そして英米じゃない)作家の名前がクレジットされたサンリオSF文庫を読んでる気分、ってので解ります? 青二才の頃のそんなクラクラ感を久々に感じたところはあって、そこは逆に収穫と言えるのかも。
あと、終盤の(ちょいネタバレになるのかな)カタストロフに至る流れの描写のイメージの奔流と、カタストロフのトリガーとなるもののばかばかしさには結構笑かしてもろたので、そこで星一個オマケ。オマケしてこの星勘定なんでね。プリティなカバーイラストとJAROにいいたくなるような帯の惹句に騙されたらあかんよ。けっこう手強いよ、これ(w。
★★★
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