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酉島伝法 著
カバーイラスト 加藤直之
カバーデザイン 岩郷重力+WONDER WORKZ。
創元SF文庫
ISBN978-4-488-75701-4 \960 (税別)
かつては「人間」だったかもしれない何物かがうごめく天空の構造物。だが、そんな世界にもなぜか会社はあり、社長がいて従業員もいる。そして得体の知れない顧客たちも…。日本SF大賞受賞の話題作。表題作を含む4編の短編連作集。
表題作「皆勤の徒」は「結晶銀河」で読んでいて、自分はレナルズ的だなあ、なんて印象を持った。特にこの世界全体が、何とはなしに「カズムシティ」を和風に仕立て直したような世界なのかな、なんて思いながら読んでいった。「和風」というのは、本作に横溢する「言葉」たちを使ったイマジネーションの飛ばし方、みたいなところから感じる印象なのかもしれない。「
そこの所の言葉遊び的な部分はとても面白いんだけど、全体を通しての読後感、ということになるとこれは結構辛い。どこが辛いかといえば、スジは追えているのに、スジの向こうに見えてくるべき世界がなかなかはっきりしてくれないもどかしさ、というか終始、「俺のこの読み方で良いのかな?」感がつきまとい、お話を心から愉しむことができないまま最後まで読んでいき、最後に大森望さんの解説を一種の答え合わせ的に利用させてもらって、ホッとしたりさらに首を捻ったりする事になるという(w。
一度読みきり、大森さんの解説を読み、もう一度読み返してみるとあちこちでいろいろはっきりしてくるところがありそうな気がする。特に最初に読んだときにあまり気にとめていなかった、各話のブリッジになる「断章」が実は結構重要な意味を持っていたことがわかる、とかね。ただ、いますぐもう一回読みたくなったか、と聞かれたら、正直今はちょっと、と答えるだろうな。それぐらい読むのに苦労した記憶は鮮明なのだよね。
なんだけど、不思議なことに今こうやってとりとめのない感想をぽつぽつ書いていると、本書が改めてもの凄い物だったんじゃなかろうか、と言う気分がじわじわ湧いてきているのも確かなところで。これがモダンアートでいうところの、「解体と再構築」ってヤツなんでしょうかね(全然違うような気がする)。そこはちょっと再評価したいとは思ってる。それでも自分にとってはコイツはかなり苦手な方面の小説ではあるな。amazonのレビューで星一つを付けた人のコメントで、「中高年にはキツい」(大意)ってのがあったけど、わからなくもないな、と思いました。年齢が直接関係するとは思わないけど、何かに触れてきた/触れなかった時間が長いと、結果として体質的に受け入れにくい作品、というのはできてしまうんじゃないかな。自分にとっては本作、正直そちら方面の作品ですね、
★★★☆
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